11月の東京の雪。
積もらなくて何よりです。
お待たせいたしました。
兼題:短
「短かび」の巨泉のうたや木枯しす 敏
○(アネモネ)「みじかびのきゃぷりてとればすぎちょびれ・・・」超懐かしい~!
短日の帰る背を押す時計台 あちゃこ
○(幹夫)私にとって「時計台」と言えばやっぱり札幌時計台・・・北海道は内地に比べて日が暮れるのも早い。短日が良い視点とリズムで詠まれていると思いました。
一遍に二つは聞けぬ日短 幹夫
短日や駅長のする屋根修理 餡子
◎ (アゼリア) 長閑な駅の優しい駅長さんでしょうね。降雪に備えているのでしょうか?
○(泉)田舎の小さな駅でしょう。ホノボノとした感じになりました。
〇 (多実生) 何でも屋の田舎の駅長さん、無人駅の多いこの頃、他の駅も兼務かも知れません。
枯葉舞う午後の短き逢瀬かな 呆夢
○(餡子)逢瀬などと大変懐かしいそして羨ましき言葉。絵画館前の銀杏並木など、いいですね。まだまだときめきの午後があり。
〇(仙翁)短い逢瀬を、惜しむ様子、波乱も感じる。
○(春生)枯葉の舞う頃は、昼が短いですから、愛し合う二人の時間も瞬く過ぎてしまいますね。
酒味醂たっぷりとろ火日短か 珠子
○(藤三彩)酒と味醂は必須の食材、鯖の味噌煮とかおいしそう。
○(春生)夕餉の準備も忙しいですね。でも、とろ火でじっくりと煮詰めたいですね。
◯(道人)男の手鍋でしょうか。美味しそう。早めの夕餉の宴が目に浮かびます。
短日や人より出でて人に入る とっきー
◎(珠子)今頃の気ぜわしさが表れています。
◯(あちゃこ)夕方の忙しない人の動き。人は何処に向かうのだろう?
〇(ルカ)気ぜわしい頃の雰囲気がよく出ています。
〇(宙虫)師走は特にこの感覚。気ぜわしさは人が生み出す。
○(まきえっと)気ぜわしが表れております。
人はみな長所が短所冬うらら 泉
短きはわが性ゆゑの冬の月 瞳人
短くもしかと根を張る冬の草 仙翁
◎(敏)雑草の持つ生命力の強さをうたいあげた、確かな写生眼に感服しました。
◯(道人)我慢強くて心の広い冬の草の真髄を言い得て妙。俳句では使い方の難しい「しかと」が佳い。
短観はさておき直感冬ざるる アゼリア
◎(泉)「冬ざるる」という事は、予想は暗い、という事でしょうか。
短銃を握る少女や北吹けり 瓦すずめ
○(藤三彩)映画のいちシーンのよう。薬師丸ひろ子『セーラー服と機関銃』を思い出す。
○(吾郎)在りし日の日活映画、もしくは角川。
短日も意外と長い夕焼け富士 多実生
寂た馬短日ジンタ舞う旅さ 吾郎
◎(道人)哀感と俳味溢れる名回文句です。リズムも懐かしいジンタッタ、ジンタッタ。
○(餡子)寂びた馬がいいですね。歳を取った馬にとっては、ジンタはさらに物悲しく聞こえます。
○(呆夢)哀れさとおかしみが同時に感じられる句ですね。
混ぜ合わす油とお水日の短 まきえっと
短日や母の歌集の十頁 道人
◯ (アゼリア) 10頁と具体的に言われているところが新鮮でした。
短命な犬を埋めよう枇杷の花 宙虫
○(餡子)我が家の愛犬は13歳で旅立ちました。暫くは、ペットロス症候群。お骨にして裏庭に埋めました。小さな石が墓標。 枇杷の花はややさびしいですが、実もなるし、その都度おもいだしますね。
毒舌の短銃突き抜け冬に入る 藤三彩
短髪の少女の瞳冬に入る ルカ
〇 (多実生) 身近な孫娘、瞳は輝いています。
〇(仙翁)少女の瞳は、輝いているのか、涼やかなのか。
○(とっきー)イメージとしてはスポーツ少女。髪を短くした少女には清潔感がある。活発な少女は、寒さなんかには動じないだろう。 少女の吐く白い息が見えるような句。
縄跳びの縄の小さすぎ短すぎ アネモネ
○(幹夫)昔遊んだ縄跳びが家のどこからか出て来てそれを跳んだ時の情景でしょうか。「小さすぎ短すぎ」もいいですね。
門川に短日の鍬洗ひをり 春生
◎(餡子)妣の実家では、小さいころよく見た風景でしたね。懐かしいです。ほっとする句ですね。虚子の句のように、大根の葉などが流れていたりして。
○(敏)「門川」は固有名詞ではなく、門と並行して流れる生活用水路という捉え方で鑑賞しました(固有の川名だとしても小川でしょうね)。一日使用した鍬を洗っている農の姿が印象的です。
○(とっきー)門川とは、屋敷の前を流れている川だろうか。農作業を終えて鍬の泥を落とす作業から、日の短くなった実感が伝わるようだ。
〇(仙翁)冬にも、色々畑仕事はあります。
○(まきえっと)こういう風景が日常にあると良いと思います。「短日の鍬」が効いています。
短日や変色して居る写真かな ちせい
テーマ:加速
アクセルをふかす凩まくように 敏
駅伝やごぼう抜きして冬うらら 泉
〇(瓦すずめ) 爽快感があります。ごぼう抜きするランナーを道路わきで見守っていらっしゃるのでしょうか。彼の肌が冬の日にてらされて輝いて見えることでしょう。
(選外)(藤三彩)区間賞を狙うも速いランナーはアフリカなどからの留学生だったりする。
加速する再婚話神の留守 とっきー
○(アネモネ)再婚話がいいですね。加速感がいかにもです。
○(餡子)いいことです。話が纏まるといいですね。おめでとうございます。
○(呆夢)大いに結構な話です。幸あれ。
(選外)(道人)素晴らしい展開で羨ましい限り。結末は神のみぞ知る、ですね。
救急車凍てつく朝の闇を行く 呆夢
◎(瓦すずめ)サイレンの音が凍てつく空気の中響いている。つらさや焦燥感を感じます
◎(春生)都会では、救急車のサイレンの音で、起こされることが多いですね。「凍てつく」がいいですね。
○(幹夫)サイレンを鳴らしながら闇の中を突っ走る白い救急車・・・作者の吐く息も白い。未だ寒さに身体が慣れていない初冬の北海道に居た頃の体験を思い出しました。
○(泉)病院も救急車も、一年中休みは有りません。ご苦労様です。
轟音と煙残して秋の空 多実生
加速して我も還暦長元坊 幹夫
◎(藤三彩)隼の長元坊のホバリングは獲物を狙っている。還暦からが長い人生の勝負。
○(珠子)季語の斡旋によって「我が還暦」をどう受け止めているのかわかります。精悍な「長元坊」との斡旋が素晴らしい。ますますご活躍されますように。
十一月光陰の矢の不安症 道人
○(泉)確かに十一月は、中途半端な感じがします。
〇 (多実生) 長かった冬場を思うと秋は短いですね。これからの不安は他人事では有りません。
鋤焼きや加速度的に動く箸 瓦すずめ
○(泉)先ず肉ですね。ユーモラスな俳句だと思います。
○(アネモネ)笑いました。景がコミカルに見えてきます。
○(吾郎)まずは肉、次に葱、続いてシラタキが姿を消します。
尻端折り仲蔵ひざ打つ時雨かな 瞳人
○(吾郎)男だねぇ。
千歳飴預けてメリーゴーランド アネモネ
◎(瞳人)元気に育ってくれれば、それでいい、それでいい、目を細めてみる親、それでいいですよね。
○(呆夢)今どきのお子様ですね。元気のいい声が聞こえてきそうです。
○(珠子)ほのぼのします。さりげない取り合わせの中のきっちりとした計算がみえます。
○(まきえっと)所沢のほうかなと思ってしまいました。この取り合わせ好きです。
加速するニュースの重さ冬の風 ちせい
◯(あちゃこ)ほんとになんと軽くニュースが流れていくことか。忘れなければ生きていけないということでしょうか? 無常なり。
追いかけて落ちるを急ぐ冬の木々 仙翁
冬めくや次第に速くなる答弁 餡子
○(ルカ)嘘を言うとき、人は早口になるような・・。
○(春生)国会のことでしょうか。状況はよくわかります。
年の瀬の山落日を速めたる 春生
○(敏)山の端に隠れていく落日を、あたかも山が引き下ろしているかのようですね。
加速する恋と日輪冬木立 あちゃこ
◎(幹夫)恋・・・って、そんなものですね。真つ直ぐにそびえ立つ冬木立は作者自身、暖かい太陽が差しています。
○(とっきー)ストンと落ちる釣瓶落としの日輪のように、恋の思いもストンと無くなってしまった。やはり女心と秋の空である。
檀家にて鼻水皆は手にかんだ 吾郎
〇(宙虫)すごい景色だ。大笑い。
白バイの演習木枯らし渦方陣 藤三彩
発声のまみむめもまも小六月 珠子
◎(呆夢)冬の朝は、口の開け閉めが重くなるので、こういった運動も必要かと思います。
○(敏)小春日の公園か駅前広場で、あたりかまわず声を発しているのでしょう、段々早口になりながら。
○(道人)やってみました。発声練習は心身ともほぐれますね。ほっと一息つきます。
毛糸編む夜どんどん一人になる ルカ
◎(吾郎)気持ちは刻々と深くなる。どんどん一人になる が素敵!
○(道人)誰のために編まれるのしょうか。破調と「どんどん」が響き合って巧み。夜が深まるほど孤独感が募る。
〇(宙虫)没頭していく姿がわかります。「北の宿から」の世界・・・?
余命カレンダーみるみる薄く石蕗の花 宙虫
〇 (多実生) 薄くなったカレンダー、もの寂しいこの頃です。
◯ (アゼリア) 共感の一句です。気がついたらご臨終なんてことになりそうで怖いです。
流れ星見るたび時の速く過ぐ アゼリア
〇(瞳人)全く、ね。
○(アネモネ)なるほど。流れ星にはそんな感覚がありそうです。
声出ない絶叫マシン小春の日 まきえっと
雑詠
元カノが子をつれてゐる冬木道 瓦すずめ
○(藤三彩)「ゐる」が時の経過を古びさせる。子ではなく孫ならもっとリアル。
○(吾郎)これは冬木道を舞台にしたドラマのオープニング。
○(とっきー)あっと思ったでしょうね。まさか、あなたの子供ではありませんよね。
冬日載せ川波海へまっしぐら 敏
◯(あちゃこ)加速のテーマでまっしぐらを使ったのですが、ものにならず。
景がしっかり浮かんできます。
捨てたもんじゃない冬空に穴がある 宙虫
〇(瓦すずめ)意味は分かっていませんが、心惹かれる句です。
(選外)(道人)明るい句ですね。「冬空に穴」が素敵です。
立冬を半袖で行く筑後っ子 呆夢
○(泉)筑後地方は暖かいのでしょうが、それでも元気で良いですね。
空港の東明るき初しぐれ アネモネ
○(幹夫)夜明の大きな景が詠まれており。共感です。
〇(春生)初時雨ってこんな感じですね。良く捉えています。
先人の知恵の即席蕎麦を掻く 多実生
神の留守切られし札は門外漢 瞳人
冬川を風の渡るや色薄し 仙翁
いっぽんの風となりたる芒原 ルカ
◎(仙翁)一面に靡く芒の様子が目に浮かびます。
〇(瞳人)目に見えますね。
〇(瓦すずめ)大きな風が芒をなぎ倒していく様子を、いっぽんのかぜになるとひょうげんしたのでしょうか。風景が良く見えます
○(敏)「いっぽんの風」がやや分かり難いのですが、ひとつ方向に穂先を傾けた無数の芒の姿をイメージしてみました。
(選外)(道人)どこにでもある芒原、じっと見つめていると、確かにいっぽんの風になりそう。
法律書積まれ寒夜のゴミ置場 餡子
◎(アネモネ)耳が痛い。まさに体験です。
◎(ルカ)分厚い百科事典、文学全集、法律書。実感があります。
◎(とっきー)ゴミ置き場で、ゴミ捨て場ではないですね。でも法律書はいらなくなったのですね。なぜ?と思いますよね。離婚問題か相続問題が解決したのかしら。それとも司法試験に落ちた。か、合格した。
◎(宙虫)司法試験等を目指したものかな?あきらめが見える・・・。
○(幹夫)兎角寒く世知辛く暮らしにくい世の中・・・それを法律が更に縛っている!寒夜のゴミ置場に捨て置かれた法律書の束の光景に、様々な背景が思い浮かびます。
〇(瞳人)いやあ、いやあ、そこまではしませんでしたが……。
◯(あちゃこ)ゴミ置場には、ドラマがイッパイ。ゴミの表記が気になりますが。
〇(瓦すずめ)もう読まれることのない本が夜の冷たい空気にさらされている……寂しさを感じました。
○(吾郎)司法試験7年目の挑戦に破れ家業を継ぐ…。
○(道人)断捨離ですね。ある意味自分史を捨てることかも。大変なことです。
◯ (アゼリア) 憲法の解釈が変えられたり、危うくなってきました。まだボケてはいられませんね。
冬桜そっと背伸びをして遊ぶ 道人
◯(あちゃこ)今年は思わぬ所に桜が咲いているとか。背伸びして遊ぶのはオトナだと面白いのですが?
〇(ルカ)詩情があります。
〇(瓦すずめ)優しさを感じます。
○(春生)「 そっと背伸びをして」が、上手いですね。
東京黄落加湿器の音かすか 珠子
◎(あちゃこ)室内から臨む都会と対比している室内。渇いた暮らしを音でしめたところがお上手ですね。イメージが広がる一句です。
◎(まきえっと)東京の無機質さと加湿器の取り合わせが何ともいえないです。相当、音を立てないと潤わないです。
○(ルカ)四角い箱に暮らす都会の生活。
〇(宙虫)落葉のなかにまぎれる加湿器の音。小さなぬくもりも感じる。
初時雨金箔薄く伸ばされる まきえっと
○(藤三彩)蒔絵や漆巧芸の産地はそう、輪島、山中、金沢、越前などを想起させる日本海。雪の訪れが早い。
畳紙に祖母の崩し字花八つ手 アゼリア
○(呆夢)向田邦子のドラマの世界みたいです。
〇(宙虫)花八つ手の季語がいい感じ。
冬林檎病院食を想起する ちせい
風呂吹の湯気ごと供ふ大師堂 春生
〇(瞳人)お大師さんも、ゆるりと、いっぱい、などと。
○(アネモネ)いいですね、大根炊き。一度見てみたいと思っています。
〇(ルカ)湯気ごと丸ごとがいいですね。
〇(仙翁)美味しそうな大根で、温かく湯気も一緒にいただきましょう。
○(珠子)大根炊きなのでしょうか。私には経験がありませんが、「湯気ごと」が目に見えるようです。
◯ (アゼリア) 祖母がいつもお供えは熱いうちにと言っていたことを思い出しました。
○(まきえっと)ふーふーとしたくなります。
味噌づくり圧力鍋に希望と愛 藤三彩
枯葉ふむイヴ・モンタンの歌う声 泉
〇(瞳人)つきすぎ、などと言わずに、いいじゃあないですか、この季節ですもの。ふむ、歌う、を消して、なども言わなくて、いいじゃあないですか。
○(珠子)数え切れないほどたくさんの方が歌っていてそれぞれ素敵ですが、耳に残っているのはやはりイヴ・モンタンでしょう。
選外(とっきー)付きすぎ!!イヴ・モンタンの「危険な報酬」ラストシーンで呆然としたのが忘れられません。
実を結ぶ夢捨てきれず帰り花 とっきー
◎ (多実生) 気象現象はともかく、返り花を見て実を結ぶ夢と詠んだ作者の感受性が見事。
○(藤三彩)人それぞれに夢はずーっと持ち続けていたいもの。
○(敏)返り花に触発された「捨てきれ」ぬ夢への想いでありましょう。
伊右衛門か片や綾鷹寒燃えい 吾郎
○(餡子)二大ボトル茶でしょうか。私はどちらも呑みますが、昨日綾鷹が特売だったので買ってきた所です。
○(珠子)こういう商品名が回文になるだけでも驚きます。私なら綾鷹を買います。
○(まきえっと)私は「生茶」派ですが、目の付け所が面白いです。
(選外)(藤三彩)飲料茶の市場シェア争への眼点を俳句にする回文のおもしろさ。
冬銀河ふいに問われる生きる意味 あちゃこ
〇 (多実生) 見上げる冬銀河と比較すると日常の悔いなど小さい。
○(呆夢)こういったこと、ありますよね。一瞬をとらえていて、見事だと思います。
〇(仙翁)生きている意味は、ふと問われるのかも。
○(とっきー)三日考えても答えは見つかりません。
◯ (アゼリア) 学生の頃はよく自問していました。一生折にふれ問いつずけるのでしょうね。
還暦の十一月の空模様 幹夫
今日は全国的に寒くなった様です。しかし広島では、それほどの寒さにはなっておりません。今年は暖冬のような気がします。私の希望的観測ですが・・・。