大気が不安定でゲリラ豪雨の日々が続いておりますね。
外出したときはゲリラ豪雨に遭遇しないように祈ってしまいます。
兼題:秋
気合い欠く湿り海苔飯句会秋 吾郎
○(泉)「湿り海苔飯」では、気合いが出ませんね。
○(幹夫)上手い!
〇(アネモネ)海苔飯も句会ももうひとつ(笑)
◎(宙虫)今年は特にこの感覚。夏バテがずーっと続きそう。湿気た海苔がいい塩梅の句。
〇(仙翁)湿り海苔、気合の無さが出ています。
◯(道人)書いてない残暑の気配がよく分かる。
◯ (アゼリア) 私はおにぎりも海苔飯も湿った方が好きです。
〇(まきえっと)秋のはじめの気怠さが伝わってきます。
定食に秋の果物添えて出す 泉
○(ちせい)サービス業の意気込みが感じられます。
みどり児の産毛の濃さよ秋暑し 楊子
〇(春生)残暑の厳しさが出ました。「産毛の濃さよ」が効果的。
秋葉原をスワイプ梨を剥いた指 宙虫
〇(楊子)新しい感覚がいいです。固有名詞も面白いです。
◎(餡子)先ず、兼題の「秋」から季語でない秋を使ったところに意外さを感じました。秋葉原をスワイプ・・・これも面白い!!
○(アダー女)しばらく秋葉原に行っていないが、最近のアキバは電化製品や器具などだけの街ではないらしい。テレビに映った今の秋葉原の映像に、梨を剥いていてべたべたした手を洗う余裕もなく、作者はどれどれとスマホで検索。「へ~最近の秋葉原ってこんななんだ!」とスワイプを続けて調べている。作者の驚きと好奇心が眼に浮かぶ。
◯(道人)現代的な取合せ。渇いた孤独感が垣間見える。
〇(まきえっと)「秋葉原」が雰囲気を醸し出しています。
(選外)(藤三彩)新種の「スワイプ梨」があるのかと思った。スワイプとはスマホの操作用語のようでした。
銀漢や受け止めかねるその秋波 餡子
携帯の着信ランプ秋出水 卯平
武庫の峰越えくる色の今朝の秋 瞳人
〇(仙翁)超え来る色、上手い表現ですね。
ゆるやかに下るせせらぎ野路の秋 幹夫
〇(瞳人)秋が聞こえます
◯ (アゼリア) ひらがな表記が多いせいか、読ませて頂いただけで涼しくなりました。
三度目の秋、砲弾は鳴り止まず カンナ
○(珠子)始まりは2022年2月のことでした。三度目の秋が来ました。始めたら止められない戦争。歴史が繰り返し教えてくれているのに。
◯ (アゼリア) 戦地の映像に慣れてしまっている自分が怖くなります。
手ぐりをり秋のはじめの穴子筒 アネモネ
○(吾郎)たおやかなリズムと、あき/あなごの頭韻の心地よさ。
〇(瞳人)アナゴというやつは、ほんとに、穴が好き、もぐった穴から外をちらり、ちらりと
〇(藤三彩)穴子筒の中に鰯などの餌を入れて海中に沈めておくそう。大きく長いのを捕えるには円筒捕獲籠があるそうです。捕れてから出刃包丁でさばいて蒲焼にするまでひと仕事以上に暇をかける時間技でしょう。
秋草の丈の短し屈み見る 春生
〇(アネモネ)猫のしぐさが面白い!
〇(めたもん)下五「屈み見る」に優しさが滲みます。上五・中七で切れているようでも、繋がっているようでもあり、そこも良いと思います。
名ばかりの秋老木に水を遣る 仙翁
○(泉)「名ばかりの秋」に納得です。
◎(幹夫)残暑闌、水を欲する八月です。
〇(楊子)老木は自分自身かもしれませんね。ことに今年は暑く感じます。
◎(道人)今年の残暑に対する遣り切れない思いを、モノに託してリアルに詠っている。
〇(あき子)老木も水を遣るひとも、残暑に耐える日々が続きます。
新秋の路地嗅ぎ尽くす猫の鼻 珠子
秋渇きダブルワークの夜始まる あき子
〇(楊子)このご時世に働く人を忘れてはなりませんね。自分がゆっくりとしているので反省します。
◎(ちせい)その意気や良しですね。
鈴懸の葉擦れの音や今朝の秋 道人
〇(めたもん)中七に発見があり、措辞も上手いと思います。季語といい感じで響き合っています。
川音は鎮魂の歌秋北斗 あちゃこ
〇(春生)八月は広島、長崎の原爆記念日そして終戦記念日と鎮魂の思いが深まりました。
秋夕焼け芦ノ湖淡く染まりゆく アダー女
立秋の光を掬う銀の匙 まきえっと
秋の蝉鳴き止む永遠(とわ)に似た時間 めたもん
◎(楊子)あの一瞬をそうとらえられたこと、心から納得しました。
○(宙虫)林の中にいると確かに感じる瞬間。夏の終わりを実感もする。
〇(仙翁)静けさやの蝉の声、止めば、永遠の静寂でしょうか。
○(アダー女)蝉のうるさい鳴き声。それがピタッと止む。アレ!何かあったのか?不吉な気分になる。「どうしたんだ!」と蝉に呼びかけたくなる次の瞬間「み~ん、み~ん」とやかましい鳴き声。でもほっとするような気分になる。
○(あちゃこ)一瞬の静寂を永遠と感じとる感覚がわかるような気がします。似たは少し気になりますが。対案は?
秋の油断温度下がらぬ赤い地図 藤三彩
語り部の危惧する明日秋北斗 アゼリア
秋立つ日畝の深さに靴滑り ちせい
テーマ:準備
オリンピック汗と涙の四年間 泉
かなかなや温き水にて洗う墓 あちゃこ
○(吾郎)水道水もぬるいのです。ポンプで井戸水を汲む──という田舎ではないかも。
○(宙虫)ひぐらしが効果的。空気感が伝わる。
◎(あき子)かなかなの声に包まれて、温い水を手に感じながら墓を洗っている心情が伝わってきます。
◎(まきえっと)水道の蛇口をひねると生ぬるい水が出てきます。その感覚を表現したいと思っていました。かなかなもいいです。
鍵盤に小指沈める星月夜 まきえっと
○(卯平)星月夜が上手い。「鍵盤に沈むる小指星月夜」であれば特選候補。
◎(仙翁)鍵盤の小指、星月夜、きれいにできていますね。
○(アダー女)右手の小指か左手の小指か分からないが。子指で出す音、しかも沈めるようにとなると静かなゆったりとした曲を弾いているのだろう。星月夜とピッタリ。「月の光」?
◯ (アゼリア)ショパンでしょうか?想像しただけで癒されます。
この瞬(とき)のために鍛へて西瓜割る 幹夫
にっこりの遺影を撮ろう秋団扇 珠子
◎(吾郎)季語はさておき、撮ろう──が実に実に実によろしいかと。
○(餡子)そろそろ準備ですねえ。余り若い時のはつかえませんものねえ。一応選んではあるのですが・・・。
〇(カンナ)にっこりがよいですね。秋団扇を手にした遺影でしょうか。
○(宙虫)日常の光景。必ず来る死はそこにあるのだが・・・。
ほろほろと蟋蟀のこゑ亡友のこゑ 瞳人
稲刈りはずっと先畦草を刈る 仙翁
秋の蝶あまり準備はしない主義 めたもん
○(泉)ユーモラスな俳句だと思います。
○(珠子)「何も捨てない、しない、死んだら全部捨てていい。」とだけ宣ううちの家人。それとどこが違うのかなあ。
○(ちせい)割り切っている感じが季語の「秋の蝶」と合っていると思いました。
秋夕焼け予約アプリのパスワード 宙虫
○(卯平)秋夕焼に何の予約なのかのヒントがあるかも知れない。病院の予約かレストランの予約か、残念ながらこの季語から予約の具体化は導かれなかった。しかし、面白い取り合わせ。
◯(道人)夜のどんなイベントに行くのだろうか。一人だろうか。
玉蜀黍百本茹でて海の家 アネモネ
○(幹夫)テーマ「準備」に合致しており、具体的なところが佳い。
○(餡子)朝から大変でしょうねえ。昔の海の家しか記憶にないのですが、青春でした。
○(珠子)明るくて元気があって幸せな気分になれます。台風・地震が心配ですが。
〇(あき子)海の家の賑わいが立ち上がってきました。
〇(まきえっと)久しく行っていないですが、砂のざらつきが蘇ってきました。
迎え盆子に家系図のひとくさり 楊子
○(餡子)お盆で一族郎党集合!「我が家はだな、近江源氏の血を引いておる!ウッフン!・・」と親父のいつもの自慢が始まる。
〇(瞳人)ひとくさりも、みくさりも、してやってください
〇(カンナ)季語が適っていると思います。
〇(藤三彩)夏のお盆の時でもなければ祖先のことなど伝えられない。嫁家で亡くなった明治の叔母さんのお墓が墓仕舞いになっていた。
〇(めたもん)下五には自嘲的な雰囲気も少しあり、共感できます。
〇(春生)帰ってくる仏様のことを家系図を出して丁寧に説明しているのですね。「家系図」が良いと思います。
○(あちゃこ)盆のアルアル。とてもよく分かるリアルな句。
〇(まきえっと)こういう経験はしたことないですが、大事ですね。
行きつけの酒屋と駄弁る盆用意 道人
仕込み次第がちと違い山車神輿 吾郎
秋夜の地震ヘルメットかぶり時を待つ アダー女
終活を待てぬ積読曝書せよ 藤三彩
〇(カンナ)省略が上手いと思います。
〇(春生)その通り、とりあえず曝書しておきましょう。
新涼や新刊新書予約して 卯平
○(泉)すっきりとした俳句だと思います。
○(幹夫)読書の秋到来です。「新涼」がいい。
〇(楊子)ついでに夏の終わりには出る来年の暦や手帳も買うと致します。
〇(めたもん)繰り返される「新」の音が内容とも響き合って、気持ちのよい句。
◯ (アゼリア)新のリフレインが効いていて爽やかです。
先ず道具買い揃える気質(たち)秋暑し 餡子
◎(藤三彩)ひとり暮らしの結果として料理を始める。包丁の種類の基本をとっても牛刀、三徳、出刃にペティ等に砥石を加え、有名包丁店を巡り歩く。更に鍋(銅、琺瑯etc)、食器には各地の陶器市、せともの市、骨董市などで好みを漁るので棚に置き場所がなくなり伴侶に怒られる。まずそういう気質(たち)のことでしょう。
戦場のドローン部隊月明り あき子
段取り八分は父の口癖鰯雲 アゼリア
〇(楊子)今になってわかる親の言葉がありますね。鰯雲が効いています。
○(吾郎)仕込みで決まります、親父の名言。
○(餡子)昔から言われて居るのは「段取りは八分仕事は二分」ですね。石段の作り方からきた諺のようですね。最近は「段取りは六分片付けは三分残りの一分は誰でも出来る」だそうです。
○(卯平)上七をどう評価するか。鰯雲は納得。中七へこの季語が導く。上七、何とかしたい。
○(あちゃこ)お父さまの一面であり教え。懐かしく面影を浮かべているのでしょう。
内職の部屋を片付け盆用意 春生
○(吾郎)なんだろ団扇貼りか、盆用造花つくりか。
○(ちせい)すっきりとした部屋で盆容易ですね。
日記書き何の準備か虫の鳴く ちせい
買い出しのリュック抱えて炎天下 カンナ
雑詠
あえぎたるたましひ集ふ残暑かな 卯平
○(吾郎)なんともはや合掌…
アブラカタブラ秋風を誘き出す 珠子
〇(カンナ)独自性があってよいと思います。
○(アダー女)私もそんなおまじないが効いて秋風が「お待たせしました。」と出てきてくれたら嬉しい。
〇(春生)「アブラカタブラ」がぴったりです。
○(あちゃこ)よく効くおまじないがホントに欲しい。
〇(まきえっと)「アブラカタブラ」実りの秋です。農家さんの苦労が台無しになりませんように。
空蝉に触れる親指濡れており まきえっと
○(卯平)「空蝉に触るる親指濡れてをり」であれば特選候補を検討できる。
○(アダー女)抜け殻になった空蝉に雨でも降ったなごりか?深読みすれば「源氏物語」の空蝉が光源氏への熱き思いはあれど、夫ある身、泣く泣く衣を脱ぎ捨てて逃げていった女の涙か。
◎(春生)「濡れており」が空蝉のしっとり感につながりました。
けふの日を鳴き尽くさむと夕ひぐらし 春生
ひまわりの迷路出てから恋人に 楊子
〇(瞳人)途中、なにがあったのかしら
月の入りカーテンにある木の模様 ちせい
○(宙虫)月の映し出す世界がいい。
◎(めたもん)下五「木の模様」にリアリティーがあり、部屋の様子だけでなく、詠み手の心持ちも伝わります。静けさのある句。
〇(あき子)月を背景にした、カーテンの木の模様の存在感が新鮮。
源流のその一滴の岩清水 アネモネ
○(幹夫)着眼に共感。
○(珠子)何百もの支流に支えられている本流、その本流の最初の一滴は岩清水。小さな注連縄がかけられているかもしれません。
〇(仙翁)自然の始まり、小さな始まりですね。
子に絵本浪曲伝う原爆忌 藤三彩
手花火の最期は闇に水の音 幹夫
〇(アネモネ)バケツの水音が聞こえてきます。
宗匠と謂ふを躊躇う鰯雲 瞳人
秋旱平和の底に沈む家 宙虫
〇(あき子)平和とは、秋旱の底に沈むように耐えることかもしれない。
◎(あちゃこ)中七下五に共感。危機的世の中。それに気づかぬふりして生きる人々。抽象的ですが、勝手読みしました。
星空を見に生家なき盆帰省 道人
〇(瞳人)いやあ、む、む、む、む…、です
◎(珠子)「星を見に」が切なくしかし豊かな抒情。生まれた土地に代々の親族が住んでいるというのは当たり前ではなくなっています。
◎(卯平)生家なき盆帰省に共感。詠み手の詩人の魂を感じる。「星空を見に」が良い。迷わず特選。
◎(アネモネ)「生家なき盆帰省」に共感です。
〇(めたもん)世の中の無常と星空の対比に、身につまされます。
◎(アダー女)自分の生まれ育った生家にはもう父母もなく無人。もしくはもう壊されて生家の姿さえない。でもお盆ともなれば、生まれ育った故郷でみた星は懐かしく足はふるさとに向かう。ふるさとへ繊細なロマンに同感出来る。
〇(あき子)お盆の帰省も迎えてくれる生家はすでにない。ただ、星空は変わらずに。
単線鉄路の小さき旅なり曼珠沙華 アゼリア
〇(仙翁)組み合わせがとてもいいですね。
天変地異に逆らえぬ人間は蟻 カンナ
コスモスや揺れない嘘とゆれる嘘 めたもん
〇(藤三彩)コスモスは村お越しに種から播き育てて彩のある景色をつくる。人に来て欲しいようでインバウンドして日本語のわからない方たちが大挙するとそうでもないのだがなあとため息をする。
○(珠子)コスモスの揺れから嘘へ。私にも揺れない嘘はあります…ネ。
○(卯平)確かにコスモスにはこう思わせる。秋桜では中七下五は導かれないだろう
○(宙虫)真実はどこにもないのかもしれない。コスモス畑で見えるものは嘘ばかり。
◯(道人)取合せと対句表現の妙。
○(あちゃこ)心の動きをよく捉えていると思います。
敗戦忌世界時計のロスタイム あちゃこ
○(餡子)そうなのでしょうね。地球もいずれは・・・。
余勢駆う晩夏罹患場迂回せよ 吾郎
〇(カンナ)面白い回文。
〇(藤三彩)コロナの新種、食中毒、熱中症警戒アラートが発令される街中。まさに言いえた回文。
薄れゆく怒りと記憶原爆忌 泉
○(幹夫)戦後79年。同感です。
〇(アネモネ)まさにそうだと得心します。
八月十五日斯くあるべしを手放して あき子
◯(道人)下五はやや曖昧だが句意に共感。
◎ (アゼリア) 少し怖い気もありますが、もうそういう時期かもしれませんね。
負ける人こその勝つ人パリ五輪 仙翁
◎(泉)その通りなのですが、金メダルが脚光を浴びるのは已むを得ません。
母のした通りに迎え火母来ませり 餡子
○(泉)暖かい親子の絆を感じます。
◎(瞳人)送り火も迎え火も、すっかり遠のいてどれほどになろうか…、言葉もなし
◎(カンナ)定型より二音多いだけですが、この詠み方はなかなかできません。上手いと思います。
〇(アネモネ)しみじみと読ませていただきました。
○(ちせい)伝統は引き継がれていきますね。
霧の中想い出たどる駒ヶ岳 アダー女
〇(藤三彩)木曽駒ヶ岳のこととして顔がよく見えなかった霧の中の千畳敷駅からの密室ロープウェイでの出逢いかな。
☆☆次回をお楽しみ。
広島は連日の猛暑で、いつまで続くのか終りが見えません。この様に暑い夏も、あまり経験がありません。高校球児は立派です。そして、来週は大型台風が来るらしい。大変です。