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小麦句会 on blog

俳句「麦の会」の句会のひとつです。 ネット句会を月二回行っています。 この句会は誰でも参加できます。

第457回小麦句会結果発表

2021年07月23日 11時14分03秒 | 15日句会

この4連休は早起きをして草むしりをしようよ思っていますが、もう2日が過ぎてしまいました。

兼題:深
梅雨深し参拝客のなき古刹  泉

四百億赤字紙業の夏闇深し  瞳人      
○(敏)コロナ禍に遭遇し四百億もの赤字を出した紙業。夏闇の深さにそれを重ねての感慨の深さ重さを思います。

水無月の夜深し歓声上がるEUに  藤三彩

写真誌はミモザ揉みは深謝し  吾郎
〇(宙虫)あることないこと、ミモザの色が狂気にも。

風音の深くに朝の立葵  宙虫
〇(楊子)「深くに」はなかなか置けない詠みです。立葵のすくっとした立ち姿に心象が加わります。
〇(仙翁)音が深い、面白いですね。
〇(ちせい)深いですね。風の姿が見えるようでした。

深爪の絆創膏や浴衣着て  アダー女

深々と礼に行き交ふ墓参かな  幹夫
〇(楊子)「に」がいいです。「の」だったら平板な描写だったでしょう。
◯(ルカ)礼の、だと思いますが、きっちり写生されてます。
◯(アネモネ)今年こそ墓参り行かなくちゃあ。
○(卯平)お盆の句。広い墓苑の中の一コマ

五月雨や煙立つ山の息深し  仙翁
○(幹夫)山は生きている。山の景が目の前に浮かんでくるようです。

炎天の深みに嵌まり行く日本  餡子
◯(アネモネ)今の日本、ほんとそんな感じがします。
〇(珠子)まさに深みに嵌った日本。毎年この時期は絶望感に襲われます。人間はどこまで暑さに耐えられるのでしょうか。
◯ (アゼリア) 日本も私も何処へ行くのか時々心細くなります。
○(まきえっと)「炎天の深みに嵌り」が様々なことを語っているように思います。

河童忌や微睡み醒ます深呼吸  敏

深々と垂れて夕立のおじぎ草  アネモネ
◯(ルカ) 濡れそぼったおじぎ草の様子がわかります。

深酒に委ねてをりぬ夏の月  卯平  
◎(楊子)「夏の月」への飛び方にまいりました。「委ねて」という自我を押さえた表現も詩的です。
〇(藤三彩)家呑み、自粛酒、コロナ酒、居酒屋には行かない一人酒の酔いは翌日まで残る。
○(あちゃこ)共感です。でもお酒は得意じゃないので、思いの外美しい月に癒されています。
〇(珠子)「深酒にゆだねる」は私にはない世界ですが、お気持ちはわかるつもり…。夏の月もほんのり赤くて。
〇(仙翁)何を委ねているのでしょうね。
○(めたもん)すっきりした味わいのお酒でしょうね。自分を解放して、一人飲む酒の雰囲気がいいですね。
選外(吾郎)人ごとではないが、そういうものです。

谷地深く平家螢は闇焦す  道人
◎(餡子) 平家一門の怨念が感じられます。「闇焦す」が言い得て妙!!   
○(敏)闇にうごめく平家螢に、どんな思いを託したのでしょうか。
〇(宙虫)蛍のイメージの瓶詰のような句。

深呼吸すれば応える夏木立  楊子
○(あちゃこ)自然の懐の深さ。暑さで散歩もままなりませんが。
〇(春生)空気の良い木立のさまが出ています。健康的です。  

黒揚羽深く息吸ふ如く飛び  ちせい
○(あちゃこ)動きに着目した比喩がいいですね。
〇(春生)空気の良い木立のさまが出ています。健康的です。  

深き一礼日盛りの警備員  珠子
○(吾郎)もう、ひとえに頭下がります。すごい人たちだ。
○(餡子)何処の警備員さんも、律儀で温かくて感心します。日盛りには辛いでしょうにね。 
〇(メイ)確かな人が確かに居ると示してくれています。
○(アダー女)日本の湿気の多い暑さの中、警備員さんはカチッとした制服姿で礼儀正しく腰から曲げる礼の姿勢をくずさない。凄いといつも感服する。仕事というのはどれも辛いものですねえ。
◯(道人)一瞬の所作を切り取って警備員の人柄が見事に描かれている。
○(幹夫)炎暑の警備員さんには「お疲れ様」と感謝いっぱい。
○(まきえっと)ただただ頭が下がります。 
○(卯平)交通整理の警備員か。

大谷の深き一礼雲の峰  ルカ
〇(珠子)大谷くんの活躍はおとぎ話をもはるかに超えます。雲の峰がシンプルでベスト。 
〇(ちせい)大谷イコール雲の峰みたいな考えも思い浮かびました。

物の怪の潜む深淵月見草  あちゃこ
〇(珠子)河童からローレライまでたくさんの伝説があります。これは心の深淵かもしれませんが。月見草は黄色のイメージでしょうか。白花月見草も美しいですよ。(ご興味のある方には種を差し上げます。)
〇(仙翁)少し不気味で、面白いですね。

梅雨深し将棋の初手はお茶なりき  メイ
◯(ルカ)確かに、藤井聡太の初手。
〇(藤三彩)先ずはこころを落ち着かせてのお茶。二六歩の指先が映し出され、わかります。
○(餡子) 天才棋士、藤井聡太君ですね。あのルーチンがすっかり板について、貫禄も出てきました。そのうち全部のタイトルを手にするでしょう。
○(泉)先ずはお茶を飲んで、ゆっくりと初手を指す。ユーモラスな俳句だと思います。
(選外)(ちせい)ユーモラスなのですが・・・

黒少し混ぜて深紅の薔薇香る  めたもん
〇(楊子)濃く匂う薔薇が妖艶です。
〇(メイ)黒が混ざっているからこその深紅の美しさとその香り。

夏座敷つい深入りをする話  まきえっと

ダライラマの深き言の葉梅雨の星  アゼリア
〇(藤三彩)ダライラマ師の言の葉を嫌う赤い国があることはわかります。
(選外)(道人)句意に共鳴。季語が動くどうか。

テーマ:自由
結局は政治が悪い梅雨酒場  泉
〇(珠子)そうだそうだ!しかしそう言っているだけでは何も変わらず。反対の嵐の中、オリンピックも始まりました。

長梅雨の合ひ間熊蝉待ち切れず  瞳人 

呑む自由こよなく愛する自家梅酒  藤三彩
○(瞳人)籠り居の梅酒、健康そのものです

アマリリス指定の色に結ぶ髪  メイ
(選外)(ちせい)かなりいいと思ったのですが、もう少し深みが有ってもと思いました。

自由とは羽化失敗に集る蟻  ちせい
○(吾郎)そう言われればそうかもしれないけど、どっちかと言うと本能かな
○(あちゃこ)自由だが残酷。残酷でありながら、悲しい。自由とは悲しみ。自由とは無常。

ウイルスの肥えて気儘な夏の雲  幹夫
○(あちゃこ)どうにもならないことへの無力感を感じます。

雲の峰鍵はいつもの場所に置く  まきえっと
○(吾郎)入口脇の植木鉢の下とか。同棲共働き的な懐かしい昭和の空気感。
○(敏)自分が不在であっても自由に出入りして下さいとの、愛しい人へのメッセージ?
〇(宙虫)なんでもないことがすっきりとしておおらか。
〇(ちせい)事実をそのまま述べることがそのまま詩性を帯びる好例句だと思いました。
○(卯平)松山千春の歌を思い出す。
(選外)(道人)鍵は置きっ放しのままで彼方此方旅するのが自由人。

くるくると空をかき混ぜ捕虫網  宙虫
〇(楊子)「空」に尽きます。補虫網の背景を詠んだところがいいです。
○(アダー女)夏休みの情景が浮かぶ。なかなか一発では捕虫出来ず、くるくる空中を引っかき回して虫を追う子供の姿。「空をかき混ぜ」が子供の無駄な動きが感じられ上手い表現です。
◎(仙翁)空をかき混ぜる、面白いですね。
◎(めたもん)青い空に真新しい白い捕虫網の楽しそうな動き。上五「くるくる」が軽やかで効果的です。
◯(道人)理屈抜きにリズムが佳い。
◎(まきえっと)虫を捕まえることだけに集中していたなぁ。  

音ひいて宙に花火の矢継早や  アネモネ

夏の夢無計画の計画ひとり旅  アダー女
◯ (アゼリア) 憧れます。無計画の計画ー素敵な表現ですね。

原爆忌慰安恋愛聞く晩餉  吾郎
◎(泉)見事な回文だと思います。俳句としても優れた作品だと思います。
◯(道人)八月六日九日十五日と続くしみじみとした夕餉。

菜園ののの字の胡瓜下手ばかり  楊子
○(瞳人)そういうのがおいしいのです、きっと

あめんぼの死んだふりしてあめんぼう  道人
○(めたもん)何々?と思って読み返し、くすっとなります。言葉って面白いですね。
○(卯平)あめんぼうの二面性。作者自身があめんぼう。

柵を逃れ踏み入る夏の山  仙翁
○(敏)どんな柵かはそれぞれが自由に想像して欲しいのでしょうね。

三従の三でごたごた梅雨の雷  餡子
○(泉)「三従」とは今や死語でしょう。「梅雨の雷」が怖いですね。
選外(吾郎)そらあ、さぞやゴタゴタ。
(選外)(ちせい)三従の教えは暗いですね。

想像の翼広げ宇宙へ星涼し  アゼリア

自由という自由不自由不死男の忌  ルカ
〇(メイ)自由と不自由の間を行ったり来たり。
◎(春生)季語「不死男の忌」が効いています。秋元不死男の波乱の人生をうまく捉えています。
◎(卯平)不死男忌の意味性よりリズムとしてのこの季語の位置。このような句も評価していいだろう。

真っ新な海へ裸足の少年期  あちゃこ
〇(楊子)ストレートですが、少年期を清しく読んでいて好感がもてます。
○(アダー女)海と裸足の少年の組み合わせはかなり多く平凡ではある。ただ、「真っ新な海」と「少年」の取り合わせがやはり清々しく好感度高いです。
◎(幹夫)夏の海に向かって砂浜を駆け進む少年。裸足の少年は自由奔放!

猫戻る星逢う夜の雨しずく  珠子
○(泉)メルヘンのような俳句だと思います。
(選外)(道人)雨には勝てない猫にペーソスあり。

不自由も自由も背負(しょ)って蝸牛  めたもん
○(アダー女)(しょ)のルビはいらないのでは。蝸牛はあの殻のままゆっくりゆっくり移動。その生き様は足の向くまま気の向くまま。でも素早く移動も出来ず、あの殻をずっと背負っている。よく考えてみれば生きとし生けるもの全て自由と不自由を背負った一生なんですよね。
〇(仙翁)蛞蝓よりも、蝸牛は自由なのか不自由なのか。
○(幹夫)蝸牛の大きな殻がゆっくりゆっくり進む。
◎ (アゼリア) 蝸牛の季語が効いていると思います。

分け入ったぜ山頭火の青い山に  敏
○(餡子)すごいぜ!やったぜ!

満員の不自由展や旱星  卯平
〇(春生)展覧会までの苦難が季語「旱星」で集約されています。 

雑詠
その日まで暮らしこまごまねぶの花  メイ

ボガートのせりふ早口海霧に消え  瞳人 
〇(ちせい)印象の深さが伝わって来る句だと思いました。

みな妻や子のおるおのこ山津波  吾郎
◎(珠子)家族があり同僚や友人がいて、遠くに親がご健在かもしれません。山津波に呑み込まれた方々の無念はいかばかりか。悔やんでも悔やみきれない人災。 
◯(道人)熱海の人工山津波の被害者に黙祷。

雨漏りのリズム愉しも夏の夕  仙翁

黄(きい)ピンク上下青田の通学路  めたもん

蛍の守護天使のごと肩灯す  アゼリア
○(吾郎)大仰な例えの割にさりげない美しさ。

梅雨晴間傘を忘れた喫茶店  泉

沖縄の風のしめりや瓶コーラ  楊子
○(餡子)沖縄と瓶コーラ。言われてみると納得。 
○(泉)沖縄には瓶のコーラが似合っている、かも知れません。重いですね。
○(アダー女)海に囲まれた沖縄の湿った風。缶ではなく昔懐かし瓶コーラがぴたりときてノスタルジックな気分になります。
◎(あちゃこ)瓶コーラから、米軍基地。基地から沖縄へ発想が広がる。中七が効いています。
○(まきえっと)沖縄と瓶コーラの取り合せがいいですね。
(選外)(ちせい)魅力的な句ではありますね。

極楽の風吹く夏の尾根歩き  アダー女
○(瞳人)ほんとに
◎(藤三彩)ここ三年くらい山に行けていない。体力が落ちている。山小屋も経営苦しいだろう。
◎(アネモネ)これはいい。爽快感横溢です。
◎(メイ)この気持ちの良いリズムと光景に救われます。極楽の風に吹かれて歩きたい。
〇(春生)大自然の中の安らぎが伝わってきます。     
○(幹夫)爽やかな夏の風が吹く。
◯ (アゼリア) 思い出しましたあの快感。

迎え火や線状降雨止んでくれ  藤三彩

胡瓜噛む力まだある検温器  宙虫
○(卯平)検温器に力があると言う景は想像出来そうで焦点化がぼやける。胡瓜はこの「力ある」の表明か。

口中に空気が溜まり梅雨湿り  ちせい
〇(宙虫)口の中に凝縮された感覚が面白い。

手作りのラジオ傍へに籠枕  アネモネ

真っ直ぐに生きて夜明けの誘蛾灯  あちゃこ
◎(ルカ)詩情があります。
○(泉)生き方は人それぞれです。大谷選手を思い出しました。
○(めたもん)「夜明けの誘蛾灯」がいいですね。自分の人生を考えさせられます。真っ直ぐのような、そうでもないような。
〇(宙虫)きっと人を疑うこともなかったのかも。夜明けの誘蛾灯の疲労感もある。
〇(ちせい)もしかしたら誘蛾灯には死んだ虫が一匹も居なかったのかもしれません。
選外(吾郎)人生?なんてそんなもの

扇風機首振る中のお飯事  幹夫
○(めたもん)扇風機の風という限られた範囲での可愛い「お飯事」。外から見ると可愛いもの。大人の生活も同じようなものなのかもしれません。

村を出て村に帰れぬ迷い蛇  餡子
◎(アダー女)擬人化された蛇はもしかしたら作者自身?村を出て都会に出たものの当初の夢のようにはいかず、彷徨った揚句、さてこのままでは恋しい故郷にも帰れない。蛇が不気味な存在なだけに作者の切ない思いが強く迫ってくるようで。
○(めたもん)「迷い蛇」の哀しみに共感。その哀しみがじめっとしないのはどこかユーモラスな感じのする「蛇」の効果でしょうか。
◎(宙虫)蛇たちは自分の巣穴をわかっているんだろうか?故郷に嫌われてしまう哀しさも見える。
◎(道人)蛇には色んなイメージがある。この蛇は家や村の守神とも云われている青大将であろうか。作者の分身ともとれる。
◎(ちせい)村が狭かったのかもしれませんが、「迷い蛇」とは秀抜だと思いました。

手拭いを腰に入場夏芝居  卯平 
◯(ルカ)村芝居の臨場感あり。
○(餡子)ほらほら始まるよ、ここだよ早くおいで!等と声かけされているお父さん。今、田んぼから帰ってきたばかり。演目は何でしょうか?
◯(アネモネ)なんとなくそんな感じ!
〇(春生)素朴な村芝居の雰囲気が表現されました。
○(幹夫)おっちゃんたる作者の格好が詠まれる。
○(まきえっと)ほのぼのとしています。
(選外)(ちせい)威風堂々たる句ではあると思いました。

宙吊りの言の葉軒に釣忍  敏
〇(藤三彩)釣忍は、山採りの忍草や苔を栽培する業者さんも高齢化してあまり見かけなくなった。でも情緒がある景色は大事にしたい。

梅雨晴や長押の遺影もて帰る  道人
〇(メイ)戦死した親族の遺影が長押に並んでいた、田舎の家を思いだしました。長押から外して、どこに「もて帰る」のでしょう。
◯ (アゼリア) 昔旧家の仏間の長押にご先祖様の遺影が並んでいましたよね。

木洩れ日のさざなみ揚羽蝶の昼  珠子
○(吾郎)きれいな句
◯(アネモネ)なるほど!さざなみがいかにもです。
◎(敏)「木洩れ日のさざなみ」この形容に痺れました。
◯ (アゼリア) 避暑地の静かで幸せな昼下りですね。
○(まきえっと)「木漏れ日のさざなみ」がきれいです。 

頼みごとするりかわされところてん  ルカ
◎(吾郎)しょうがねぇなぁ~感が行き交う微妙な距離感と時間が見事。ひらがながいい仕事してます
◎(瞳人)頼み事って、むつかしいですよね、それをうんと云わせるコツ、教えてほしいなあ
〇(仙翁)するり、心太、面白いですね。
(選外)(道人)類想はありそうだが、俳味と「するり」が佳い。

切り株の歪む年輪夏旺ん  まきえっと
◯(アネモネ)年輪も暑さにとろんとしているようです。
〇(メイ)環境は、樹木にも人間にも大きく影響して、長い時間のあとに結果が現れる。
◯(道人)「歪む年輪」に猛暑の勢いが集約されている。

☆次回をお楽しみに。



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1 コメント

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ご苦労様でした ()
2021-07-24 10:04:48
まきえっとさん、句会当番のお役目ご苦労様でした。今後とも、よろしくお願いいたします。

広島は梅雨が明けましたが、以来、猛烈な暑さの日々が続いています。ゴタゴタがありましたが、ついにオリンピックが始まりました。国民の思いはいろいろでしょうが、選手たちには貴重なオリンピックです。世界中の観客も、感動しています。やはりオリンピックはスゴイですね。
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