技術メモ

過去の経験や実験データ,設計・検討資料を残す。
今取り組んでいることのプロセスの記録から新たな気付きを得る。

単相フルブリッジ・アクティブフィルタ(力率改善:PFC)回路のデジタル制御

2016-10-26 | 回路

単相の力率改善回路は,小容量の場合は1石式の昇圧回路により実現する。
100W以下程度なら臨界モード(電流不連続)で簡易な回路とし,2kW程度までの場合は
電流連続モードの制御をし,ピーク電流を抑えることで高効率を実現している。

さらに電力容量が大きくなる場合は,フルブリッジの昇圧回路を用いている。
フルブリッジのアクティブフィルタ回路は,電力の流れを双方向に制御可能で,なお且つ
位相も電流波形も変えられるため,交流負荷装置にも応用が可能である。

フルブリッジ・アクテイブフィルタ回路のデジタル制御を実施したので紹介する。

PWMインバータによりV2を発生させることにより,ILを制御する。
(1)電流0[A]設定の時,V1=V2とすることで,電流0となる。
   V1の値をそのままV2指令V2*とする。

(2)PI制御をしない(PIゲインを0)時,ILにより発生するVLを計算し,V2*をつくる。

(3)電流の向きと大きさにより,デッドタイム補正を行い波形歪を最少にする。

(4)ILをフィードバックし,PI制御により大きさ,位相,波形歪を制御する。

これらをプログラム作り込むことで,電流指令IL*通りの入力電流波形を実現できる。
ここでVdcはV1の最大値以上ないとV2を発生できず,制御できない。
一般的には240V*(√2) < Vdc ≒ 380Vdc~400Vdcとしている。


AC/AC変換(電子スライダック)

2016-09-27 | 回路

AC電圧を可変する装置にスライダック(可変オートトランス)がある。

スライダックは,トランスなので重い。
これを電子的に可変することで,軽くて制御機能も付けられ便利となるので製作してみた。

波形整形のイメージはこんな感じ。

実際の波形(無負荷)

入力電圧を100V,200Vにした時,85V出力の波形です。

降圧しかできないので,実際の使い方は,電源ラインにトランスを直列接続し
電圧微調整の回路として用いる。

 

 

 


整流回路の電圧電流

2016-08-20 | 回路

整流回路の電圧・電流を求める一覧表を作成した。
負荷は抵抗としているので,実際の整流回路での値とは異なることに注意

http://www.tokyo-seiden.co.jp/technic/rectify/

整流回路とサイリスタ1次制御により,大電流や高電圧の直流電源が容易に設計できる。

サイリスタ式100kVA1000V直流電源
http://www.tokyo-seiden.co.jp/seihinn/dengen/ga0099/

集塵機用高電圧電源
http://www.tokyo-seiden.co.jp/seihinn/dengen/syuujinki2/


インダクタンスの測定

2016-07-01 | 回路

2.VI法によるインダクタンスLの算出
   リアクトルは銅線の抵抗とインダクタンスが直列接続された回路と考えてよい。
  (1)リアクトルの直流抵抗Rを事前に測定する。
  (2)既知の周波数f,正弦波電圧Vrms,その時の電流Irms(但し歪なきこと)を測定する。
  (3)ベクトル図から,三角形のピタゴラスの定理を用いてLの算出式が導かれる。
     V2 = (RI)2 + (ωLI)2   ∴ L=√{V2 -  (RI)2 }/ωI

3.電力計による測定

  (1)皮相電力:S=V*I[VA]
    (2)有効電力:P=V*I*cosφ[W]   = R*I2      ∴R = P/I2
    (3)無効電力:Q=V*I*sinφ[Var] = ωL*I2    ∴L= Q/(ω*I2


ΔΣ-AD変換回路の動作

2014-06-18 | 回路

ΔΣ-AD変換回路の動作を順を追って考えてみた。

回路図

積分回路は1クロックで入力電圧と同じ値だけ充電できるRCの値とする。

(1)Vxに0.235Vを印可したとする。
(2)V1=-0.235V
(3)V2は前回の積分値からV1を引いた値となる。 
   一番最初はV2の前回値は0Vなので,V2=0-(-0.235)=0.235V
(4)コンパレータはV2>0なので,D=1
(5)初段のオペアンプの+端子には1V印可される。

以降(2)~(5)を繰り返し,Dが1になった回数をカウントする
(2)V1=1V-0.235V=0.765V
(3)V2=0.235V-0.765V=-0.53V
(4)V2<0なので,D=0
(5)初段のオペアンプの+端子には0V

この作業をひたすら繰り返したものをEXCELで記す。

1000回繰り返した時,D=1となった回数は235回
基準電圧が1VなのでVx(AD測定値)=1V*235/1000=0.235V

なんと,印可電圧と同じ値が測定できた。
不思議なことだ?