十兵衛と語ろう

十兵衛と語ろう

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2011-08-08 12:52:46 | 月之抄
先の越す所の事
 親父殿曰く。先の越す所とは、動作や仕草の上にも生ずるのであると、云う。それは敵の気が抜けたところへ、仕掛けることを云う。その根本の教えは、自分の初めの一念を其のままに仕掛けて、先々と勝つことを云う。又、初めの一念を思い起こすや否や、「西江水」の心境に入る所が、先を越す所なのである。始まる所が先である。この先を「西江水」に入る所が越したところなのである。「百間の先迄も勝つ」というのは、この心持を云うのである。先を越してからは無心になるが故である。無心の心境になってからは、有心にはいづれも勝つのである。爺様の目録には理なし。