≪9/7≫
ロッテ・小島和哉は今季ここまで137回1/3を投げ与四球は25と非常に少ない。
3年連続規定投球回に到達している小島の21年からの3年間の与四球数を見ると、21年が146回を投げ51与四球、22年が143回1/3を投げ43与四球、23年が158回1/3を投げ57与四球と、数字を見ただけでも今季の与四球の少なさがわかる。
小島は昨年シーズン終了後の取材で「四球が多いですし、そこを削っていきたい。そうしたら10球削れたら1イニング長く投げられると思いますし、四球でもいいと思って出している四球ではないので、ノー感じな四球がちょくちょく出てくるのが僕の悪い時だと思うので、その辺は改善できたらなと思います」と話していた中で、見事に改善している。
ただ小島本人は「最近は四球を出した時の試合の方が抑えているので、結局四隅に我慢して投げられている時の方が結果として出やすくて、四球を嫌がってゾーンで(ストライクを)取りに行った時に痛打されているイメージ。最近は四球を出してもいいと思って投げています」と話すように、直近3試合を見ると、8回無失点で8勝目を挙げた8月13日の日本ハム戦は3与四球、7回無失点で9勝目をマークした8月27日の西武戦では3与四球。一方で敗戦投手となった8月20日の日本ハム戦は0与四球も5回5失点だった。
3年連続規定投球回に到達している小島の21年からの3年間の与四球数を見ると、21年が146回を投げ51与四球、22年が143回1/3を投げ43与四球、23年が158回1/3を投げ57与四球と、数字を見ただけでも今季の与四球の少なさがわかる。
小島は昨年シーズン終了後の取材で「四球が多いですし、そこを削っていきたい。そうしたら10球削れたら1イニング長く投げられると思いますし、四球でもいいと思って出している四球ではないので、ノー感じな四球がちょくちょく出てくるのが僕の悪い時だと思うので、その辺は改善できたらなと思います」と話していた中で、見事に改善している。
ただ小島本人は「最近は四球を出した時の試合の方が抑えているので、結局四隅に我慢して投げられている時の方が結果として出やすくて、四球を嫌がってゾーンで(ストライクを)取りに行った時に痛打されているイメージ。最近は四球を出してもいいと思って投げています」と話すように、直近3試合を見ると、8回無失点で8勝目を挙げた8月13日の日本ハム戦は3与四球、7回無失点で9勝目をマークした8月27日の西武戦では3与四球。一方で敗戦投手となった8月20日の日本ハム戦は0与四球も5回5失点だった。
その考えの裏には“カイケル効果”があった。「四球率は良い時は少なかったけど、四球を出すのは嫌と思っていない。結局、悪いカウントでも厳しいところで振ってくれたら儲けもん。振らなくても、しゃあないね感じらしいので、メンタルというか、常日頃から低めの意識が強い。思えば、思うほど球は低くなると言っていたので、そういうのは大事だなと思っています」。
貪欲な姿勢
前回登板の8月27日の西武戦では、0-0の2回一死走者なしで山村崇嘉に1ボール1ストライクから空振りを奪った3球目の136キロのフォーク、2-0の7回無死一塁で古賀悠斗を初球の136キロのフォークで投併に仕留めたフォークが非常に素晴らしかった。
「結構フォークを投げていたので、いい感じにツーシームのような感じで動いていた。それとうまくチェンジアップが…」と分析。
そのチェンジアップについても「古賀に三振を取ったのがいつもの自分のチェンジアップ。それ以外はほとんどカイケル投手から教わったチェンジアップですね」と振り返った。
小島はカイケルだけでなく、過去には高梨雄平(巨人)から左打者のインコースの使い方、ペルドモ(オリックス)、種市篤暉から縦スライダーの握りを教わり昨年の後半から縦のスライダーは自身の大きな武器になっている。
プロ入りからいろんな選手から貪欲に教わる姿勢は変わらない。良いものを吸収しようとし、それが好結果につながっているようにも見える。「どうなんですかね、良いなと思ったら聞きたいじゃないですか。そんな感じですね」とのこと。
大事な戦いが続く中で小島は「イニング投げるよりも、まずは試合を作ることのほうが大事。まずは試合を作った上で、できるだけ失点を減らしてというところですかね、はい」と意気込んだ。18時から行われる楽天戦で勝利すれば、2年連続2桁勝利達成となる。
取材・文=岩下雄太
(ベースボールキング)
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清水直行が語るロッテの現状 投手編
9月5日の時点でパ・リーグ3位のロッテ。8月は12勝15敗と負け越し、主力に複数のケガ人が出るなど苦しい状態が続いている。残り試合が少ないなかで巻き返しをはかるには、チーム防御率がリーグ5位(3.24)と低迷中の投手陣の復調が欠かせない。
長らくロッテのエースとして活躍し、2018年、19年にはロッテの投手コーチも務めた清水直行氏に、投手陣に対しての見解を聞いた。
【サイ・ヤング賞投手、カイケルの印象は?】
――まず、先発投手陣の印象はいかがですか?
清水直行(以下、清水) チームの勝ち頭(9勝)である小島和哉は好不調に波がありながらも投げてくれていますし、種市篤暉はピッチングが大人になった。C.C.メルセデスは後半戦で疲れが出始めていますが、佐々木朗希が復帰後はローテーションを守っていて、ベテランの唐川侑己や石川歩が戦列に戻ってきてくれたのも大きいです。チーム2位の8勝を挙げている西野勇士の頑張りも光りますね。
あとは、途中加入のダラス・カイケルが及第点のピッチングを見せてくれていますし、先発ピッチャーが揃ってきたなと思っていたのですが......その矢先に、種市が右足内転筋の筋損傷で離脱してしまいましたね(9月3日に登録抹消)。これはチーム全体でカバーしていくしかないです。
――7月に加入した、2015年サイ・ヤング賞投手のダラス・カイケル投手のピッチングはどうですか?
清水 ツーシームを軸にして、右バッターにはチェンジアップ、左バッターにはスライダーやカットボールという組み立てなのですが、ピッチングに"うまさ"を感じます。初登板のソフトバンク戦の初回こそ浮足立っていて打たれてしまいましたが、すぐに立て直して無失点に抑えたあたりは、「さすがサイ・ヤング賞投手だな」と思いました。ここまで先発で4試合に先発(9月5日時点、以下同)していますが、すでに感覚をつかんできていますよね。
日本のストライクゾーンや、相手チームのバッターの特徴などをインプットしている段階だと思いますが、マウンドやボールには慣れてきている。もう少しバッターとの対戦が増えて、生活環境も落ち着いて、チーム内でのコミュニケーションがよくなっていくと、パフォーマンスはさらに向上していきそうです。何よりも"生きた教材"としての価値は、ロッテのピッチャー陣にとって大きいです。
――カイケル投手の加入はプラス材料ですが、やはり種市投手の離脱は痛いですね。
清水 そうですね。ベテランの唐川や石川に多くのイニングを投げさせることは難しいと思いますし、そう考えると若いピッチャーが2枚ぐらい出てきてほしいところです。今季、それぞれ3試合に先発した中森俊介と田中晴也にはまたチャンスが来ると思いますが、彼らはもっと投球術を覚えなければいけません。
今は球速や球の強さ、変化量にこだわったり、荒々しく三振を取ろうとする傾向がある印象です。もちろん悪いことではないのですが、先発ピッチャーとしてはシーズンを通してどれぐらいの数字を残せるかが大事だと僕は思いますし、そのためにピッチングを覚えるべき。まずはローテーションの一角を任せられるようになって、そこからチームに頼られる柱になっていくことが理想です。ふたりはまだまだ粗削りですが、ある程度順調に成長してきていますし、いい成長曲線を描いていってほしいですね。
【リリーフ陣で期待の投手は?】
―― 一方で、リリーフ陣の現状はどう見ていますか?
清水 昨季に頑張ってくれていた西村天裕と澤田圭佑がブルペンにいないのは痛いです。坂本光士郎は打ち込まれて大量失点してしまう場面も見られますし、対左バッターの被打率(.355)と防御率(5.87)がセットアッパーとしては厳しいですね。
43登板で防御率0.44の鈴木昭汰をはじめ、国吉佑樹や横山陸人が頑張ってくれています。ベテランの益田直也の存在も助かっている部分はあるのですが、ちょっと一軍と二軍との出入りが激しいなと感じます。やはり3、4人は、シーズンを通して一軍のブルペンにいてほしい。なかでも、期待しているのは菊地吏玖です。
――2022年ドラフト1位の菊地投手は、一軍での登板数が増えていますね。昨季は1試合でしたが、今季はこれまでに14試合に登板(防御率1.69)。奪三振率(9.56)もいいです。
清水 菊地は低めの真っすぐがよくなりました。セットアッパーが一番多く投げるボールは真っすぐだと思いますが、菊地は特に真っすぐの割合が高い(約62%)。もちろん打たれる場面もありますが、思い切ってどんどん投げ込んでいますし、彼はこれから期待できると思いますよ。
――真っすぐの次に投球割合が高いフォークは、被打率.059、奪空振り率が26.2%といい数字です。
清水 やはり低めの真っすぐの伸びと制球がよくなりましたし、低めの真っすぐに球審の手が上がるとバッターは反応さぜるをえません。その真っすぐの軌道からフォークを落とせば振ってくれますしね。とにかく菊地に関しては真っすぐがよくなった印象があります。
――セットアッパーとしての適正を感じますか?
清水 どのポジションで開花するかはわかりません。もともと先発をしていたピッチャーがリリーフになると、自信がない球種は封印してほとんど使いませんが、逆にリリーフが先発になると球種を増やしたりしますよね。彼の場合は、適正を探っていかなければいけない段階だと思います。
今後もセットアッパーを任されるのか、先発などほかのポジションで試されるのかはわかりません。でも、今のところはセットアッパーにハマっているので、このまま経験を積んでポジションをつかみ取っていくのも方向性として悪くないんじゃないかなと。
――ロッテは終盤に向けて、先発に最少失点でしのいでもらい、リードした状態で国吉投手、鈴木投手、益田投手らに回せるかどうかがカギになりそうですね。
清水 そうですね。特に鈴木は今季覚醒しました。現在の数字は驚異的ですし、「鈴木まで回せば」という雰囲気がチーム全体にあると思います。先頭バッターを出塁させてしまっても、スコアリングポジションにランナーがいても落ち着いていますし、自信がみなぎっていますよね。今後はこれまで以上にしびれるような場面での登板が増えると思いますが、やってくれると期待しています。
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清水直行が語るロッテの現状 野手陣
清水直行氏に聞く、CS進出を目指すロッテの野手編。9月5日時点でチーム打率.250 (リーグ2位)、423得点(リーグ3位)と上々だが、今季に成長を感じている選手や、日替わりで変わる打順についての見解を聞いた。
【日替わり打線が機能する条件】
――ピッチャーに続いて野手陣についてお聞きします。現状をどう見ていますか?
清水直行(以下、清水) "打線は水物"といったらそれでおしまいなのですが、ほとんどの選手が同じ時期に不調に陥る傾向がありますよね。そんななか、藤原恭大はよくなりました。満塁の場面で力んで、明らかなボール球を振って三振したりすることもありますが、そういった壁をもうひとつ、ふたつ越えられたら、どんなピッチャーと対戦しても戦えるぐらいのところまではきているのかなと。成長曲線が上向きの軌道になった印象です。
――藤原選手は1番、3番、9番など任される打順が頻繁に変わっていますが、固定したほうがいいでしょうか。
清水 藤原に限らず、ロッテはほとんどの選手がいろいろな打順を任されることが多いですよね。選手によっては、固定してくれたほうがやりやすい場合もあると思います。それは「毎試合3番に固定してほしい」といったことではなく、「中軸のどこか」だったり、ある程度の固定を望む選手はいるんじゃないか、というニュアンスです。
――かつて近鉄やオリックスで指揮を執った仰木彬監督や、ロッテで指揮を執ったボビー・バレンタイン監督も、毎試合のように打順を変えて試合に臨むことが多かったと思います。吉井理人監督は両監督のもとでもプレーされていますね。
清水 その影響があるかどうかはわかりませんが、毎試合打線の並びを変えるやり方は近いですよね。吉井監督は、おそらく野手の疲労が蓄積しないように配慮しているんだと思いますが、それでも故障・離脱者が出てしまうのは、選手たちの体がついてきていないんじゃないかと。それは選手たち自身の問題で、打順の並びを変えることがよくないわけではありません。
もうひとつ、打順を変える理由として考えられるのは、相手ピッチャーの球種や球質、球場の特性などに合わせて決めているということ。つまり、相手に合わせた布陣です。クリーンナップを上位と下位にふたつ作ったり、足があるバッターを散らすことで打順にバリエーションが生まれたりしますが、「自分たちの攻める形がない」という言い方もできます。ただ、それは悪いことではないですよ。「決まった形がないことが自分たちの形」という捉え方もできますし。
――どんな相手でも対応できる、自分たちの攻める形ができていることが理想ですか?
清水 個々の役割が明確になるという意味では、選手も試合に臨みやすくなりますし、作戦の成功率も高くなると思います。ピッチャーでは、昔はよく"先発3本柱"と言われましたけど、打線でも中軸は変えないとか、逆に中軸を変えることがあっても1、2番は固定するとか......ある程度は固定された部分がないと、自分たちの攻めていく形が浸透しないんじゃないかと思います。
――打順を変えるにしろ固定するにしろ、作戦を遂行する選手たちの技術や体力が伴っていなければいけない?
清水 ボビーのときに日替わり打線が機能していたのは、個々の能力が高く、与えられたポジションや打順でみんなが結果を出せていたからです。打順を変えようが固定しようが、結局プレーするのは選手。打順をどう組もうが打つ選手は打つし、技術がなければ何番を任されようが打てません。体力がなければ、休みをもらってもついていけませんよね。
よく思うのですが、支配下選手登録70人のなかで、一番頼りになる選手が3番や4番を任されるわけじゃないですか。その選手たちが打てなかったら仕方がない、と。ただ、そうなると責任やプレッシャーが重くなるので、打順を変えるなどして集中しないように分散する。でも、それに耐えうる選手がいれば分散させる必要がない。結局、そういう選手が出てこなければいけないんです。
【ルーキーの上田、寺地にも期待】
――個々の選手の話に戻りますが、現状のロッテのバッター陣で藤原選手以外に注目している選手はいますか?
清水 小川龍成です。もともと守備はよかったですが、打席での粘りが出てきて自分のヒットゾーンもわかってきた。攻守に存在感が出てきましたね。しかし、彼が確固たるレギュラーになるために必要なのは、打球の力強さ。今の打球では、小技ができるユーティリティープレーヤーという枠から脱却できません。
ただ、彼は自分がやらなければいけないことを熟考して泥臭く取り組み、頭角を現わしてきました。それは評価すべきだと思います。彼はもっとできると期待していますし、あとひと皮、ふた皮むけるためにも打球の強さを追求してほしいです。
泥臭くといえば、藤原もそうですよね。追い込まれたらノーステップで打つ決断をして、打てる確率が上がった。泥臭く地に足をつけ、真摯な態度で取り組むことが成功への近道です。
――ケガで二軍調整中ですが、ドラ1ルーキーの上田希由翔選手はいかがですか?
清水 「使いたいな」と思わせるぐらいの安定感が出てきたら面白いなと。現在サードを守っている中村奨吾を脅かす存在になれば、内野の相関図が変わっていくでしょう。そういう意味では、彼の成長がチームを変えていく可能性があります。
あとはファームで結果を出している、やはりルーキーの寺地隆成。非凡な打撃センスがありますし、キャッチャーだけではなくほかのポジションで可能性を探ることもひとつかなと。あくまで僕の個人的な意見ではありますが、キャッチャーから転向して成功している選手は過去に多いですし、彼は足もありますしね。
とにかく、バッター陣はいつまでも外国人助っ人やベテランたちに頼ってばかりはいられません。若手の成長と下からの突き上げに期待しています。先ほどもお話しましたが、技術と体力が伴った確固たるレギュラーと呼べる選手が、若手のなかからもっと出てきてほしいですね。
【プロフィール】
清水直行(しみず・なおゆき)
1975年11月24日に京都府京都市に生まれ、兵庫県西宮市で育つ。社会人・東芝府中から、1999年のドラフトで逆指名によりロッテに入団。長く先発ローテーションの核として活躍した。日本代表としては2004年のアテネ五輪で銅メダルを獲得し、2006年の第1回WBC(ワールド・ベースボールクラシック)の優勝に貢献。2009年にトレードでDeNAに移籍し、2014年に現役を引退。通算成績は294試合登板105勝100敗。引退後はニュージーランドで野球連盟のGM補佐、ジュニア代表チームの監督を務めたほか、2019年には沖縄初のプロ球団「琉球ブルーオーシャンズ」の初代監督に就任した。
文=浜田哲男
(以上 Sportiva)
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