「マイケアプラン研究会」活動報告

マイケアプランは高齢者の権利宣言
いつまでも自分らしく生きるために・マイケアプランを応援します

ほっとなマイケアプランニュース157号より

2015-06-07 | ほっとなマイケアプランニュース
ほっとなマイケアプランニュース157号より



ほっとなマイケアプランニュース157号より


市民運動体への脱皮に向けて


                小國 英夫代表世話人

 今回の介護保険法改定で要支援者への保険給付がなくなり、政府はそれ相応の原資を介護保険から各自治体に交付して、自治体が従来の介護予防サービスを提供するということになった。この事業の名称は「介護予防・日常生活支援総合事業」という。これは財源が介護保険から交付されるにせよ、保険サービスから切り離されて行政サービスになるわけで、何のことはない措置制度への先祖返りである。従って予防プランの自己作成は認めないという仕組みである。
 京都市はこの制度への移行を2017年度からにするという方針である。従って今年度と来年度は今まで通りである。そこでわれわれはこの2年間を最大限有効に活用して効果的なアクションを展開すべきである。
こうしたことから5月15日の総会では次のことが確認された。「マイケアプラン研究会は総力を挙げてこの制度の問題点を精査し、市民・当事者の立場から今後のあり方を広くシッカリと提言し、制度の改善に取り組む。同時に日常生活において、地域社会において、職場において自分自身が市民・当事者として如何に行動すべきか、ということを自らの課題とする」ということである。
これまでの15年間、当研究会の基本的な性格は運動体なのか研究組織なのか、あるいはマイケアプランの実践団体なのか、ということを何度か議論してきたが、この度の総会では研究も実践もしつつ、更に運動体としての道を切り開くという決意をしたのである。マイケアプラン研究会の新たなる第一歩である。
当研究会ではここ数年、幾つかの地域包括支援センターとタイアップしてきたが、そのキッカケとなったのは要支援の人たちこそマイケアプランの実践者に相応しいのではないか、また、その実践を支援する組織としては地域包括支援センターが最も適しているのではないか、という考えであった。
「マイケアプランの実践は介護予防として大きな効果がある」というのは高木 洋子会員の言葉である。マイケアプランの実践によっていろいろな社会関係、人間関係が結ばれ、それによって主体的な生活ができるようになる。まさにマイケアプランの価値がそこにある。しかしこの度の「総合事業」はそうした重要な機会を奪うものである。

確かにある一面では市民・住民の参加によって今までの介護保険サービスの枠組みを越えた幅広い生活支援が可能となる。この点は良いことだと思うがもろ手を挙げて賛成できないのは、行政が一定の条件を付けて市民・住民の活動を買い上げるというシステムだからである。
保険給付の一部を行政サービスに転換して、更にそれをNPO団体やボランティア団体の活動に転嫁するという今回の手法は「行政が市民活動を金でコントロールする」というものであり、コミュニティの活性化や住民主体のまちづくりに逆行するものである。
こうしたことを繰り返せばますますコミュニティ(生活の土台)は脆弱になり、制度依存、行政依存の傾向を一層促進することになる。そうなれば更に社会的コストが膨張し、国民負担が増大し、必要な社会サービスが後退する。どう阻止すべきか。






会員より 
     ふたこと みこと 
                          


       (1)たそがれ通信 28 

            藍 植男会員

                        
     それぞれの場で 楽しく しぶとく 生きましょう 

    
 今年の寒中見舞い状に〈2年前の睡眠時無呼吸症治療開始後、障害1級認定、翌日に交通事故で脊髄損傷⋯〉と記し、皆さんにご心配をおかけしました。その後も、ふらついて胸部打撲・肋骨骨折・足首捻挫と続き、先頃までうっとうしい毎日でした。その後、まだ手の引けないいくつかの会の決算作成・報告・総会・役員改選・補助申請等で忙しくしているうちに、体調が回復してきたのを実感しています。(ご心配くださった方、ご休心ください。) 客観的にも、歯は(親知らずと差し歯1本を除いて)27本自立しています。先日念のため測ってもらった骨密度では、「器械がおかしいのではないか?」と尋ねたのですが「間違いなく29歳!」と言われ、この通信ももう少し続けさせてもらおうと思いました。

 このシリーズの題のとおり残された時間が少ないので、来られる人にはできるだけ拙宅に泊まってもらうようにお願いし、会合にはできるだけ参加するようにしています。畑仕事は息が続かず全くできません。 5月下旬から 空いている日には雨漏りする小屋の葺き替えを友人に手伝ってもらいやります。6月前半まで3週間の予定は次のようなものです。
☆幾つ科の病気の受診(3回)・☆鎮守(式内社)の森の枯れかけの大杉の蘇生策検討会 ・☆茶道家元の祖先の生死と70余年前の皇室の存廃に関わる高官会談についての秘話(これまで私は〈敗戦の半年前に国体護持のために天皇を妙心寺へとの案が検討されていた〉と思っていたのですが、その方は「敗戦1年前には、高野山へとの案があった」と。)を聞くことができた研修会 ・☆里山の多面的総合的活用を進め、技を活かした天然資源利用で核や電気を少なくして ゆったりと楽しく過ごそうとする総合的活動 ・☆小学生に里山体験をさせる生涯学習課の新担当職員への研修的対応 ・☆当地方の歴史文化研修会への参加(3回)・☆公益財団の運営の相談(数回)・☆地域のボランティア団体(精神障碍のある人とその家族とともに、週1回 ゆったりとした場をもつ等の活動)の実務や事務 ・☆1日~2日の 同窓会(2回)・旧職場の懇親会・全国各地から50人が宿泊する集会等。

 聞いたり会ったりする機会を逃さないようと、自分が持つ体力以上の動きをしています。会合では、他の人の話を聞く時間をとれるよう、事前に時間をかけ 自分の発言内容を文章化・印刷して、発言時間を少なくするようにしています。 〈そんなのは野暮だ〉との意見もあるようですが、貰わないでおくか つまらない会には出席しないようにするか、若い時とは違う選択もあるでしょう。(関連したことなので記しますが、2011年秋に私は十数年活動していた会から脱退することにしました。 会の30周年に記念誌を出すとして、「〈旅〉〈趣味〉〈健康法〉など 編集部決定の4題のほかは受け付けない」というのです。その春には世界的な事故が起こって収束の目処もまったくない時点でした。「こんな年に記念誌を作るなら、自由題も認めるべきだ」と支部の役員会で 本部に出ている役員に申出たのに対し、本部の責任者は「先に連絡した通り進める」と回答してきたからでした。

 ところで、近ごろの会合では たいてい短い話をしないといけない ことが多いですが、そのような時に悩むのが、その場にふさわしい話題です。 健康に関しては、半年に身内3人に癌発見といったこともあり、自分からは出さないようにしています。逆に社会全体に関わることについては、やはり無関心ではいられません。 このところでは、 例えば、㋐安保法制・集団自衛権の理念も根拠もない妄想的多弁・㋑いかがわしい政官議法財学報…界主導者の低劣な資質等については、〈聞くのも、言うのもいやだ〉と思えるほどです。㋒疑うこと・追求すること・発言することなく、自己をどこかに閉じ込めて、大勢に順応する多衆のだらしない姿などに対しては、苛立ち怒っている自分の考えをきちんと伝えられないことへのもどかしさがあって、口が重くなります。㋓エネルギー消費を減らしエントロピー増加を抑える日常的・具体的な生活の仕方については、毎日意識して実行しているので、いろいろ提起できます。が、受け手の成育歴・居住の場所⋯等の条件を考えますと、〈どこまで分かってくれるか? 採り入れる条件があるか?〉といった抑制がかかります。㋔沖縄問題・家庭~社会での教育・学習・窮乏化と格差強化で萎縮している若者・暮らしの質を切り下げられ荒廃していく生活者の実態等については、事例が多過ぎ問題が錯綜し過ぎて、短時間での纏まった論が組み立てられません。㋕核・原発問題についても、次々と隠されていたことが明るみに出てきて腹立たしく、冷静に話しにくい気分になります。
 
 介護福祉の会誌なので、介護に関連したことに繋ぎます。先ほど精神保健の関係のことに触れましたが、その場では〈普通の市民だからこそできること〉にこだわっています。

 会員は60年以上の生活術(祖父母・近所の年長者から聞く話・山・川・野・道での遊び、各種の作物育て・百を超える多様な手仕事、そんな日常生活の中から生まれた知恵と技だけでなく、地域で起こるもめごとの相談・異例の事態の際の対処法などを心得、生きていくうえでの 総合的なシステム)を それぞれが身につけています。各自の共通する部分と違う部分を持ち寄ると、広く しなやかな対応策ができますね。 (里山で子どもやその両親の世代に接していても同様のことを感じます。5月の「山と湖の観察会」で山菜の和え物とドクダミ・クサギなどのテンプラを作り青竹の器で供したら びっくりする人が多かったのには驚きました。親達が 既に電気・ガス・水道そして水洗便所なし生活ができないので、この夏は「電気・水道のない暮らし」を題に掲げて 自然を包括的に楽しむことにします。)

 介護の場でも、土台は同じではないでしょうか。いま、「包括」という言葉を使いましたが、介護行政でも言葉だけはよく出てきます。今の政府の言葉遣いと同様、国が本来果たさなければならないことを転嫁して、意図していることを隠して格好を付け、都合のよい状況にもっていく、というようにさせてはなりません。要介護の当事者にはその人独自の生活(長い前史と今後)があります。地域で共通するからと一括(画一の扱いを)する のではなく、その人の持ち味と希望に沿った、個別のケアプランが当然です。その人を中心にして家族・地域をつつみこんだ場に、さまざまな体験をしてきた地域の生活者が数人、同伴者・協働者として加われば心の通じるコミュニケーションが強まり、その人が本来持っている 回復力・治癒力も目に見える形で顕われてくることでしょう。
 体が動きにくくなっても、自分より環境条件の不利な人に寄り添ったり、聴いて一緒に考えたり、代弁して、実態を知らずに偉そうにする役人や役員に彼らのやるべきことをやらせる⋯といったことは、小さい地域でもいっぱいあります。 弱いから、先が見えているからと引込まずに、やれることを地道にやり、それなりの役割を果たしましょう。





 次 回 定 例 会 
                                            
★第173回6月定例会
    6月19日(金)13:15~15:30  2F和室A・B (いつもと違います)
                  畳ですが、小椅子もあります。
                  開会時間を15分遅くしています。

      内  容:・介護保険改定後のマイケアプランについて
           ・ニュースを読む … 森 洋次会員
            152号 「介護保険改定の根本問題
            地域包括ケアシステムとマイケアプランの視点から」
            ニュース152号をお持ちください。
           ・「介護は利用者が生きるのに不可欠な環境」 … 奈倉 道隆会員    

            【全く動けない人は、家にどんなにお金や食物などがあっても、介護者という「行動する環境」が無かったら1週間も生きられません。環境計画は大切。】 
           ・2015年度公開企画について
           ・マイトピックス  
           ・その他
        
      読 書 会:15:40~16:50
              『老いの空白』鷲田 清一著 岩波現代文庫  P53「3〈老い〉の時間―見えない〈成熟〉のかたち」から

次 々 回 定 例 会 
                         
★ 第174回7月定例会
   7月17日(金)13:15~15:30 3F 第3会議室
      内  容:・介護保険改定後のマイケアプランについて
           ・緊急提言を読む
           ・マイトピックス  
           ・その他
      読 書 会:15:40~16:50
              『老いの空白』鷲田 清一著 岩波現代文庫 


~市役所から「第6期京都市民
長寿すこやかプラン」(概要版も)
がでました。区役所などでもらえ
ます。身近な資料としてぜひ利用
してください。~  
     

 
~つぶやき~
川崎市の違法建築が疑われる簡易宿泊所2棟が全焼した。焼け出された宿泊者の多くが高齢者で生活保護受給者だと言われている。様々な問題点が明らかになるであろう。しかし、その解決策は簡単ではないと思われる。いつの時代にも弱者は隅に追いやられ、追い打ちをかけられる。自明の理でありながら、今後、ますます高齢化が進み、福祉政策は先細りとなり、国民の負担が増すだけで、国が無策というのでは、団塊の世代はだまってはいない。 みんなもっとしっかりしないと!!



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