「おお、神様・・・、誰がこんなブーツを履きたいと思うでしょうか? チャーリー!あなたが作るのは二本の長い筒状のセックスなの?そして、赤こそがセックス! 赤い危険なセックスを作るのよ?」
これは、予告編で、ドラッグクイーンのローラが発言するセリフだが、このセリフだけでドン引きしてしまう人にはキツいかもしれない。
とはいえ、イギリスの片田舎のつぶれかけた靴工場のサクセスストーリーとしては文句なしの名作!
タイトルのキンキブーツは、直訳すると変態のブーツという意味。
この映画は「実話」を基に製作された映画で、イギリスで有名な紳士靴メーカーブルックスが、ユーロ導入のあおりをくらって、倒産の危機にみまわれてしまう。
靴って、製作工程が多いから人件費の安い発展途上国に市場を奪われてしまうのです。人件費の安い発展途上国に生産を取られてしまい、工場が閉鎖されて、解雇されたという話はよく聞くのでリアルでした。
映画では、ドラッグクーンのローラが会社の救いの女神(?)として、アドバイスしてくれるのだが、「実話」ではある一本の電話から転機がはじまった。
「男でも履けるような、ヒールのついたエナメルのブーツを作ってほしい」と・・・。
そこで、努力した結果、会社を立て直したそうだ。
このブーツに興味のある方は、会社の公式サイト http://www.divine.co.uk/ へどうぞ。
本当にスネ毛を剃ってモデルになった社長のマヌケな姿が笑えます。
変態ブーツのデザイナーとして雇われたローラは、オカマ差別主義者にイビられて一人でトイレで泣いている。ドレスを着れば、500人の前でも歌えるのに、ジーンズだと挨拶もできない…。
親父の工場を引き継いだ主人公のチャーリーは、ローラを慰めて、キンキーブーツを製作することにする。今までは、紳士靴専門で、営業をしていたのだが、チャーリーは賭けに出る。自宅を抵当にいれてミラノのショーにキンキーブーツを出品する為だ。
イギリス映画だから、会話の端々にいいセリフが多いんだよね?
オカマ差別主義者の、チャーリーの彼女に握手を拒否されたときは、
「空気が冷たい・・・」と言って、その場を去る。
ここで喧嘩になればそれで終わりだが、ギャグで逃げることで誰も傷つかないというのを知っているからだ。
オカマ差別主義者との対決シーンもオカマならではの優しさで、オカマ差別主義者と邂逅するところも感動した。この映画はずっと笑えるのだが、オカマの自虐ネタくらい面白いものはない。
映画・プリシラでもそうだったけど、
砂漠で乗っていた車がエンコした、三人のオカマがヒッチハイクをするも、女装しているオッサン緑色のドレスを見てドン引きした農夫がそのまま通り過ぎるときに友人かけた言葉
「あんたのせいよ? 似合わない緑の服を着るから!」
と言うシーンはとても笑えた。
疲れているときにこそ、ギャグは必要だと思う。あまりに忙しいときには、男女を問わずオネェ言葉で会話するというのはどうでしょうか? 殺伐とした職場も和むと思いますよ。