●それでも地球は回ってる

■かつて同人誌作ったり宇宙ネタに小躍りしてた輩の、3年サイト放置後の、無趣味無活動な日々のぐだぐだ与太話あれこれ

ロケットの夏 その4 【打ち上げ当日 朝】

2007年10月02日 | ロケット&宇宙

早いもので、打ち上げ見学からもう2週間以上が経とうとしています。
つーか、レポのんびりすぎだ・・・
そうこうしてる内に、今回の『ロケットまつり』にも参加してきて、
それもまた、書かずにおれないような内容だったし。
お伝えしたい事が増える一方なので、滞るばかり。謝罪。
では、とりあえず参りましょう。種子島レポの続き、いきます。

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9月14日(金) 


前日のオフロード状態のハードすぎる運転で疲れているため、
本当ならば昼間まで爆睡したい所ですが、
打ち上げ当日の寝坊は厳禁!(当たり前だ)
結構寝起きはいい方ですが、あまりの疲れにさすがに自信がなかったのでぐっすり眠れず、
結局浅い眠りになってしまった・・・(泣)
しかもそういう時って朝早く目が覚めるんですよね…時計を見たら5時ちょい過ぎ(早)
予定では6時過ぎに起きるつもりだったけど、二度寝は怖くて出来ない。
「しょうがない起きるかー」と、ボーっとしてたんですが、

「!そうだ!!今日の天気は!?」
途端に目が覚めて、急いでカーテンを開けてみたらば。



すっきりとは晴れてないものの、曇りでもなさそうな微妙な感じな朝焼け。
雨でなかったのでホッとしたものの、台風も近づいているのでまだ油断は出来ない。
うっすらと東の空が明るくなり始めたばかりなので、まだ外は暗い。
だけど、前日の連続スコールが嘘のような静けさ。



『願いが叶う日の朝は心が「シーン」とする』

アラスカで亡くなった写真家の星野さんが、
いつ遭遇できるかも判らないカリブーの群れを待ち続けていて、
それが叶った日の事を書いたエッセイをふと思い出す。
今日が本当に打ち上げの日ならば、その日は自分の願いが叶う日であって。
本当にあの悪天候から、予報どおりの『晴れのち雨』になるのかと半信半疑だった昨夜。
目まぐるしいというか騒がしいというか、な前日から考えれば、想像出来ないほどの静かな朝。

「星野さんのいう『静けさ』って、こういうのじゃないか?」

カーテンを開けたままベッドに寝転がっていると段々と夜が明けてきて、
日の光が差し込んで、部屋の中が仄かなオレンジ色に染まりだす。
物音は何もしない。鳥の声さえ聞こえない。ただ静かに部屋が朝の色に変わっていく。
かなりオレンジの光がハッキリしてきたので起き上がって外を見てみたら、雲の切れ間からご来光。
種子島で初めて見た「日の出」。ちょうど自分の目の高さと同じ位の位置に昇った太陽。
そのオレンジの光を浴びていると、半信半疑だった自分の中に『大丈夫』という感覚が。

「今日、打ち上げは見れる」

そういう確信が生まれた瞬間でもありました。



朝食を取ったら、すぐにチェックアウトして「長谷」に向かう手はずだったので、
荷物持って7時前に朝食会場に。
さすがに「打ち上げの日」だし関係者も何人か居るとみえて、既に朝食取ってる人たちもいて。
会場に入ると、大きなガラス窓のはるか向こうに、昨日は全く見えなかった『増田宇宙通信所』が。
しかも今朝は全てのパラボラが天頂を向いていて、打ち上げを待つばかりの状態に。

「おおー、何だか気分が高揚してきましたよ!」

それが見える一番窓側の席に座って食事が出るのを待っていると、
後ろのお偉いさんとその部下みたいな一団が、
パラボラの事を話している・・・そして「予定通り今日打ち上げ」てな話もしている…よし!
しかし中々食事がセッティングされない。
おかずだけが出てきて肝心のパンが出てこないとか(苦笑)
食べようかどうしようか迷いながら、オレンジジュース飲みつつ窓の外を見ていると。


増田のパラボラの更に向こうの白い靄の中。もっと白い四角いものが。



「・・・・・・射場だ・・・・・・!!」



本当にパラボラの一直線上の、はるか先にそれが見えて。
四角い組立棟と、対の鉄塔が何となーく見えるにすぎませんが、
そこには『かぐや』を載せた、
本物のH‐ⅡAが既に待機しているはずで。

肉眼でぼんやりとしか見えないけれど、それでも射場が見えた時は目頭が熱くなりました。
その後は自分と一直線上にある射場を見ながら(つーか見っぱなしで)朝ごはん。
うーん、今考えると結構「贅沢な朝食の光景」ですね!

ご飯終えてすぐにフロントに行くと、まだフロントが機能してない・・・もといレジにお金が入ってない!
フロントの人が急いで金庫からお金出してきて。でも自分はカード払いだからいらなかったんだけど(笑)
ナビは前日にセットしてあったので、即出発!




昨夜オフロードした道も、明るいと楽なもんです(余裕な発言)。
しかし昨日は出会わなかった島民の方々がちらほら居る。
そうかー、今日は金曜日だし、朝の7時台だから通勤通学時間帯なのね。
小学生が歩いてたりするので、気をつけて走る。

途中『増田小学校』の前を通ったら、先生らしき人に頭を下げられた。
父兄と思われてる!?(笑)
そらそーだ、あんな時間にあんな所を慣れた感じで走ってる車なんか、
地元民しかいなかろう。その後子供を乗せた何台もの父兄の車とすれ違ったしなー。


さびしい山道を抜けて、ようやく県道に。
75号線と76号線の交差する四つ角を左折してちょっと行くと、
アニメ「秒速5センチメートル」で出てくるコンビニ『アイショップ石堂店』がある。
(3部構成のアニメで、第2部が中種子町から南種子町が舞台になっている。
島の景色が本物に忠実で素晴らしい。ロケットの打ち上げシーンもある)
そこで、主人公達が買っていた『ヨーグルッペ』と『デーリィコーヒー』を買う。
今回島入りしてから既にその店に寄るのが3回目なので、
普通に「おはよーございます」とか言いながら入っていって、
ヨーグルッペのある場所(冷蔵ケース)に直行。気分だけ既に地元民(笑)。

しばらく走ると中種子の中心街に。さすがに通勤時間だから車も多い。
そこを抜けて南種子に続く道へ。(ほとんどまっすぐ道なり。走りやすい事この上なし)
打ち上げは10時半頃だけど、駐車場の心配もあるので8時には着きたい。
只今7時半。少しスピード上げないと。
通勤通学時間がそろそろ終わるからので、途中からはほとんど車がなくなる。
島の南に近づくにつれ、雲が切れてだんだんと青空が増えてくる。
ジェットコースター並みの下り坂を何度も降りながら、
ほとんど貸切状態の道路をドライブする爽快感。


「わーい、何かすごいラッキーな予感がするー」


またも単純に喜びながらひたすら走る。
外は蒸し暑くて、窓を開けて走れない位に暑くなってくる。
その内に見慣れた交差点が近づく。信号下には「長谷」の文字が。
交差点の左隅に、小さく『←ロケット打ち上げ見学場所』の看板が。
あまりにささやかな看板なので、去年の冬に初めて来た時は見落として迷った(笑)。
左折すると先を夫婦連れが歩いてる。明らかに同好の士。初めての人かしら。
歩けばまだまだ20分以上はあるのにー。


一般道を右折すると、そこから先はナビが役立たずに(苦笑)。
結局前日に来れなかったので、去年一度だけ走った記憶を頼りに先を行く。
たしかそろそろ案内の看板が・・・ありましたありました。
そこをまた左折して少し下ってー。だんだん思い出してきたぞー。


最後に右折すると、長谷公園に到着~。時計見ると8時5分。上々です。
駐車場も3分の1くらいしか埋まってない。しかも皆車の中で寝てるしー。
デイリーコーヒーだけ飲んで、いざ場所取りに!




長谷の見学ポイントは、射点からは優に5キロ以上は離れてますが、
真正面に射場が見えるから一番見学者が来る場所です。
そのせいか、モニターやスピーカーが設置されて、
JAXAのライブ中継も見れるので、カウントダウンが聞けて便利。
他の見学ポイントは、自分で打ち上げ当日スケジュール調べてたりして、
ラジオやテレビ電話用意しないと本番のカウントダウンが判らなくて、
リフトオフに備えられない難点がある為、初心者向きの見学場所なのです。
公衆トイレもちゃんとあるし。これは女性にとっては重要ですぜ!




車から降りて荷物を抱えて、射場に向かって下り傾斜のついた芝生の一番上に立つと。
真正面に海を背にした射場が小さーく見えた。本当に小さーーく。
だけど、「とうとう来たんだ…」と本当に思ったのは、この時ですねー。



逸る心を抑えつつ最前列に急ぐと、
既にど真ん中にはビニールシートが敷かれてた!(爆)
おのれ!!2時間前でもダメか!残念!!侮りがたし打ち上げ当日!!
そのすぐ脇も既に固められてる・・・仕方なく正面最前列の「すぐ後ろ」に陣取る。
Yさん親子の分も場所を確保し、折りたたみ椅子に座り、まずは周囲をぐるりと見渡す。



左脇の最前列は何となく「常連」ぽい。ラジオ置いてブルーシートに寝転んでます。
最前列の一番左端に三脚の森が出来上がってるの発見。
芝生の先は小さな植え込みがあって、その先に更に芝生が広がり、その先は崖(笑)
真正面は崖の向こうの木々の上部が多少掛かるので、撮影には左端がベストと見た。
でも肉眼で普通に見るなら何の問題もナシ。


右隣の最前列は2組の家族が何やら話してます。
おじさんの一人はリピーターらしい。母娘の方は初めての模様。
その娘さんが双眼鏡を覗きながら「あー、見えた見えた」と言ってるのを聞いて、
自分もこの日の為に買った双眼鏡を持ってる事を思い出し、急いでカバンから出す。
(いかに眠さで頭がぼけてたか・・・アホすぎる・・・)



しかし。まだ全然使い慣れてないから「空」しか見えない。
そもそも「何がどの位の大きさで見えるか」検討もつかない(笑えない)
何度も肉眼で射場の位置を確認しつつ、双眼鏡を覗き込む。
こういう時って中々見つからないものでねえ・・・。
「どこどこどこ???」と思っていると。





フッと。




突然視界にH-ⅡAが。
急いでピントを合わせる。


「………あった………」


おなじみのオレンジのボディに、白い衛星フェアリング。
この目で初めて見た、「打ち上げ前の本物のロケット」

『かぐや』のミッションロゴも、
ランチャー上部の『H-ⅡA F13』の文字もハッキリ見える。




「本当に、あそこにロケットが居るんだ……」




映像では何度も見たロケット。
長谷から肉眼でロケットを確認するのは正直難しい。
だけど『本物がそこにあるいう実感』は、双眼鏡でハッキリと見た瞬間に湧いてきました。




改めて肉眼でその方向を見ると。
射場の上に、雲の切れ間から光が差していて。



きっとその頃の射場(現場)は、皆が皆、ピリピリガタガタしていただろうし、
竹崎の公式取材の人達も、島のあちこちで見学してる我々も、
それぞれがソワソワドキドキ、ガサガサやってたりしているけれど。



そんな喧騒をよそに、
まさにロケットだけが静かに佇んでいて。




これから地上を離れて「宇宙」という
遥かな空間に旅立つものが、
今はまだ厳然とそこ(地上)に在る、
現実とは少し違う感覚。


映像で見た「轟音と共に打ちあがるロケット」が、
あんなに静かな雰囲気を醸し出すというのが、
その日の早朝の静けさとも相まって、とっても不思議に思えて。


行ってみて初めて知った
「打ち上げを待つロケットの静けさ」。



しかも、その時の朝の海の煌きも、
雲間から射す、ロケットだけに当たる光の色も、
薄く垂れ込める雲も、全てがセピア色で。



そこだけが時が止まったかのような空間。
そして、とても厳かな空気に包まれていて。





「光の中に一人立つ」かのようなH-ⅡA13号機は
本当に「神々しいもの」に思えるのでした。


 

只々それをボーっと見ているとタクシーで着たYさんから電話。
居場所を教えて後ろを振り向くとさっきよりも多少人が増えてる。
ようやく9時を回り、打ち上げまであと1時間半。
今度は東京のJAXAiで打ち上げライブを見るTさんからメールが。
SさんもCさんもそこでライブ中継を見るんだとか。
Tさんのメールでは、ライブが始まって緊張します!とあったけど、
実際種子島で見てるこっちは、まだまだのんびりしていて緊張感ゼロ(笑)
こっちの現在の状況を写メールして送る。
見学通のKさんにもメールすると、射点からの立ち入り禁止区域「3キロ」ギリギリの
『秘密の絶景ポイント』で待機中との事。



「天候が回復してよかったですね。打ち上げを楽しんでください」




そうねー、楽しまなきゃーと思いつつも、
実況ライブと違って、衛星のミッション説明とかもないし、
もちろんロケットがズームアップしながら
「今こんな準備が始まった」みたいな映像も勿論ない。
実は案外「ヒマ」なんですよ、打ち上げ前の1時間ってー(笑)
まあそれも行ったからこそ初めてわかる事なんですけどね。



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昨夜は「ロケットまつり」に行ってて帰りが午前様だった上に、
真夜中に大きな地震があったので寝不足甚だしい為、どうやら限界です(死)
すみません、続きはまた明日・・・。
しかし、どんどん細切れになって、ほとんど「連載」になりつつあるー。




(そして次の日読み返したら、日本語がおかしな箇所がありすぎたので、
多少修正・・・本当に限界グラグラだったんだな・・・)





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