微生物学研究BANK(Microbiology Science Study(MSS))

微生物学研究BANKのニュースブログ。生物学・遺伝子工学などのニュースを掲載。(記事時系列は無視して下さい)

肺炎 ワクチン接種の費用一部助成-75歳以上(愛知県小牧市)

2009-02-28 23:22:56 | Weblog
 死亡率が高い高齢者の肺炎を減らすため、小牧市は、75歳以上の市民を対象に肺炎球菌ワクチンの接種費用の一部を助成することを決めた。市の独自事業で、県内では日進市に次いで2番目。

 肺炎球菌は肺炎や気管支炎、髄膜炎を引き起こす細菌の一つで、高齢者のかかる肺炎の半数はこの菌が原因という。ワクチン接種が有効で、一度接種すれば5年間は免疫効果が続くとされる。死亡率を低下させ、医療費の抑制を図ろうと費用を助成することにした。

 対象は75歳以上の約1万人。6000円から8000円する費用のうち5000円を助成する(生活保護受給者は全額助成)。

 3月2日開会の市議会に助成金2138万円を含む09年度予算案を提案し、認められれば市医師会と相談の上、6月ごろに始める。(毎日新聞 2009年2月28日)

http://mainichi.jp/area/aichi/news/20090228ddlk23040279000c.html?inb=yt

FAOとWHOが鳥インフルエンザで警報(ベトナム事務所)

2009-02-28 00:02:50 | Weblog
 国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)のベトナム事務所が24日、鳥インフルエンザの拡大に警戒を呼びかけた。
 ベトナム国内ではこの間、3人が鳥インフルエンザに感染し、そのうち1人が死亡している。
 WHOベトナム事務所のジャン=マルク・オリベ所長によれば、ウイルス変異で人から人への感染の可能性が高まりつつある。(2009/2/27 NNN.ASIA)

近視矯正手術で67人が感染症(東京都)

2009-02-25 16:22:45 | Weblog
 東京都中央区保健所は25日、銀座眼科(同区)で、レーザー光線を使って近視を矯正するレーシック手術を受けた患者639人のうち67人が、感染性角膜炎などの健康被害を訴えたと発表した。67人のうち1人が医療機関に入院しているという。同保健所では、銀座眼科の衛生管理が不徹底だったことが原因とみて詳しいことを調べている。

 同保健所によると、患者67人が感染症を発症したのは、平成20年10月~21年2月。同保健所は、銀座眼科が不十分な滅菌処理を行った医療器具などで手術を行ったため、患者の角膜が炎症を起こした可能性が高いとみている。

 これまで同区は、健康被害が多いとの情報を受けて2度、銀座眼科に立ち入り検査をしてきた。

 銀座眼科は取材に対し「詳しいことを調べており、コメントは控えたい」と話している。(2009年2月25日 産経新聞)

風邪ウイルスの遺伝暗号を解読(メリーランド大学)

2009-02-24 15:00:36 | Weblog
 ヒトに感染する風邪(common cold)の原因ウイルスとして知られるライノウイルス(rhinovirus)99種類の血清型(serotype)の遺伝暗号が解読された。風邪がついに治せるようになるかもしれない。風邪の治療に向けての重要なステップとなるこの成果は、米科学誌「Science」オンライン版に2月12日掲載された。

 米メリーランド大学(カレッジパーク)のStephen B. Liggett博士をはじめとするプロジェクトチームに参加した研究者らは、20年以上にわたって診察室で鼻腔スワブにより採取されたウイルス標本を米国微生物株保存機関(American Type Culture Collection、バージニア州)に提出。この標本からすでにいくつかのライノウイルスのゲノム配列が決定されていたが、今回新たに80種類の血清型の全ゲノム配列が明らかにされ、それぞれの関係を示す系統図も作製された。「米国各地の1万人の標本からのゲノム配列を調べたもので、系統図の主幹部分は確定しつつあり、多数の小さな枝分かれもみられる」とLiggett氏はいう。

 ライノウイルスは今も進化を続けている。2005年に採取した標本の一部を1970年代に採取したものと比較したところ、多数の突然変異も認められている。しかし、ライノウイルスは大規模には変化できない。「突然変異により強い毒性をもてば、自分のすみかである細胞をも破壊してしまう。ライノウイルスは毒性を弱め、入り込む窓を絞り込んでいるものと思われる。その窓については詳しくわかっていない。これまでに見つかっているあらゆるウイルスに共通する弱点を見つけたい」とLiggett氏は述べている。

 ライノウイルスには変化するための目覚しい能力がある。今回の研究で、ライノウイルスのいくつかの血清型は、同じ人に感染した2つの異なる株が遺伝物質を交換することで生じたことが明らかにされた。「ライノウイルスがもつこの組換え能力が、風邪ワクチンの開発が不可能とされてきた理由の1つだ」と米ウィスコンシン大学分子ウイルス学研究所のAnn C. Palmenberg氏は指摘している。

 もう1つの理由は、ライノウイルスが鼻腔の表面を覆う粘膜を侵すことであり、粘膜を保護するワクチンの開発が難しいためだという。しかし、単独で多くの種類のライノウイルスに効果を発揮する薬剤開発の望みもある。「この種の薬剤の開発には、小規模なバイオテク企業の研究に期待がかけられている」とLiggett氏は述べている。(2009年2月12日 HealthDay News)

http://health.nikkei.co.jp/hsn/news.cfm
http://www.healthday.com/Article.asp?AID=624031

遺物から新事実を探る遺伝子技術(ペンシルベニア州立大学)

2009-02-24 14:44:17 | Weblog
 世界中の博物館の展示ケースや保管庫に眠る遺物に新たな分析の光が当てられている。続々と開発される新技術を使って、既に絶滅した種の化石や毛皮が分析され、これまでには分からなかった事実が次々に明かされているのだ。このような試みは「ミュゼオミクス(museomics)」という名で呼ばれている。

 この造語を発案したのは、ペンシルベニア州立大学の分子生物学者ステファン・シュスター氏である。同氏は同僚のウェブ・ミラー氏とともに昨年、ロシア博物館に200年にわたって保管されていたマンモスの毛から、マンモスのゲノム(遺伝情報)の大部分を再構築した。

「冷凍や乾燥などの処置もなされず、単に引き出しに収められていたマンモスの毛だったが(DNAを復元する試みは)成功した。ここからミュゼオミクスという構想が生まれたんだ。博物館に保管された羽やツノ、ひづめや卵の殻など、とにかくなんでも調べ直す努力をするというコンセプトが基本にある」と同氏は語る。

 両氏は、1930年代半ばに絶滅したタスマニアタイガー(フクロオオカミ)についても調査を実施した。犬に似た有袋類であるタスマニアタイガーは、標本としていくつかの博物館に保管されている。そのうちワシントンD.C.の国立動物園にある1世紀前の個体の標本や、ロンドン動物園で1893年に死亡した個体の標本などを対象として、DNAの塩基配列決定法で分析し絶滅の原因を探った。

「その結果、2つの個体の遺伝情報は非常に似通っていることがはっきりした。つまり、遺伝的な多様性を欠いて絶滅の危機に瀕していたことを示している」とシュスター氏は説明する。

 遺伝上の警告サインともいえるこのような傾向は、今そこにある脅威を識別するためにも役立つ。このサインに気付けば、種の絶滅を未然に防げるようになるかもしれない。

 博物館の所蔵品を対象とした調査は、人類の健康促進に貢献するという意外な目的にも役立っている。医学研究者たちも新しい発想を得て、古きを温ねて新しきを知る調査を実施しているのだ。

 ペンシルベニア州フィラデルフィアにはムター博物館という珍しい病理標本や解剖標本の収蔵で知られる博物館がある。学芸員のアンナ・ドーディ氏によると、「カナダの研究チームが、防腐溶液に浮かぶ1世紀半前の人間の腸の標本からコレラのDNAを抽出しようとしている」という。

 この研究によってコレラの伝染に関する遺伝子地図が作成されれば、現代における感染対策としても有効な手段になる可能性がある。

 また、同博物館のロバート・ヒックス館長は、「この博物館にはアメリカ南北戦争時の外傷に関する詳細な記録も数多く残っているので、世界的な紛争地域、例えばイラクやアフガニスタンのような場所で戦う兵士の命を救うことにもつながるかもしれない」と述べた。

 南北戦争時に兵士が受けた外傷は最近の戦争で使われるアメリカ製兵器がもたらす外傷にも似ているため、戦場の軍医に南北戦争の外傷の記録を詳しく調査するよう推奨されている。

 ニューヨーク州のアメリカ自然史博物館で哺乳類学分野の学芸員を務めるナンシー・シモンズ氏は、次のように話す。「28万種余りある哺乳類の標本を管理し始めた20年前に比べると、DNAサンプルの採取を求めるリクエストはずいぶんと増えた。皆、標本の皮膚を微量採取したり骨に穴を開けたりするといった方法で、DNA分析や酸素同位体分析などに利用することを望んでいる」。

 ただ、標本の保管・保護を使命とする同氏にとってサンプル採取のリクエストに応えていくことは、かけがえのない遺物を徐々に失っていくリスクと常に隣り合わせだ。「標本にダメージを与えたり無駄にしたりするのは避けたいので、ぎりぎりのところで対応している。蓄積された古い知識が現代に生きる知恵となるのであれば、私としても協力は惜しまずに利用を推進していきたい」と同氏は語った。

Brian Handwerk
for National Geographic News
February 17, 2009

http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=27550154&expand