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忘内容怪毒 

江戸古典

『吉原手引草』 松井今朝子 幻冬舎文庫

2010-04-17 | 日記
 身請け千両といわれる吉原花魁の突然の凶行と失踪、その背後にあるお家の仇討をミステリー仕立てで関係者の証言だけで綴ったもの。当時の吉原舞鶴屋一の花魁葛城をめぐる身請け争いをプロットの中心にしながら、筆者の当時の色里を含めた江戸文化の造詣の深さと、「伊勢屋、稲荷に犬の糞」とか「卵の四角と女郎の誠はないものよ」などの軽妙な語り口が上手く溶け合いテンポ良く話しが進む。ただ事の次第が最後にならないと明らかにならないので、途中やや冗長と感じるむきもあるかもしれない。「袖の露」など花魁の得意技の説明もさりげなくなされ傑作娯楽小説には違いない。

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