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ドル円等のトレンド分析(2022年10月1日)

 毎週土曜日に行っている個人的なトレンド確認用の分析の10月1日分。9月5日から9月30日の動きをまとめている。


分析結果と各ペア動きのまとめ

 まずは、毎週のトレンド分析のサマリ部分だけを以下に載せておく(見方の説明は2020年2月3日ブログ記事参照)。




 各通貨ペアの日足チャートは以下の通り。

 出所:セントラル短資FX|為替チャート一覧(https://www.central-tanshifx.com/market/chart/)


 ドル円は、9月2日の雇用統計を受けて続伸して9月7日には144.99円まで上げたが、日本側当局者の円安牽制発言で介入警戒感も出て141.4円台まで下げた。9月13日発表の米CPIでインフレ懸念が増して1%の利上げの可能性も出たため、9月14日には先の高値に迫る144.9円台まで戻した 。その後は、米国のFOMCと日本の金融政策決定会合待ちで小動きとなった。

 9月21日にFRBが0.75%の利上げした上、ドット・プロットで市場金利の見通しを引き上げ、パウエル議長がインフレ退治の姿勢を鮮明にしたためドルは上昇した。一方、9月22日に日銀は大規模緩和を継続することを発表したため、145.90円まで一段高となった。そして、その日の夕方、3兆円に迫る大規模なドル売り・円買い介入が実施され、一時140.3円台まで急落した 。その後は144.9円までは戻したが、介入警戒感もあって145円を超えない水準で推移している。


 ユーロドルは、9月8日にECBが0.75%利上げし、今後も数回利上げする方針を示したにもかかわらず、景気悪化懸念やウクライナ情勢もあって9月12日に$1.019台まで戻すのが精一杯だった。 その後は再度パリティ割れとなり、ロシアの予備役動員、ウクライナ4州のロシア併合に向けた動きを受けて9月28日に$0.9536の安値を付けた。

 ユーロ円は、ドル円の上げとユーロドルの下げの綱引きの中、9月12日に145.6円台まで上げた。その後、日本の為替介入によるドル円の急落とウクライナ情勢の悪化によるユーロの下げで9月26日に137.3円台まで下げ、月末は141.8円台に戻して終わった。


各国の動きとニュース

 9月2日の米雇用統計は先月の記事の対象期間内なので、今回の期間で為替相場に大きな影響があった米国のイベントは、9月13日にあった8月の米CPIの発表と、9月21日にあったFOMCでの0.75%利上げ発表とその後のパウエル議長の記者会見だった。



 9月13日にCPIの伸びの再加速が確認されたため、次回のFOMCでは1%の利上げになる可能性も浮上し、米金利が上昇してドルが上げる一方、景気悪化を懸念してが株が急落した。NYダウは1,276.37ドル(3.9%)安となってCPIショックと呼ばれた。

 9月21日に発表された利上げ幅は0.75%だったものの、記者会見でパウエル議長が政策金利は「十分に抑制的な」水準まで上昇すると述べたことに加え、ドット・プロットで示された当局者の金利見込みが今年末に4.4%、23年中に4.6%に上昇となって予想よりタカ派寄りにシフトした。これによって金利が上昇してドルは上げたが、景気悪化を懸念してNYダウは522ドル下げた。


 このような状況において、9月21~22日の金融政策決定会合で日銀は大規模緩和を維持することを決定したため、ドル円は145.90円まで上げ、24年ぶりに145円台に達した。


 この記者会見の際、黒田総裁は金融政策を変えない期間に関して「当面は修正の必要がない」と強調したうえで「当面とは数ヵ月ではなく2、3年の話だ」と言い切った


 これはアドリブ発言だということだが、私はドル円が急騰するよう黒田総裁が敢えてそう発言したのだと思っている。それまで当局者等は「急激な為替変動は好ましくない」と繰り返し発言し、さらに9月22日の時点では神田財務官が為替介入に関して「スタンバイの状態と考えていい。いつでもやる用意がある」 とまで発言していた。逆の見方をすれば、米国の了解も含めて準備は整ったが、急騰しない限り為替介入できなということなので、黒田総裁が演出したのだ。



 それで145円台後半の動きとなっていた9月22日の午後5時過ぎに24年ぶりの円買い・ドル売りの為替介入を実施し、一時140.3円台まで急落した。黒田総裁の発言で一旦上げさせた上でたたき落とすという意味では効果的であった。




 介入直後の効果は絶大だったが、ドルや円を取り巻く環境に変化はないため、週明けの9月26日には144.9円台まで戻してしまった。その後は再度の介入警戒もあって145円台には届かない値動きを続けているが、やがて145円を超えて再介入を試す動きとなりそうだ。

 ただ、一方ではンフレの影響を除いた実質実効為替レート指数は60(2010年=100)を切ってきた。下記のグラフは日銀のサイトから今朝切り取ったもので最新だが、かつて60を切っていたのはニクソンショックのあった1971年以前、1ドル=360円の固定相場制の頃だ(日本は1973年から変動相場制に移行した)。

ドル円の為替レート赤、目盛り左と実質実効レート指数青、目盛り

 出所:日本銀行 主要統計データ閲覧(https://www.stat-search.boj.or.jp/
    主要指標グラフで為替を選択、期間を1970年からに設定

 やはり円安は行き過ぎているとしか思えず、何かのきっかけで本格調整するのは避けられないと考えている。そのため、円安への保険として保有してきた外貨預金でも少しずつ円転を進めている


 一方、欧州でもインフレが加速しているため、ECBも利上げしている。9月8日には0.75%利上げし、今後も数回利上げする方針を示した


 ただ、欧州の場合、長引いて解決のめどが立たないウクライナ戦争と、それに伴うロシアからの原油や天然ガス供給の問題もあって、利上げしてもユーロは強くなり難い。短期期には解決不可(というよりも悪化懸念の方が強い)なので、ユーロの頭は抑えられそうだ。

 9月30日に9月のユーロ圏CPIが発表されているが、前年同月比で10%となり、インフレは欧州でも加速している。今の状況だと欧州のスタグフレーションが避けられない感じた。



 インフレに対する利上げの判断が遅れたFRBはインフレ抑制のために大幅利上げを続けているだけなのだが、その結果として貿易相手国の側では通貨安とドル建て輸入品目の値上がりによるインフレが起きてしまう。その状況について解説しているFinancial Timesの和訳記事が以下にある。






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