Myselves

言葉と音楽に隠された魔法を探して放浪中。
そんな『自分自身』たちの旅の様子は?

ある旅人の物語

2006-10-14 01:38:54 | 音楽
GPでした。
確か前回のGPのときは泣きそうになったんだっけ? 先輩達の最後の定演だ、ってさ。
今回は、まあ別の意味で泣きそうになりましたよ。あらら……。
泣こうがわめこうが、もう本番なんです。お客さん、どのくらい来るのかしら。
そして実は開演前の多言語アナウンスが一番心配だったりする(笑)



はい、予告通りブラ1です。
ドヴォ8のときから、どんな曲でも劇や映画に見立てて「ここはどういう場面か?」というのを考えながら吹いてるんですが。
ブラ1は、前もどっかで書いたけど、一度信仰を失った人が信仰を取り戻す話です。……いや、『信仰』というより『希望』かな。

この曲の主人公は、なんらかの理由で深い絶望の中にあるんだと思う。死を求めてさまよう旅人……そう設定してみた。
1楽章は絶望の中で自らの運命を呪い、死を考えつつもなんとかあがいているんです。心の中で『希望』がどこかにあるんじゃないかと思いながら。ときにそれを見つけるんだけど(Durになるところね)、それはすぐ指の間からすり抜けてしまう。必死で手を伸ばしてつかもうとするんだけどつかめない、というような感じ。
2楽章。ちょっと心が穏やかになったような、そんな場面かな? と思う。『希望』というか『信仰』はまだ見つからないし、まだ怖いとか不安とかあるけど、少しずつ乗り越えようというか、すべてを受け入れようとしているというか。絶望のどん底で見えた光、というような感じかなあ。この楽章Durだけど。
3楽章はなんというか、ちょっと良いことがあったような感じだよね。面白いというか楽しいというか、何か気持ちが前向きになるようなできごとが起こったような。不安の影もなくはないけど、でもそれを上回るくらいの良いことがあった、というような。最後には心の平静を取り戻すのかな。
4楽章。やっぱり不安だし怖い。でも、それと戦い、乗り越える勇気が出てきた場面かな? 長く閉ざされていた心が『希望』の光で解き放たれたというか、あるいは一度失った信仰を、神や天使の声が聞こえたことで取り戻したというか。いずれにせよ、今後辛く、苦しいことがあってもいつかは克服できるという『希望』が見えた、そんな前向きな場面。
という話。

実は舞台設定も考えた。独断と偏見だけど。旅人だから、いろいろ動きます。
なんとなく1楽章は冬のドイツ。いや、別にドイツに悪いイメージはないですよ? ただ、やっぱり石の文化の国だからねえ。冬は寒いだろうし、石畳とかが余計冷たく感じられそうな気がしたんで。でもね、どんな寒い冬でも良いところはいっぱいあるんだよ。主人公はそれに気付いてないんだろうけど。
2楽章はオーストリア、春。オーストリアは良い国です。春は目覚めの季節でもあるから、少しだけとはいえ『希望』の光が見えてきたこの楽章にはちょうどいいんじゃないでしょうか。最後の方とかは名もない小さな花を見つけた、そんな小さな心安らぐことがあった場面かなあ。
アルプスに程近いフランスの田舎が3楽章。具体的にいうと、シャモニです。季節は夏。夕暮れ時かなあ。雪解け水が川となって町の中心を流れてたり、教会から鐘の音が聞こえてきたり、とかそんなイメージもある。花も真っ盛りだし、モンブランがモンローズになる夕焼けは本当に綺麗。最後のAs-Durの和音は一番星が輝いてるイメージで。
そして4楽章のイメージはスイス。ホルンのソロとかってアルペンホルンだもんね。野原に寝そべって秋の真っ青な空を見上げるような、そんなイメージです。自然の雄大さの中で『信仰』なり『希望』なりを取り戻すというか。不安とか恐怖を抱えている自分も自分なんだ、と受け入れることができたというか。



もちろんこれは私のイメージだから、ひとによって全然違う印象を持つかもしれない。
それでも構わないと思うんだ。
ただ、ブラームスが20年、つまり団員の大多数の人生と同じぐらいの時間をかけて作った曲だからね。なんかあっさりと終わらせたくないような気もする。
全楽章にあるソロとか不安な面もいっぱいあるし、音程も気になるところもまだある。だけど、それこそ私の人生と同じくらいの時間の重みがあるんだから、そのすべてで感じたこと、考えたことを音に乗せられると良いと思う。
今回も誰かのために吹きますよ。誰のためかは内緒だけどね。


まだ続きます。
次回はブラ1の後編(本番中のこと?)とアンコール(レセプション~2次会?)です、たぶんね。














さあ本番。全力でやろう。
「北極星」になるために。

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