風がヴギウギ

自由気ままな風の様に毎日を切り取っていく

親父の自作本・・・青春の詩<耳鳴り>6

2020年11月09日 | 自作本

2回に分けます

<故郷にてよめる> 1

樹々の青い彩が流れ落ちる

深い山峡を通して

黒い八ヶ岳の山容が

何時まで眺めても消えはしなかった

遠く異郷の街々に放浪ひ

そして今 故郷に向かへられた私・・・ ・・・

私の足の下には堅い大地がある

その土の感触のかそけさ

私の中にこみ上げて来るものがある

私の周りでは風が鳴った

栗の木の厚ぼったい葉が揺らぎ

薄の白い穂がさやさやと鳴った

その私の胸には

遙かな少年時代の夢が蘇って来る

私は 懐古主義者

未来はどうあろうと

私は ただ

過去を愛し思い出に幻を追ふ

聖らかな童話の世界

それは私の憧憬(ショウケイ)の光

自然の大きな懐の抱かれ

野兎のやうに気侭(きまま)だった私

清らかな星の瞳に憧れ

そのやうに純粋にならうとした私

-続-

1944年9月末某日

 

※この時期に生家に帰ってきたのか?

安心感と共に翻弄されている自らを

改めて みているようである・・・

かそけさ⇒(「幽し」)光・色や音などがかすかで、今にも消えそうなさま

憧憬(ショウケイ)⇒あこがれること。あこがれの気持ち


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