風がヴギウギ

自由気ままな風の様に毎日を切り取っていく

親父の自作本・・・青春の詩<耳鳴り>7

2020年11月10日 | 自作本

<故郷にてよめる> 2

しかし今 初秋の山々に対する時

私は惨めに疲れ果てた私の心に涙する

一本の草 一塊の土くれ程にも

純粋になれはしない

さう思ふと 淋しさがこみ上げてくる

栗の毯の青さ 薄の光

赤土の匂ひ

山鳩の羽搏き

蟻の営み・・・ ・・・

私の周りに時間は無限に流れて行った

故郷・・・ ・・・ ・・・ この言葉の喜びを

高らかに歌ひたかった

さうだ私は現実のこの動かない風景を

そして思い出を愛する

友は言った

それは感傷主義に過ぎないよ

私は つぶやいた

しかし過去は 俺のものだ

そして思い出こそ 俺のものだ

涙がほろほろ頬を伝はった

1944年9月末某日

 

懐古主義と感傷主義

懐古主義=昔を懐かしみ、その当時を肯定する考え方

感傷主義=センチメンタリズムいたずらに感傷におぼれる心理的傾向・態度

夢と現実なのか

未来はどうあろうと

生きてきた 道筋は自分の物なのでしょう

昔 親父が高村光太郎の「道程」を僕にくれた

僕の前に道はない

僕の後ろに道は出来る

ああ 自然よ 父よ

僕を 一人立ちにさせた 広大な父よ

僕から 目を離さないで守る事をせよ

常に 父の気魄を僕に充たせよ

この遠い道程のため

この遠い道程のため

 


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 今日も今日とてフォ-クソン... | トップ | 介護保険証来たる・・・ »

コメントを投稿