goo blog サービス終了のお知らせ 

地理講義   

容量限界のため別ブログ「地理総合」に続く。https://blog.goo.ne.jp/morinoizumi777

84.極楽浄土への道

2013年05月06日 | 地理講義

岩手県には藤原3代、宮沢賢治、小沢一郎まで、現実から目をそむけ、浄土を夢見る風土のようなものがある。中尊寺j金色堂は、コンクリートの遊歩道を通り、エアコンのきいた、新覆堂の中にある。

古い覆堂は移築保存されている。松尾芭蕉が見たとすれば、この覆堂である。私が小学校の遠足で、毎年、飽きるほど見たのは、この納屋風の覆堂である。中の金ぴかの仏像も、螺鈿の柱も、虫が食ったり、はげ落ちたりしていた。藤原が3代で栄耀栄華の歴史を閉じた怖さもあるが、目前の極楽浄土が朽ちてしまう怖さもあった。

中尊寺本堂の隣、大日堂では、小ぶりの仏像が静かにたたずんでいる。金色堂もすぐ近くにあるから、大日堂には誰も来ない。静かなたたずまいこそが、本物の浄土であろう。

観光客が本物と思って見る仏像・経典などのうちのいくつかは、レプリカ(模造品)である可能性がある。収蔵庫で展示しているのが本物と考えたいが、逆にレプリカを置いて、丁寧に見せる方が親切なのかもしれない。レプリカか本物かは一応説明ラベルはあるが、レプリカの方ができのよい作品がいくつもある。

--------------------------------------------------------------------------

同じ岩手県の宮古市にある浄土が浜。この世のものとも思えぬ美しさを浄土と表現したのであろう。巨大津波も、浄土の破壊だけはしなかった。盛岡からは100km、バスで北上山地を越えて2時間30分。遠い、遠い。遠いだけでも、なかなか行くことのできない極楽浄土なのである。

 

人間のつくった観光船用桟橋は津波被害を受けて、復旧作業中である。人間の浄土のぞき見に対する、浄土からの復讐か。

 

津波復興の遅れている大槌町では、段丘上で仮設店舗で営業をしているが、外部資本の店か、地元の大店か、のいずれかである。大槌町の現況は、2年前とほとんど変わらず、復興の遅ればかりが目立っている。鉄道時刻表を手にした観光客が数人来ているが、鉄道は運転休止中であり、頼みのバスも時刻表とは随分遅れて走るので、みな不安そうにバス停と仮設店舗を行ったり来たりしている。雨が降るし、日は暮れるし、仮設店舗前のバス停で、1時間に1本だけのバスを待つのは、心細い。

 



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。