地理講義   

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7.異常気象

2010年10月25日 | 地理講義
7.異常気象

2010年の夏は30℃以上の猛暑が続き、エアコンのない家庭にとって、つらい夏だった。9月になっても秋にならず、いつまでも猛暑が続いた。9月になっても夏が続き、秋にならない現象は、すでに11998年9月から見られた。9月の高温傾向は確かに10年以上も続いている。
こんなことも、地球の温暖化の一つなのであろう。



日本の年平均気温も1990年以降、上昇傾向が続いて下がらなくなった。9月の経年変化と同じ傾向である。最近、大雪が降らなくなったとか、冬の寒さも厳しさがなくなったとか、夏が長くなったとか、そのような身体感覚と一致する上昇傾向である。
地球温暖化の傾向が、日本の平均気温に反映しているとすると、9月10月が真夏の暑さであったり、冬に雪が降らなかったり、気持ちの悪い異常気象が多発するかもしれない。異常気象が当然ということになるであろう。
夏の暑さで死なないためにエアコンが売れ、電力不足回避のため、原子力発電所を増発することが是認される時代になるかもしれない。
日本の米がまずくなった。特にコシヒカリとかササニシキなどの高級銘柄米がまずくなった。2010年秋の新米等級検査でも、これまでは96%が一等と判定されたのに、今年は60%、まずい高級米が流通することだろう。
埼玉県では庭先でバナナの収穫ができたそうである。モモ・クリ・カキの代わりに、バナナが栽培される時が到来するかもしれない。


 

ホッケーステック曲線
年間の気温変化を年輪調査をもとに、1000年間にわたって追跡したのが、ペンシルベニア大学のマイケル・マンである。1960年からホッケースティックの形のように、地球の温暖化が加速度的に進んでいるのが明瞭であった(1988)。
現在の地球温暖化傾向をおさえるため、世界全体の化石燃料消費量を削減しなくてはならない、とする国際世論にとって、非常に説得力のある図であった。





アイスホッケーのステックの形のように、1960年から地球の温暖化が急速に進んだ。ホッケーステック曲線として、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)第3回報告書にも掲載され、国際的信認を得た。
しかし、ホッケーステック曲線の基本データとして、調査サンプルの樹木のサンプルが、どこにどのように存在したのか、客観的に年輪と気候の関係を測定できるのか、気候専門家が批判した。また、20世紀に至るまで気温が平均値以下というのも過去の多くの研究成果と矛盾するとの批判もあった。
マンは2003年以後、図をしばしば変更したことから、ホッケーステック曲線は信頼を失った。IPCC第4回報告書からは、アイスステック曲線は姿を消した。
しかし、地球温暖化を警告するグラフは、ホッケーステック曲線と大同小異であった。
マイケル・マンが批判されたのは客観的根拠が薄弱であったためであり、地球温暖化説への警告が誤りであった訳ではない。



温室効果ガス
20世紀から化石燃料消費量が急増し、排出される温室効果ガスが地球の温暖化の原因である。地球からは赤外線の形で熱が宇宙空間に放出され、地球の温暖化がおさえられていた。しかし、二酸化炭素が温室効果ガスとして、赤外線の放射をおさえるために、地球の温暖化が進むのである。





地球は温室効果ガスの増加により、20世紀中に0.6℃の気温上昇があった。氷河の溶融による海面上昇と洪水多発の恐れ、温暖化による植生変化と農作物の豊凶の変化、異常気象の増加など、温暖化の影響は限りない。地球温暖化をおさえるために、二酸化炭素の排出量を地球規模でおさえることが緊急の課題である。となると、ホッケーステック曲線を描いたマイケル・マンの警告は生きてくるのである。





地球寒冷化(地球温暖化の懐疑論)
太陽活動は現在がピークであり、10年後には太陽活動が弱まり、地球の寒冷化時代が到来する、という説がある。現在の程度の温室効果で地球の温暖化が進んでも、太陽活動の周期的変化で解消される。さらに寒冷化が進むと、人類の生存が危うくなる。地球の寒冷化を、人間活動の範囲内に収めるためには、適量の温室効果ガスが必要である。現在の程度の温室効果では、将来の地球の寒冷化を食い止めることは難しい。温室効果ガスの排出量をコントロールする、地球のシステムが必要になる。
現在の地球温暖化論で欠如しているのは、水の存在である。
水蒸気・雲・海が、地球温暖化にどの程度の影響があるのか、コンピューターの計算能力を超えているので、水の存在を無視して、地球温暖化論と地球寒冷化論が語られている。これからは、水の影響と、太陽活動の変化を計算に加えなくてはならない。


※温室効果ガスに水(水蒸気・雲)を考慮していない。雲・水蒸気などの影響が分からないからである。水を温室効果ガスとして計算に加えると、将来の地球温暖化あるいは寒冷化の見通しは大きく狂うであろう。




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