地理B 2016年センター試験解説 赤本より詳しい解説 

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地理B 2016年センター試験第4問問6【24】

2016年03月22日 | 受験

EUの経済政策
 


解答
第4問問6【24】②
解説
①◯:シェンゲン協定(1985年)により、EU加盟国簡の国境移動はほぼ自由になった。
②×:旧東ヨーロッパ圏への投資は、労働環境の不安定なことから、限定的である。
③◯:EUは共通農業政策により、観光や環境保護などを名目に、農業補助金を支出している。
④◯:ドイツのザール地方の製鉄業の中心であったフェルクリンゲン製鉄所は世界遺産である。
解説の解説
①EUの国境検査撤廃
EU加盟の多くの国では国境検査が撤廃され、他国に自国内移動と同様に出入国できるようになった。1985年にルクセンブルクのシェンゲン村で締結されたのでシェンゲン協定と言われる。EEC設立の1958年には労働者の自由な移動が認められていたが、シェンゲン協定により労働者に限らず、一般市民にも国境移動の自由が認められることになり、1995年のアムステルダム条約によってEUの基本憲章となった。労働者の移動に加え、観光客の移動が盛んになって、ヨーロッパ経済は活性化した。しかし、テロリストの入国をどのように阻止するのか、EU外からの難民が増加した場合にはどのような規制するのか、大きな問題がある。なお、日本からの旅行者は90日間に限り、EU内を自由に移動できる。

②EUへの投資
旧東欧のポーランドやハンガリーなどにはEU諸国からの投資は盛んだが、旧東欧では労働者の権利意識が高いために投資効果は少ない。また、旧東欧の労働者が国内よりも高い賃金を求めてドイツやフランスに移動するため、優れた労働力が多くはない。旧東欧への投資は、EUの経済構造を変えるほど大きなものではない。日本からは、EU全体への投資は減ってはいない。

③EUの農業政策
EUの共通農業政策として、農業への補助金を積極的に増やして、農産物のEU内自給率を高めることをめざしてきた。農産物の輸出国アメリカにとっては、ヨーロッパの共通農業政策は非関税障壁そのものであり、EUとアメリカの貿易摩擦問題でもある。そのため、EUでは農業への補助金を輸出補助金とはならないように、農業の景観や土壌保全、農業人口の維持などを名目にして支出するようになった。
④EUの産業遺産
ヨーロッパでは19世紀以降の産業革命、特に鉄鋼業関連の施設・設備が産業遺産として保護されている。UNESCOの歴史遺産として登録されているものも多い。ドイツザールのフェルクリンゲン製鉄所関連施設は産業遺産の世界遺産第1号である(1994年登録)。ロレーヌのミネット鉱はリンを含む低品位鉄鉱石だが、フェルクリンゲン製鉄所は1890年にはトーマス製鋼法によってリン分を除去して鉄鋼生産を開始して、当時ドイツ最大の製鉄所となった。

 

 

 



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