地理B 2016年センター試験解説 赤本より詳しい解説 

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地理B 2016年センター試験第1問問6【6】

2016年03月23日 | 受験

第1問問6 水資源の問題 


解答
第1問問6【6】①
解説
①エジプト:ほとんどが砂漠の国であり、一人当たり水資源賦存量は非常に少ない。国外に依存する割合の高いのは、外来河川ナイル川に依存するからである。
②中国:内陸に乾燥地域が広がるが、沿岸は多雨地域である。また、長江・黄河のような大河川が存在する。水の多い地域に人口が集中し、1人当たりの賦存量は少なくても、国外には依存しない。
③バングラデシュ:熱帯モンスーン気候(弱い乾季のある熱帯雨林気候Am)であり、1人当たり水賦存量は多い。しかし、長い雨季には洪水となってしまう水量が多く、河川水に頼ることになって国外依存量は高い。ガンジス川とその支流の大河ブラマプトラ川に依存する。ガンジス川はインドから、ブラマプトラ川は中国から流れ込む。
④チリ:亜熱帯高圧帯付近には海岸砂漠のアタカマ砂漠がある。国土面積76万k㎡で、砂漠面積は16万k㎡である。国土の2割が砂漠である。砂漠以外の地域はアンデスからの河川水に恵まれている。
解説の解説
①ナイル川
エジプトの上流スーダンで青ナイル川と白ナイル川が合流する。ナイル川最下流のエジプトは、ナイル川から年間555億㎥の水を取水、その上流のスーダンでは185億㎥の水を取水することで合意ができている(1999年)。2国はアフリカの軍事・経済大国であり、ナイル川の水を独占的に米・綿花・小麦栽培などに利用してきた。
しかし、ナイル川流域のエリトリア・エチオピア・ウガンダ・ケニア・タンザニア・コンゴ民主共和国・ルワンダ・ブルンジは、ナイル川の水資源の分割利用を要求し、エジプト・スーダンと対立している。
経済発展の著しいエチオピアは、青ナイル川に総額47億ドルで幅1.7kmの巨大なダムGrand  Ethiopian  Renaissance  Dam グランド エチオピア ルネサンス ダム)を建設する計画を進め、さらなる経済発展をねらっている。下流2大国スーダン・エジプトはナイル川の既得権を失うと、大国としての国家の存立基盤を揺るがすことになり、エチオピアのダム建設に強く反対している。


②中国の南水北調
水不足の黄河流域と水の豊富な長江を結ぶ。南の水で北の水を調えるの意味である。つまり、長江流域から黄河流域まで、3本の運河を建設する壮大な計画である。
東ルートは揚州から天津までの運河である。古い中小の運河を利用し、随所でポンプで送水する。2013年に完成したが、水量・水質に大きな問題がある。
中央ルートは、1958年に長江支流の漢江で丹江口ダム建設が始まり、北京まで全長1,400kmの水路が2014年に完成した。ダムと北京の標高差100mを利用して流れる新運河である。
西ルートは長江山岳部から黄河山岳部を結ぶ構想だが、経費と効果の問題があり、未着工である。


③バングラデシュの乾季・雨季と稲作
バングラデシュの稲作には乾季・雨季にはそれぞれの稲作があり、米がある。
※ボロ米 乾季に植え付け、乾季の終わりに収穫する(4月)。
※アウス米 乾季に受植え付け、雨季のはじめ(6月)に収穫する。
※アマン米 雨季に植え付け、雨季(10月)に収穫する。
雨季が早かったり遅かったり、水量が多かったり少なかったりすると、米の収穫量に大きな影響がある。雨季は通常は6月~10月であり、水位は3~5m上昇する。一面水没する。雨季前に上流の豪雨によって下流で起こる洪水がフラッシュ=フラッドであり、水位は2mほどだが、ボロ米への影響が大きい。

 

 ④チリの水資源
首都サンチャゴから北は砂漠で、世界最大の銅産出地域である。鉱山関連の水が不足するために、海水淡水化装置をつけたり、小規模なダムを建設している。サンチャゴ以南は水に恵まれている。

 ◯日本の水資源
1人当たり水資源賦存量 3,223㎥
降水量は多いが、水源は山間地、利用者は平野の都市部のため、利用できる水量は多くない。
2011年の水使用量は809億トンであった。544万トンが農業用水、152万トンが生活用水、113万トンが工業用水であった。なお、国外依存率は0%である。

 

 



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