タムナスさんin
【ナルニア国物語/第一章
~ライオンと魔女~】
ジェームズ・マカヴォイ祭り第二弾。
この役に至ってはもはやヒトですらなく、多少コスプレが過ぎますが、とりあえず観とくか、ってことで観てみました。
最初、公式HPでスティールを見たときは愕然としたがね。
これはこれでよいではないか!
◎木に隠れるタムナスさん
◎ タムナスさんの握手
◎ 足の蹄についた雪をはらう仕草
◎ 悪事を企んでも、悪者になれきれない目
しかも傘さしてるし。獣なのに。そして傘が小さいし。萌える。
しかしまたしても早々に消える。
どゆこと? 「ナルニアのタムナスさん役でブレイク」とあちこちに書いてあったから、てっきりタムナスさん大活躍の巻! かと思っていたのにさ。ビーバーに負けてるやん。
出番が少ないのに印象に残る? そゆことですか? そゆことなんですね!! まるで『遠い夜明け』のデンゼル・ワシントンみたいじゃないですか!!! 共演キボー、だわ。デンゼル刑事VS『ユージュアル・サスペクツ』のケビン・スペイシーみたいなんだけど本物の悪党にはなりきれない心根ピュアなマカヴォイ容疑者とか。どうよ?
映画の方は『ロード・オブ・ザ・リング』のような重厚感や深みはなく。でも、子ども向けの映画としてはなかなか楽しめる作品ではないでしょうか?
ライオン軍団と魔女軍団の戦闘シーンがあるんですが、魔女の自力が強くてワロタ。魔力いらんやん(^◇^;)
魔女、『フィクサー』のティルダ・スウィントンなんですね。あっちではストレスの絶頂にいらっしゃったのに、こっちでは敵をイキイキと切り倒してはりました。
ダニエルさんin
【ゼア・ウィル・ビー・ブラッド】
ついでに、もひとつ。ダニエル・デイ・ルイスが2008年のアカデミー賞主演男優賞を受賞した作品。20世紀初頭のカリフォルニアで石油を掘り当て、巨額の富を得た男の成功と破滅の物語。
石油屋の話ですが、石油は欲や毒、あるいは血の象徴でもあり、「この下には石油の海が広がってるんだ」なんて主人公が言うその海は、この人自身の底なしの欲そのものだったりして。
心の底では人とのつながりを求めながらも、「自分以外は全て敵」という生き方しかできない強欲&エゴの権化のような男、その名もダニエル・プレーンビューの生き様を通して、アメリカの負の部分、ひいては人間の負の部分が描かれております。
ダニエル・デイ・ルイスがまぁ、同じ名前のダニエルさんを、いつもに増してド怪演。もう、声からして違いますもん。トーク番組で見た彼はいかにもa gentleman from LONDONって感じでしたが、この映画ではガツガツ、ギトギトとした声でいやらしさ全開。でもって、なんか笑えるんすよ。
主人公の対立軸として、イーライという、根っこはダニエルさんとつながってるようなエセ宗教家の若者が登場するんですが、特にこの二人の絡みが可笑しい!
どついたり、どつかれたりのシーンが再三でてくるのだけど、この間(ま)といったら……コント? まさにボケ突っ込みやないか! なシーンもあり、何度となく大笑いしてしまった。残酷なラストシーンですら、ほんのり滑稽風味。狂気と狂喜紙一重の演技&演出は、私らふつーの観客にとってある意味救いでもある。なんせ最後まで救いのない話ですから。笑いもなく2時間38分鑑賞し続けるのは正直辛いとこでした。
音楽がまた、逃げ出したくなるような不快な音で(^_^;)
でもこの音楽はすごいですよ。映画史に残るんじゃないでしょうか。レディオヘッドのギタリスト、ジョニー・グリーンウッドが担当。特に、太鼓の原始的な音に電気音やらアコースティックな弦の不協和音が重なる曲は、怖いながらもその斬新さに度肝を抜かれます。
好きか嫌いかと言われれば好きな映画じゃないけど、映像・役者・音楽がハイクオリティで融合する名作でございました。
ところで、途中からダニエルさんにイッセー尾形さんがカブッて見えたのは私だけ? 日本でこういう話をつくるなら、主演はぜひイッセーさんでお願いしたいところです。