12・8・8
想像力の誦句
10年11月8日から幸田露伴の「五重塔」を書き写し始めて
31日めの12月18日写し終わっている。この間休みは無かった。
主人公の十兵衛が50分の1の雛形を作っている、
天風師の教えに「想像力の誦句」があります。
「想像した観念道理の世界へと真実導きいれるべく…」
世間的なことには全く音痴な十兵衛が
五重塔を建立したい夢がやがて実現します。
50分の1の模型を作ること、即ち夢をアリアリと形に描いている。
そのことがどのように展開するのか、
書き写すことでそのことを読み取ろう、と思った。
世間的には川越の源太には、比べようもないほど十兵衛は劣っている。
簡単に言うと喧嘩にならない。
五重塔を建てるために十兵衛が動いたのは50分の1の模型を作ったことと、
朗円上人を訪ねて五重塔を建てたい旨は伝えただけです。
源太が妥協案を示しても「十兵衛いやげございまする」と云って断っている。
話し合って妥協点を見出そうともしない、周囲が段々十兵衛に対して引いてくる。
物語の展開上、そうしたとも思えない。
源太を圧倒する人間的な強さが十兵衛には備わってくる、従って源太は引く。
物語展開だけではない、十兵衛の頑固さではない、
何か強くなってくる十兵衛を露伴は描いている。
貫禄とか風格といった外形からの威圧ではない、
何か分からないが強い力が十兵衛に働く。
想像力にはそうした何か分からないが強い力がはたらく…。
したがって
「想像した観念道りの世界へと真実導きいれるべく その準備を尽くされている」
幸田露伴の「五重塔」を丸ごと書き写すことでそうした不思議な力がある、
そして想像力にはそうした力が天から託されている。