L'invitation au voyage(Henri Duparc)
旅への誘い(アンリ・デュパルク)
〘 水戸芸術館専属楽団「新ダヴィッド同盟」の中心メンバーでもあるヴァイオリン奏者の庄司紗矢香さんは、すでに二十年近くもフランスを拠点に演奏活動を行っています。その庄司さんがヨーロッパの音楽仲間とともにフランス近代の室内楽を特集する演奏会が、九月二十三日に当館で開催されます。
フランス近代の芸術といえば、まず思い浮かべるのは絵画の印象派ではないでしょうか。モネ、ルノワール、シスレーらのグループが一八七四年に開いた展覧会が、モネの出品作「印象・日の出」にちなみ“印象派”として批評されたことが始まりとされています。
「印象・日の出」を見ると、当時主流の写実的絵画にあった明確な輪郭がぼかされ、代わりに光の動きや瞬間の印象の表現に重きが置かれていることがわかります。朱と白の絵の具をキャンバスにこすり付けたかのような太陽光の反射の表現も、アカデミックな画風に慣れていた当時の一部の人たちを驚かすに十分なインパクトでした。
音楽においては、ドビュッシーが印象派の作曲家と言われています。代表作である管弦楽曲「牧神の午後への前奏曲」や「海」、ピアノ曲「映像 第一集、第二集」などでは、従来の和声法によらない響き、たどりづらい旋律線、多彩な音色が聴く者の感覚を快く刺激します。その斬新さ故に、同時代の音楽家や批評家の一部から反発を受けたことも、絵画の印象派と重なります。…
… 断定的な表現を避け、何らかの雰囲気を醸し出そうとする印象派の音楽は、因習的な決まり事からは解放されている音楽とも言えます。二十世紀に生まれた多くの作曲家が無限の可能性を夢見て取り組んできた現代音楽の重要な扉の一つは、印象派によって開かれたのです。
チケットの予約や問い合わせは、水戸芸術館チケット予約センター=電029(231)8000=へ。
(水戸芸術館音楽部門主任学芸員・関根哲也)=毎月第三日曜日掲載 〙
【プログラム】
ウェーバー作曲/舞踏への勧誘 op.65
ワーグナー作曲/歌劇「タンホイザー」より おごそかなこの広間よ(フランス語版)
デュパルク作曲/旅への誘い
ドビュッシー作曲/「シャルル・ボードレールの5つの詩」より
他
【 MMJ 】
💁 Facebook 公式ページ〘 @MMJ753 〙
【 MMJ 】
💁 LINE公式アカウント〘 @693kndgt 〙
MMJがLINE公式アカウントに登場!
お得な情報を受け取るには、以下のリンクから友だち追加してください。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます