goo blog サービス終了のお知らせ 

新・きものの基

絹や木綿、麻など素材から染織の歴史、技法、デザイン、そしてきものと暮らしの多様な関係までを紹介します!

木綿以前の事①

2007-02-11 22:10:53 | きものの歴史

■木綿の幸福

大正13年(1924年)、柳田国男は有名な著作「木綿以前の事」中で麻を捨て木綿に乗り換えた人々の暮らしの変化を「木綿の幸福」と表現している。「色ばかりかこれを着る人の姿も、全体に著しく変ったことと思はれる。木綿の衣服が作り出す女達の輪郭は、絹とも麻ともまた違った特徴があった。その上に袷の重ね着が追々となくなって、中綿がたっぷり入れられるようになれば、また別様の肩腰の丸味が出来てくる。全体に伸び縮みが自由になり、身のこなしが以前より明らかに外に現れた」と、大昔から麻しか着ることが出来な庶民が、麻を夏以外は捨てて木綿を着るようになり、それまで生成りの、麻の色そのまましか着ることが出来ず、縁がないと思っていた藍、紅など多彩な色柄のきものを着ることができるようになった。そうした結果「心の動きはすぐ形にあらはれて、歌っても泣いても人は昔より一段と美しくなった。つまりは木綿の採用によって生活の味わいが知らず知らずの間に濃やかになって来た」と、しぐさだけでなく、身体の快適さは着る人の感性までもを大きく変化させてきたことを伝えている。

■月刊アレコレTOPへ


最新の画像もっと見る