山口県の巨樹巡礼

長年月を生き、かつ誇り高く屹立している巨樹!。そんな巨樹に会いただただ首を垂れ巨樹を抱きしめてきます。

巨樹庵 (山口県の巨樹巡り)-Vol3( 3-① ~ ⑫ )

2020-05-05 21:35:45 | 日記
今年(2020年)の正月にNHK・BSを何気なく観ていたら、”巨樹百景 神様の木に会う”という番組を放送していました。日本全国の巨樹を紹介していたのですが、この時「そういえば我が家には山口県の巨樹の本があったなぁー」とふと思い出し、本棚をゴソゴソ探してみると有りましたありました。その本の名は「やまぐち 祈りの108樹(2004年発行)」と「続 やまぐち 祈りの108樹(2006年発行)」の2冊です。2冊とも元山口県立山口博物館の学芸員をやっておられた 三宅貞敏さんの著作です。
本をパラパラとめくってみると、山口県にも 「国の天然記念物」になっている巨樹もあったり神社仏閣に存在してたりと、あんまり面倒なく見られるかもしれなくて面白そうだなと思った次第です。
というわけで、用事で何処かへ出かけたついでに県内の巨樹に会ってこようと「巨樹巡り」を始めました。2冊の本を参考にしながらの巡礼ですが樹木の専門家でも何でもない素人の私が探して歩くのですから、へんてこなブログになるかもしれません。
一応、私流に決め事を設定してます。
1.三宅先生の2冊の本に記述されている巨樹を目指します。
2.2冊の本に記述されている巨樹以外でも、これは載せた方が良いだろうという巨樹は【番外編】として記しています。
3.訪れた順に番号を記入していきます(年月日も)。また直近に巡った巨樹がいちばん上になってます。
4.場所がかなり分かりにくい所もあるので、全ての巨樹の地図を載せます。

                        2020年3月  庵主敬白
注)5月になり三宅先生の本には3冊目(続続 やまぐち 祈りの108樹(2012年発行))があることが分かり、先生本人より寄贈していただきました。深謝いたします。これ以降は3冊を参考にして巨樹巡りを楽しみたいと思います。
                        2020年5月  庵主敬白



3-⑫船山八幡宮のイチイガシ(山口市仁保下郷仁保市)
   市指定天然記念物       2020.05.22
  
案内板が設置してあってその通り行くと本堂の裏の山裾にありました。上部は折損していますがりっぱな巨樹です。明治の始め頃、この樹を切らせまいと数人がお金を出し合って守ったとのことですので、その頃から巨樹だったのでしょう。いろんな歴史を見てきたんだろうなぁーと数百年の樹齢に想いをはせます。

  さすがに幹は太いですね。樹皮なんかを見ても貫禄があります。 
ここと国道を挟んで反対側の「御旅所」には台風・落雷で大きく割裂したイチイガシがあり、復元すればここのよりも大きかったみたいです。

  
お宮さんに入って直ぐ左に県指定天然記念物のチシャノキがあります。21年前の台風で倒壊したそうですが、その後根元から何本も萌芽して現在に至ってます。チシャノキは熊毛の大歳神社で巨樹を見ましたが(巨樹庵-2、No㉕)、ここのはそれよりも大きかったみたいで、一度は見たかったですね。


3-⑪俊龍寺のヒイラギ(山口市天花)    2020.05.22
  
我々が知っているヒイラギの葉っぱは、少し硬くて葉縁に鋭い刺があるものです。俊龍寺の境内を探し回ってもそれらしい葉っぱを持った大木は見当たりません。おかしいなーと言いながら、もう一度三宅先生の本を見たら「若木には葉縁に鋭い刺があり、生垣・庭園樹に使われるが、老樹になるとこの刺は無くなる」と書いてありました。そうなんだーと、改めて探してみるとそれらしい樹がありましたありました。ただこの樹は真ん中の写真のように主幹の上部が折損しており、また右の写真のように大きな枝が切られていました。見た感じでは堂々とした巨樹というのではありません。枝ぶりも悪く、高さもだいぶ低くなってます。

     
                   木肌はこんな感じです。老木ですね。


  
上部も勢いがありません。       葉っぱはこんな感じ。確かに葉縁に刺
                  はありません。


3-➉法泉寺谷のハゼノキ(山口市滝町〔法泉寺〕)
                  2020.05.22
          
三宅先生の本だけでは場所が特定できず、とりあえず行けるとこまで行ってみようとなりました。小さいダムの右側をつめると、人家(廃屋)の前に駐車場があったので車を停め歩いて行きました。やがて山口三名水の一つ「柳の水」の取水場が現れます。三名水の残りの二つは枯れてしまっていて、一番美味しいと言われていた「柳の水」だけが残っているそうです。
この建物の奥に道が続いているので(真ん中写真)登って行くんですが、それらしい樹が見当たらずやがて行き止まりになります。おかしいなぁーと言いながら引き返すと、お地蔵さんが目にとまりました。三宅先生の本には「側にお地蔵さんがある」となってましたので、この近くに間違いないと探しました。ふと目の前の樹の葉っぱを見ると、私が知ってるハゼノキの葉っぱです。「えっ、ひょっとしてこの樹なの??」と、改めて見ると間違いありません。三宅先生の本の写真は下草も綺麗に刈られていてハゼノキも落葉した後で幹と枝だけのものだったのです。目の前の樹は下部は雑草に覆われて幹の大きさも見えず、新葉が青々と繁った大きなハゼノキだったのです。

      
左側のハゼノキと右側(奥)のハゼノキの間に道ができてます。三宅先生も「柳の水」の傍にあると書いといてくれれば良かったのにと少し恨み節。それにしても、やはりハゼノキの中では立派な巨樹ですね。 

 
左側のハゼノキの奥におわしますお地蔵様。ハゼノキの葉っぱの新緑が綺麗です。
果実から木蝋(ロウソクの原料・他)を採るために植えられたもののようです。大きな樹は案外残ってないそうで、貴重な産業遺産と言えます。
ちなみに「柳の水」は今でも利用する人がいるみたいで、帰り道に大きなボトルを担いだ外人の方が歩いて来るのに出くわしビックリしました。


3-⑨朝倉八幡宮のイヌマキ(山口市朝倉) 2020.05.22
   市指定天然記念物
  
済生会湯田温泉病院の北側に位置している朝倉八幡宮は、約1160年前に宇佐八幡宮より勧請され、現在地に移遷されてからも約300年という由緒あるお宮さんです。幕末には所謂「七卿落ち」として有名な京都の公卿さんたちも、湯田に滞在していた時たびたび参拝に訪れていたそうです。
イヌマキは二つ目の階段を上ったすぐ右側にありました。山口県内でも最大級の大きさを誇っています。

    
幹は古木らしく何やら渋い威厳があります。葉っぱを見ていて「そういえば近所にこの葉っぱの生垣があるなぁー」と思い出しました。あれはイヌマキの生垣だったんですね。案内板にも「材は非常に硬く、根も深いため庭園・公園などに広く植栽され、生垣または防風樹としてよく用いられる」とあります。近所に何軒もイヌマキの生垣があるのに納得しました。

   
                りっぱな高灯篭があります。その向こうにイヌ
                マキの姿が。



3-⑧洞海寺のカヤ(山口市上小鯖宮の馬場)
   市指定天然記念物        2020.05.12
  
洞海寺は県道21号(山口ー防府線)の傍にあり、創建は1535年の曹洞宗のお寺です。カヤ(カヤノキ)の巨樹は創建当時に植えられたと伝わっており、樹齢は480年を超えていると思われ、カヤの独立樹としては山口県内最大のものです。

   
幹に近づいてみると、さすがに太くて存在感があります。ぎゅっと身が詰まったような重量感もあります。幹下部の空洞部が三宅先生の本の写真よりも拡がってきているみたいで、少し心配な部分ではあります。

  
葉っぱが独特で、スギ・ヒノキ・カシなんかとは違うなぁーと実感できました。
カヤは碁盤や将棋盤の材として最高級品だとのことです。


3-⑦菅内のクスノキ(山口市大内菅内) 2020.05.12
   市指定保存樹      
  
グーグルマップを見てみると「菅内のクスノキ」と表示が出ていたので、「おおー、これだこれだ」と此処を目指して車を走らせます。菅内を通る県道194号(山口ー秋穂線)から日吉神社の方へ入り、狭い道を川沿いに進むと巨樹に辿り着きました。
言い伝えでは600数十年の樹齢とのことで、老木に相応しく心材部は空洞となっていて、弁財天が祀られています。

   
さすがに巨樹らしく堂々とした姿です。廻ってみるとその巨樹ぶりが実感できました。

  
ところどころ幹や枝が痛んでいる所がありますが、ちょうど新緑の頃で花も咲いていたので、目にも優しく清々しい気持ちになりました。


3-⑥長野八幡宮のシャシャンボ(山口市大内長野)
                2020.05.12
     
国道262号を山口市大内矢田で仁保方面へ曲がります。県道26号(山口ー鹿野線)を北上し262号バイパスを突っ切ってしばらく行くと小さな石の鳥居が目に入ります。その狭い鳥居をくぐり狭い道を行くと長野八幡宮に辿り着きます。1089年に宇佐八幡宮を勧請建立したと言いますから、930年位の歴史ある八幡宮です。
シャシャンボの樹は「安産の誕生石」の傍にあるとのことなので、それを目印に探してみると本殿の側にありました。ツバキ科の樹なのでビックリするほどの大きさではありませんが、この樹の中では巨樹とのことです。

  
「安産の誕生石」というのは、福岡県宇美町の「宇美八幡宮」の地で神功皇后が応神天皇を出産したという伝説から取られたものでしょう。
この樹は県内では普通に見られるとのことですが、私にはそこらへんの雑木と区別はつきません。牧野富太郎博士によるとシャシャンボの名は、実が丸くちいさいことによる「小小ん坊」からきたものだとのことです。

  
 


3-⑤山根観音堂のクスノキ立木佛(山口市大内氷上)
                2020.05.12
  
山根観音堂への道が狭いため、車を適当な場所に駐車して歩いて行きます。観音堂の裏の山裾にクスノキの巨樹が見えてきました。

  
18世紀の終わり頃に周防の国を訪れ約7か月滞在し、あちらこちらに仏像を残している「木喰五行上人」がこの地蔵菩薩を彫ったのだろうと言われています。地蔵菩薩なので優しいお顔だったのだろうと想像しますが、残念ながらお顔の部分は欠損しています。しかし200年以上前に木喰上人が精魂込めて彫られたもので、今は立木佛となっているものなので何やら畏怖の念を禁じえません。
このクスノキの樹齢は300年以上と言われています。

    
幹はさすがに古さを感じます。          民家の屋根の上に、ひとき
                       は高く聳えてます。


3-④竜王社のムクノキ巨樹群(山口市宮野上石丸)
   市指定天然記念物       2020.05.12
  
全体にこんもりとした樹叢が目につき、場所はすぐに分かります。社の直ぐ傍にある樹が一番の巨樹で、これを含め5本の巨木があります。

  
一番の巨樹。幹はごつごつしており、枝は一部折損しているのもあります。向こう側にも一本巨木が見えます。

      
枝ぶりは全体的にはまだまだ元気な様子で、神社を囲むように5本の巨木があるため、全体がこんもりとした樹叢となってます。
竜王社は山口市三ノ宮にある仁壁(にかべ)神社の末社にあたり、綿積神社とも石丸竜王社とも呼ばれていました。


3-③よしもり様のウラジロガシ(山口市朝田和田)
                2020.05.12
  
最初はどこにあるか場所が分からず、諦めかけていた時に女房が発見しました。
少し小高い所にあり、ウラジロガシの巨樹の前には作り神の大歳社信仰の石の祠がありました。かなりの老木で樹勢の衰えは隠すべくもありません。2分岐の巨樹ですが、向かって右側の方はほぼ枯れています。

     
そのほぼ枯れた方に1本  ぐるっと周囲を廻ってみると、やはり大きいです。
だけ出ている細い枝。

     
この写真のように右側のほうは枝がほぼありません。今さらですが、元気な樹勢の頃を見たかったです。また美祢市伊佐河原にこの樹の日本一大きなのがあったそうですが、倒壊してしまって今は見ることができません。
「よしもり様」というのは、大歳様→→ヨイイネサマ→→ヨイネンサマ→→ヨシモリサマになったと言われいてます。 うーん?


3-②嘉川八幡宮のアカガシ(山口市嘉川宮の原)
                2020.04.30
   
山口市嘉川には若い頃数年間居住していましたが、もちろん嘉川八幡宮には行ったことも無く、今回初めてお邪魔しました。現在の地に移遷されてからも700年以上になるという由緒あるお宮さんです。階段を登り鳥居をくぐると境内になりますが、あちらこちらに巨木らしきものが見えます。アカガシの巨樹は本堂の裏手にありました。

  
幹は古色蒼然とし風格があります。根もまだまだしっかりと張っていました。

   
スダジイの巨木です。  クスノキの巨木。幹を見てもまだまだ元気です。この大き
樹幹は折損し空洞に   さが分かりますか?。              
なっていました。


3-①秋穂二島のアラカシ(山口市秋穂二島大里)
   県指定天然記念物     2020.04.30
 
狭い道を秋穂八十八霊場七十四番札所の「栄泰寺」前の車止めまで行き、ここに駐車します。駐車した所から左手方向に何やら巨樹が見えます。

 
アラカシは山口県内では最も身近なカシ類ですが、逆に大きくなる樹は少ないとのことで、昔からこのアラカシの巨樹は有名だったみたいです。

     
幹は骨ばっていて、かつ     一部、上部は折損していますが、なかなかの 
苔むしていて良い感じです。   枝ぶりです。女房は息を止めてこの樹の周りを
               3回廻り、コロナ禍の終息を願いました。
               早く収まります様に・・。
                            

















最新の画像もっと見る

コメントを投稿