山口県の巨樹巡礼

長年月を生き、かつ誇り高く屹立している巨樹!。そんな巨樹に会いただただ首を垂れ巨樹を抱きしめてきます。

巨樹庵(山口県の巨樹巡り)-Vol7( 7-① ~ ⑨)

2022-04-10 12:00:00 | 日記
今年(2020年)の正月にNHK・BSを何気なく観ていたら、”巨樹百景 神様の木に会う”という番組を放送していました。日本全国の巨樹を紹介していたのですが、この時「そういえば我が家には山口県の巨樹の本があったなぁー」とふと思い出し、本棚をゴソゴソ探してみると有りましたありました。その本の名は「やまぐち 祈りの108樹(2004年発行)」と「続 やまぐち 祈りの108樹(2006年発行)」の2冊です。2冊とも元山口県立山口博物館の学芸員をやっておられた 三宅貞敏さんの著作です。
本をパラパラとめくってみると、山口県にも 「国の天然記念物」になっている巨樹もあったり神社仏閣に存在してたりと、あんまり面倒なく見られるかもしれなくて面白そうだなと思った次第です。
というわけで、用事で何処かへ出かけたついでに県内の巨樹に会ってこようと「巨樹巡り」を始めました。2冊の本を参考にしながらの巡礼ですが樹木の専門家でも何でもない素人の私が探して歩くのですから、へんてこなブログになるかもしれません。
一応、私流に決め事を設定してます。
1.三宅先生の2冊の本に記述されている巨樹を目指します。
2.2冊の本に記述されている巨樹以外でも、これは載せた方が良いだろうという巨樹は【番外編】として記しています。
3.訪れた順に番号を記入していきます(年月日も)。また直近に巡った巨樹がいちばん上になってます。
4.場所がかなり分かりにくい所もあるので、全ての巨樹の地図を載せます。
                        2020年3月  庵主敬白

注)5月になり三宅先生の本には3冊目(続続 やまぐち 祈りの108樹(2012年発行))があることが分かり、先生本人より寄贈していただきました。深謝いたします。これ以降は3冊を参考にして巨樹巡りを楽しみたいと思います。
                        2020年5月  庵主敬白



7-⑨大元神社のケンポナシ(山口市徳地伊賀地尾蔵)
                   2022.5.9
     
創建は不詳ですが安芸の国(広島県)の厳島大元宮(厳島神社より古いと云われています)から勧請し、以前は大元大明神と称していたそうです。県道184号線を挟んで西宗寺と反対側の佐波川の方へあります。広い田園地帯の中の小さな小さな神社です。ケンポナシは鳥居の向こう側にあります。

  
少しいびつな格好だなと思いよく見ると、2分岐した片一方が折損してありません。太い方の幹だったので余計に貧弱に見えます。台風か何かの強風の影響でしょうか。
県内に自生しているケンポナシは無く神社等に植栽されたものが残っているのみです。秋に果実ができるのですが、干しブドウのような感じでナシのような甘みがあり、この果実が二日酔いに効くということで昔は医者の家もケンポナシをよく植えていたそうです。

  
葉はいかにも実がなる樹のような柔らかそうな葉っぱです。木肌は少し荒々しい感じです。老木なのかな? 2分岐の内の1本が無くなってますが、なんとか頑張って長生きして欲しいです。 


7-⑧西宗寺のヤマザクラ(山口市徳地伊賀地光乗)
    市指定天然記念物       2022.5.9
  
出雲神社前の交差点から佐波川の橋を渡り、県道184号線を北上してすぐ右上方に西宗寺はあります。1870年に三寺が合併して西宗寺ができた後、1876年にこのヤマザクラがある地を選んで此処に移転してきたそうです。その当時から綺麗な花を咲かせていたのでしょうか。

  
台風等の強風により3-4本の枝が折損していますが、なかなか姿形の良いヤマザクラです。花が八重のヤマザクラですが八重のものは野生でもあるそうなので、もともと此処に自生していた所に寺が引っ越してきたのでしょう。県内でも大きい方に入りますが、主幹なんかを見ると風雪を感じて良いですね。

  



7-⑦出雲神社のスギ(山口市徳地堀二の宮)
    市指定天然記念物       2022.5.9
   
周防の国二の宮「出雲神社」です。霊亀元年(715年)に創建されたこの地方最古の社です。二の宮と云われてるぐらいですからその昔は人の参拝も多く勢いのあつた神社だったのでしょうが、今は時の流れから忘れ去られてるようなひっそりとした神社です。
「高杉大明神」とも称されているスギの巨樹は本殿に向かって左奥にあり、ご神木として玉垣を巡らし保護されています。

  
スギに近づいていくと、その大きさに思わずオオーっと声が出ます。大きさも県内有数のものですが、特異なのは枝の張り出しです。すぐ裏側(北側)が崖地の樹林になっているため殆どの枝が表側(南側)に張り出しているのです。自然の逞しさというか妙というか、なるほどなぁーと思わず唸ります。

  
スギは日本特産種で日本各地に巨樹があり、天然記念物になっているものも多いみたいです。
長年スギ花粉症に悩まされた身には「スギなんて無くなって欲しい」と思うことも多いですが、「日本特産種かぁー、大事にしないとなぁー」とも思い、悩ましいです。

  
裏の樹林にあるクスノキ(多分)。この周りに国指定天然記念物のツルマンリョウの自生地があるんだと思います。どれがどれだかさっぱり分かりません。


7-⑥猿田彦大神のムクノキ(山口市徳地伊賀地船津)
                   2022.5.9
  
防府市から県道24号線を北上し、出雲神社前の交差点より一つ手前の橋を渡ります。渡ってすぐ佐波川の下流の土手上を見るとこんもりと繁っている1本の樹が見えます。これが猿田彦大神のムクノキです。

  
ムクノキはエノキと共に古くから一里塚、道の分岐点、小祠などの日陰樹となり、神社では神の依り代として植栽、保護されてきました。また道祖神(賽の神)は峠、村境、道の分岐点などに、天孫降臨の道案内をした猿田彦大神と共に祀られることが多かったと言います。
昔はここで、旅人はムクノキの日陰で汗を拭い、地の人はここを通るたびに道祖神に手を合わせていたのでしょう。形式ばった神社仏閣とはかけ離れた日常の営みがあった場所だったと思います。

     
ツルマサキが著着しているので見づらいですが、ムクノキとしては県内でも大きい方です。ただ根元で2分岐しているせいかあまり高さがありません。萩市河内のムクノキは幹囲で県内で一番大きなものになりますが何といっても高さがあり、とても見栄えの良い巨樹でした。ここのムクノキも2分岐していなければ匹敵する大きさだったかもしれません。少し残念な気がします。


7-⑤恵美須様のコナラ  (山口市阿東徳佐上)
                   2022.4.1
  
国道9号線を徳佐八幡宮を右に見て津和野方面に北上します。しばらく行くと「亀山」の交差点を右折して上半久の集落に入り大元神社の方へ向かいます。大元神社の手前の左側に大きな池のよく整備された土手が見えてきます。空き地に駐車し歩いてこの池に向かいます。池の右側に沿って小道がありこれをたどり、大きく右カーブして直ぐに山に入る道があるのでこれを登って行きます。何回か道が分岐していますがいつも左に進みさらに登って行きます。しばらく行った先に恵美須様がありました。

   
ようやっと辿り着きましたが、どうも様子がおかしいのです。コナラの巨樹が見当たりません。よくよく見てみると1.5mのところで2分岐していたコナラの片一方が倒れているのです。倒れている方もかなりの長さなので、この樹の大きさが分ろうというものです。幸い残った方はなんとか生き永らえてるようですが、いったいどんな事があったんでしょうか?。

  
昔は春季牛を連れてお参りしてたと云われてます。えびす神は本来は漁民の神様でしたが、後には農民の神様としても信奉されてきたみたいです。こんな山の中にどうして恵美須様があるのか、此処を教えてくれた地元のオバアちゃんも不思議がってましたが、昔は部落総出でいろんな行事をしてたみたいです。中には泊まり込むこともあったとのことでした。(昔は恵美須様の所に小さな建物があったそうです)

    


7-④菅原神社のスギ・ほか(山口市阿東徳佐中片山)
                   2022.4.1
   
国道9号線を徳佐八幡宮を右に見て津和野方面に北上します。しばらく行くと和菓子の「葉葉堂」があり、これを過ぎ400mぐらい行くと左に船平山に向かう真っ直ぐな道が見えてきます。土地改良されよく整備された農地の中を山の方に向かって行くと辿り着いた先が菅原神社です。地元では片山天神の方がとおりが良いようです。文永元年(1264年)に太宰府天満宮を勧請したと云われていますが詳細は不詳です。これにより天満宮とも天神とも云われています。

  
スギの巨樹は本殿の直ぐ前にあります。遠くからだとそんなに思わなかったのですが、近くに行ってその巨樹ぶりにビックリしました。久しぶりにスギの巨樹を間近に見たのでしばらく見とれていました。このスギは延喜年間(901~922年)に奉祀したといわれていて、地元では「千年スギ」と呼ばれてるそうです。

     
ヤブツバキの大きいのもあります。県内でも有数の大きさですが、残念ながら幹が3分岐した中の1本が折損しており、この樹自体も老木なのか全体的に元気がありません。

   
    タブノキ            イトザクラ(シダレザクラ)


7-③徳佐八幡宮のエドヒガン・イトザクラ群 
           (山口市阿東徳佐)2022.4.1                   
   市指定天然記念物  国指定名勝   
  
(今年、徳佐八幡宮のエドヒガンやシダレザクラの桜並木が国指定名勝に選定されました。)
徳佐八幡宮は大内満盛が寿永元年(1182年)に宇佐八幡宮を勧請し創建しました。移転や火事による焼失の後、延宝7年(1680年)に藩主毛利綱広が現在地に造営遷宮したとのことです。
参道両側の土塁上の桜は1825年に植栽したといわれており、古いものでおよそ200年ぐらいの樹齢になります。

  
エドヒガンの枝が下垂する品種をイトザクラといい、別名シダレザクラといいます。今ではこちらの名前の方が一般的ですね。
シダレザクラの最大のものは日本三大桜の一つの福島県三春町の「三春滝桜」となっています。もう少しピンク色の濃いベニシダレザクラです。

  
シダレザクラのトンネルを歩いていると、心が浮き立ってきます。なんかのどかで良いですね。歩いているとエドヒガンの巨樹が目に入ってきます。枝が下垂してないのでシダレザクラほど華やかには感じませんが、この古木然とした感じはたまりません。ソメイヨシノより花期が少し早いとのことです。

  
歩いて徳佐八幡宮の本殿に近くなると、程近くの広場で地元の方々が「休憩所・食事処」を開設されてました。徳佐駅の近くに駐車してずっと歩いてきた身にとり、元気を回復する場所でした。

  
本殿の周りには大木がそこかしこにあります。ただ何の表示も無いので樹種を想像するしかありません。エドヒガンをソメイヨシノと勘違いする人もいましたので、すべてのサクラなどの樹木にも名板をつけて欲しいものです。これだけ観光地化されてるんですから・・。

 
7-②山田神社のウラジロガシ(山口市阿東地福上)
                   2022.4.1
  
国道9号線を北上して行き左奥(川向う)に地福の中心街が見え始めると、国道9号線の右側に地福山田の集落(さがら養蜂園があります)が見えてきます。駐車スペースがどこにも無いみたいなので、近くに車を止め歩いて集落に入って行くと直ぐに立派な灯篭があります。ここが山田神社の入り口です。ここから山の方に歩いて行くと苔むして古びた階段と鳥居が見えます。これを登り切ったらビックリするぐらい古びた本殿が現れます。創建年代は不詳ですが元禄11年(1698年)に再建された記録があります。この本殿はその時のものなのかな? それぐらい古びています。

  
ウラジロガシは本殿に向かって右側にあります。これにも苔がかなり付いており古木然としております。ウラジロガシとしては県内でも有数の巨樹ですが、いつまで持つのか少し心配になってきます。樹の上の方まで苔むしてますもんね。

   
根元近くに空洞があります。将来に悪影響が無ければいいのですが。陽当たりが悪くジメジメしてますので、中から腐っていかなければいいのですが・・。

  
 
  

7-①千頭のクリ(山口市阿東生雲東分)  2022.4.1
  
国道9号線を津和野方面に北上し、長門峡を過ぎしばらく行くと「長門峡梨組合」の建物が見えてきます。この手前を右折し阿武川を渡り千頭の集落に入って行きます。車を止める場所がなかなかありませんので注意が必要です。集落の終わり近く阿武川の支流を渡ってすぐの家屋の山側にクリの巨樹があります。三宅先生の写真と比べてもまずこの樹に間違いないだろうと目星を付けて写真を撮りました。が、この樹自体裏側が剥離しているような状態で、少しびっくりしました。残ったのは元気そうで今すぐどうこうなるということは無さそうですが、正直心配しています。

  
クリはスギと同じく日本特産種だということですが、クリ饅頭の好きな私としては何だか嬉しい限りです。
元の状態だと県内で一番のクリの巨樹だったと思いますが、今ではどうでしょうか?

   










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