オニヒトデとサンゴの共進化
大昔からオニヒトデはサンゴを食べて来た。
そして、大量発生を繰り返して来た事だろう。
それでも、サンゴ礁は食い尽くされてはいない。
食べるものと食べられるものの間には、
生き残りをかけて凌ぎを削る共進化が進む。
餌となりそうなものがあるとき、
それを襲うような別の生物が進化して出てくるのは時間の問題である。
オニヒトデはすべての造礁サンゴを等しく食べるわけではなく、
生長が早く量的に多いサンゴ類を好んで食べているようである。
生長が遅くて劣勢であったサンゴが
サンゴ種間の生育空間を巡る競争から、
オニヒトデに助けられて開放される効果も出ているだろう。
また、サンゴ礁はオニヒトデに食いつぶされた後の
リセット・リスタートにより、
群集の復活をかけた繁殖競争が起こるが、
それはサンゴ群集の若返りともなるかもしれないし、
メンバー交代などの結果で新しい群集に質的に変化したりするかもしれない。
外圧で試されながらたくましく生き残る生物は
別の新しい外圧に耐えるような性質を獲得して
自らを将来に向けて維持できるのかもしれない。
温室で保護された栽培植物や
人間に守られた家畜は
一定の枠内に維持管理された環境の外ではまず生き残れない。
人間が自らを「自己家畜化」している現状は
人類滅亡の準備を自ら進めていると見てもよいだろう。
*琉球大学 山口正士研究室HPより抜粋転載。
宮古島/八重干瀬オニヒトデ捕獲大作戦