初期の短編童話に「谷」という作品がある。
ほとんど気にしていなかったこの作品に注目したのは
ある人が、ここに出てくる「理助」という人物が好きだと言ったからだ。
なんだか意地悪、でもどこか憎めない。
私が感じることができなかったユーモアと人間愛を
その人は教えてくれたのだった。
このマンガを描いたのは、4コマを始めてわりとすぐのころだが
どういうわけかアップしそびれていた。
そしてこれを披露する前に
その人はこの9月のある日突然、
銀河鉄道に乗って、旅立ってしまった。
賢治のこと、音楽のこと、もっといっぱい教えて欲しかった。
でもきっとあっちでは楽しく
賢治やウッディ・ガスリーやピート・シガーなんかと会って
お喋りしているんだろうな。