
ソファに寝そべり本を読んでいると、外開きの窓の上に一匹の蜻蛉
外は風が強く体も羽も大きく揺らいでいる
飛ばされないように必死で耐えている
本を読むのをやめて蜻蛉を見ていたら色んなことが頭に浮ぶ
こんなに強い風に吹かれてまでどうしてその場所で耐えているんだろう
番いを探しているのだろうか
疲れたので一休みしているのだろうか
エサを探しているのだろうか
迷子になったのだろうか
生まれたばかりで飛ぶのがあまり上手じゃないのだろうか
自分の縄張りを見張っているのだろうか
これらの心の声が聴こえたのか蜻蛉は向きを変えこちらに顔を向けてきた
頭を上下に動かしながらこちらを見ている
しばらくするとまた向きを変えこちらに尻尾を向けた
そして飛び立ったかと思うと一周回ってまた同じ場所に止まった
どうした?
風とのタイミングが合わなかったのか
番いになりそうな相手を見つけて飛んでみたものの逃げられたのか
飛ぶ練習をしているのか
一周回ってまた同じ場所に止まる行為をそのあと3回やった
そして暫くするとどこかへ飛んで行ってしまった
この蜻蛉はどんな生涯を送るんだろう
何を考えているんだろう
自分の人生をどう思っているんだろう
時計を見ると蜻蛉を見続けて1時間が経っていた
この時間は無駄な時間だったのか
いや、とても有意義な時間だった
そもそも有意義な時間とは何か
蜻蛉のことを見ていながらも蜻蛉のことだけを考えていたわけではなかった
蜻蛉を介して自分自身を見ていた気がする
現代は急いでいる人ばかり
急かされている人ばかり
たまにはこんな時間もエエんちゃうか
※写真と記事は関係ありません( ´艸`)。