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‥公園の中で音楽を集おう!‥

今まで聴いてきたロックのアルバムの中で、気になっている作品をいろんな角度から検証してみませんか?

検証22  The House Of Love / The House Of Love‥‥メリベル

2015-01-20 16:00:00 | 検証



彼女は小学校から同級の友人S子の自宅への道を急いだ。
S子の家は自営業でお店の裏に自宅への門があり、彼女はそこをくぐるとき、いつも慎重にくぐった。
彼女とS子は洋楽が好きで、2ヶ月に一度、代わりばんこに双方の家に行き、自分たちが買ったレコードを聴きながらお茶を飲むのが日課だった。

彼女は3枚レコードを持っていき、その中に一等好きな、ハウスオブラブのレコードがあった。



(1.タイトルについて)
「愛の家かぁ。このバンド名でデビューアルバムも同名って何か凄くない?」
S子は言った。S子が妻子ある男性に恋しているのを彼女はだいぶ前から知っていた。
その”凄くない?”の意味するところは?
バンドのメンバーは”愛”に飢えているのではないだろうか。彼女がS子にそう言うと鼻で笑われてしまった。

誰だって愛に飢えている
そして誰だって平凡な幸せに憧れたりする
私たちはまだ23歳で、まだ本物の愛も人生も知らないかもしれないけれど


ジャケットを二人で眺めた。(2.アートワーク)
バンドのメンバーらしき人物が二人で写っている、スナップ写真のようにシンプルなものだった。
でも惹かれた。
このての、何か神聖で、何か清潔感漂う写真は彼女の心を捉えて離さず、半ば衝動買いだった。
S子も彼女の趣味はよく分かっていたが、あえてジャケットにはコメントしなかった。





中を開けてみると。(3.アルバム全体の雰囲気・曲順も含む)
もう一発目の Christine から侵されてしまった。

のちに彼女は思う。この歌詞を書いたガイ・チャドウィックにとって、クリスティーンとは女神(若しくは、自分の理想とする女性)だったのではないのかと。
その後もまどろみを促すかのような曲調は続く。
全ての曲がオブラートで包んであるかのようなのだ。
ここは現実の世界ではなく、夢想の世界であって、何処かに現実の世界へ通じる扉があるけれど、ここから抜け出せない。
麻薬中毒のようにハウスオブラブの音世界は続く。

彼女は泣きたくなった。
曲がかかっている最中に友人S子が彼との関係を話し出したからだ。
その話に普段ならそんなに違和感を覚えなかったけれども、そのときは本当に、苦痛だった。

(S子はこのアルバムに聴き入っていないし、夢想の世界にもいない。余りにも比重を占めている現実がそこにある。ということはハウスオブラブの麻薬が効くのは私だけ?)


(4.P.Vや当時のライブ映像について)

彼女とS子は二度都内へライブを観に行ったことがあった。
S子の勧めでアン・ピ・ガールを、彼女の勧めでデペッシュ・モードを。
けれど。
ハウスオブラブがもし来日してもS子とは観に行きたくない。
なぜならハウスオブラブの音楽は彼女にとって触れれば壊れてしまいそうな、雪の結晶体のように儚いものであったから。
しかし彼らの来日はなかった(と彼女は記憶している)。



(5.関連商品について)
S子がそのとき何のレコードをかけてくれたのか彼女には余り記憶がない。
S子の部屋でハウスオブラブを聴き、益々彼らへの熱が増した彼女は、後日行きつけの外盤屋を訪ねる。そこにも高校の同級生のM美がいて、M美は彼女にサウンズ紙の一面を見せた。そこにはハウスオブラブのロングインタビューが載っていた。

「私、これ訳して自分の本に載せるよ」

M美は目を丸くしたが、やがて微笑みこう言った。

「頑張ってね。本が出来上がるの楽しみにしてるね」


検証22 The House Of Love (Bプログラム)

2015-01-20 10:36:15 | 検証


・・・サッカーボールを思いきり蹴り上げる夢を見たんだ。・・・

[愛の家]

クリスチーヌ。

ゴールキーパーの僕は、打ち込まれたシュートを真正面でキャッチして。
そいつを力の限り蹴り返すつもりが、
うまくできなくて目の前にいたFWにあっという間にゴールされてしまう。

味方も僕のことを冷ややな目で眺めているだけ。

身体の左半分が動かせないだけなのに、めいっぱい走り回れたのが嘘のようだ。
中学を出てからあんなに嫌で辛くてたまらなかった部活から解放されたというのに。
こんな時にそんな夢を見るなんて。

ここ何年かボールを投げたり蹴ったりしたことは一度もない。
全力疾走だって黄信号が踏切が鳴り出した時ぐらいだった。

脚はもちろん、腕と、肩から首すじにかけて、
ちょうど身体の半分が言うことをきいてくれない。
髭を剃ることも洗顔フォームを泡立てることも、
スキンクリームを塗りたくることも、
静電気を気にしながらブラシで寝ぐせを直すことも、何もできやしない。

あの日はそんなに寒い日ではなかった。
むしろ南岸を発達しながら通過した低気圧のおかげで、
真冬にしては珍しい暴風雨が止んだ後は梅雨のような降り方だった。

・・・それみろ! だから言っただろうに。
そう思うと突然、今まで全然知らなかったような、何ともいえない香りが漂ってきた。
何かのメロディが頭の中を廻っていたのだけれども、
それが何だったのかどうしても思い出せない。
そんな、ほんの一瞬の間、投げ出されたような後に気がつくと道の上に放り出されていた。
身体の左半分が痛み出す。

転がっていったヘルメットには大きな傷が付いていた。

朝、起きようとすると首すじに激痛、そして腕が上がらない。
脚は痺れている。左半身をかばうことによって右半身の筋肉はこわばり、
いっそもう身体を動かすことさえ嫌気がさしてくる。
そうやって身体を動かさないでいると、使わない筋肉はどんどん収縮して、
もう二度と起き上がることができない。

[1991.2.18]

+++++++++++++++++++++++++++++++++++


THE HOUSE OF LOVE(の音楽)は女々しい じゃないですか

と、言われたことがある。

女々しいという言葉が再び市民権を得た数年前より遥かずっと前の話だけど

その時は意味がわからなかったけど、
実際今もわからないし
確かに、いじいじしてたりもどかしいようなところはあるかも。

まぁ陰か陽かと問われれば陰、
騒か静かと問われりゃ静

武骨か繊細かと言えば間違いなく繊細
でもそれだけじゃない



THE HOUSE OF LOVEは、「クリスチーヌ」で知った。

もう一曲の「Shine On」は別テイクを聴きたくてクリエーションのコンピを探して買った。



そんな買い方をしたのも、それが最後だったと思う。

あの頃は別テイク目当てでコンピを買って収録されてる他のバンドを聴いて
新しい世界を知る。
そうやってレンジが拡がっていった。

それは良かったのだけど
CDの発売され方が変則で一体どれを買えばいいのか迷った

何せアルバムタイトルは同じなのに3種類
本作「The House Of Love」(邦題「ザ・ハウス・オブ・ラヴ」)には「Christine」が収録されていて

一方「The House Of Love」(邦題「シャイン・オン」)の方には「Shine On」が収録されている


こちらは通称“The Butterfly Album”、正確には2ndアルバムなのだ。

さらに「The House Of Love」(邦題「アーリー・マテリアルズ」)ゆうコンピには「Shine On」


おまけに「A Spy In The House Of Love」ゆうコンピ

1曲目の「Safe」はProducerがDaniel MillerとGareth Jonesゆう

1.タイトルについて
まんまなんで


2.アートワーク
これも、突っ込む余地なし


3.アルバム全体の雰囲気(曲順も含む)について。

当時はネオアコのカテに入れてたけど
全然どうしてギターぎんぎん(死語)じゃないっすか

何だかジザメリばりの不遜な態度も見え隠れして

あとは
Jesusが歌い込まれているのが2曲

ヴェルヴェッツの「Jesus」へのオマージュかと


4.P.Vや当時のライブ映像について。

見たことなかったなぁ


5.関連商品について。

シングルが6枚まとめて中古屋で出てたんで買った。
本来BOXか何かに入ってるものなんだろうか?と思ったけど、
どうやらそうではないらしい。



「Christine」や「Shine On」が思う存分満喫でき、
初期の女性メンバーがフィーチャーされてる曲も漏れなく収録されてる
3枚組デラックス版は嬉しい


冒頭、長々と書いた文章は今から23年前頃THE HOUSE OF LOVEを
毎晩のように聴いてて見た夢がモチーフ。
その夢を当時「クリスチーヌ」というタイトルを付けた。

いまだに相関関係は不明だ。

検証21  Virginia Astley / Hope In A Darkened Heart ‥メリベル

2014-11-30 16:00:00 | 検証
全ては透き通った世界
揺るぎない想い
愛しいと感じるその想い

見えてくる情景は
いつも日の光がうっすらと降り注いでいる
暑くもなく
寒くもなく
ちょうどよい肌の感触にも似て

ただ愛していただけ
全身全霊で
あなたを

ずっと忍ばせていたい
あなたのレコードを私の傍に
これからも
死ぬまで忍ばせていたい






1.タイトルについて
貴女の囁く言葉のようです。



2.アートワーク
上にアップした貴女が写っているジャケットに私は一目ぼれ。
同じような形の帽子を早速買いました。



3.アルバム全体の雰囲気(曲順も含む)
これほど統一感の取れたアルバムは他に類を見ないくらいです。
まるごとヴァージニア・アストレイの世界。
賛美歌のようでもあり、イギリスの唱歌のようでもあり。

悔い改めたくなっちゃうの!!
全ての過ちを。
私が感じてきた犯してきた、私の中で過ちと感じる、今までの過ちを、
貴女の声の前で。
懺悔したくなる。
懺悔したあと、優しく接吻してくれる?頬に。



4,P.Vや当時のライブ映像
全然彼女自身の映像ではないけれど。
私はこのアルバムを聴くと、
新宿のごった返す人の波の中で、
迷っていた自分の映像を思い出します。
どっちに行けばいいのか、分からなかった。
東に行けば地獄、西に行けばもっと地獄。
あらあら浮上出来ないよ。
助けて助けて助けて。
早く家に帰って貴女の声を聴きたい。
なのに。
私は貴女を裏切って西の方角に行ってしまった。
結果は自分しか知らない。




5.関連商品について
自分で買った貴女のアップのジャケットは、辛くて売ってしまった。
親切な、音楽仲間さんが、
10年前くらいにCDRに焼いてくれたそれは、暗い山と緑がバックの背景のジャケの方だった。それでも中身は同じ、嬉しかった。
もう聴けないと思っていたから。
私は貴女を裏切った罪人だから。
でも。
ヴァージニアの歌声は確かにそこにあり続け、
何も変わらず、
私を丸ごと包み込んでくれた。




検証21 Hope in a Darkened Heart / Virginia Astley(Bプログラム)

2014-11-30 08:46:59 | 検証


・・・暗黒の闇に僅かな希望なんてあるわけない・・・




うつ病患者にとって朝は重要なファクターだ

最近の研究報告では脳の奥深くにある扁桃体と海馬に障害をきたすのが、
うつ病の原因だとされる。

心の病と呼ばれてきたけど脳の機能障害なのだ。

そんなうつ病患者は、まず朝に起きられるかどうか
そして何時に起きられるか、毎日闘ってるんだよ。

朝をどう迎えるか、朝をどう過ごすかでその1日が決まる
一旦起き上がったものの、また寝てしまうケースも多いし
午前中は頭が回らずボーっとして昼を迎えるなんてことも
もちろん午後まで起き上がれないこともある

一時期、朝起きたらこのアルバムを毎日聴いていた
回復の兆しも見えてきた頃
耳に優しく控え目ながら気分が安らぐ感じ
生きてていいんだ、これ大袈裟じゃなく

音楽を聴くことが極めて日常なことであることだとしみじみ思いつつ

うつ病にならなかったなら、
命を粗末にするような行為に及ばなかったら
そんな当たり前のことを当たり前だとは思いもしなかっただろうに

音楽が戻ってきて、
それは、、、救いであり望みだと思った。

+++++++++++++++++

日本特有の現象で
YMO、JAPAN人脈が絡む作品は市場価格が高い
迷惑な反面、本国ですら廃盤状態の作品が日本で再発されるという恩恵も

本作はその両面を受け
坂本龍一プロデュース&キーボード、デイヴィット・シルヴィアン参加
で“幻の名盤”が日本のみ紙ジャケットで再発ゆう謳い文句だけど
全然普通に売ってるよ実店舗では。

1.タイトルについて
1曲目を邦題にするなんて無粋だ。だったら原題のままで良い。


2.アートワーク
割愛


3.アルバム全体の雰囲気(曲順も含む)について。

3.チープなリズムボックスで始まるのはクリスマスっぽいナンバー

夏を思わせるタイトルもあるけど
どれも今の季節にぴったり
と思いきや
実際に唄われている内容との乖離は大きい

曲が進むにつれ音数も多くなり
LaD.の3rdような汎ヨーロッパを感じさせるスケールの大きなサウンドに昇華していく

7,8は後述の12インチ(1982年)からの再収録

なので坂本龍一が関わってるのは6曲目まで
当時ならきっと“ミニLP”扱いだったろうな。
でも日本盤だから付け足してフルLPにするんだろ
日本特有のやり方だ

それに、帯に記載されてるような“耽美の極”は欠片も感じないんで
いまだにそんなパブリックイメージなのか、あの二人が揃うと。

だから
坂本龍一の仕業なのか
彼女本来のものなのか
そんなことどうでもよくなった


4.P.Vや当時のライブ映像について。
なし


5.関連商品について。

当時は、あのジャケットが秀逸な12インチシングルが高価だったことも相まってか
気高いってイメージが先行し近寄りがたく手が届かない存在だった。

(入手したのはつい最近)

本作を聴いたのもほんの数年前で、それから他の作品も揃えていった。

1stは長らく廃盤状態で2003年、限定でジャケット違いのリマスター盤が再発された。
そうとは知らず買っていたのが因果

何れにしろ
エンジェルヴォイスってほどでもないけれど
蒸しタオルを顔に被せられた心地好さを持ち合わせてる


彼女は勿論現役で活躍中だが
その意思は
hannah peel、russian redらが継承してる


ちなみに同じastleyでも日本語表記、
彼女はアストレイ、でリックにするとアストリーなんすね
どーでもいいか



++++++++++++++++++++++++++++++

うつ病患者は世間一般の行事イベントの類いは鬱陶しいものでしかない

最悪のクリスマス、最悪の正月、最悪の節分、最悪のバレンタイン、
と数え上げたらきりがないほど、
全てのイベントは、とにかく“最悪の”が付く。

クリスマスメールはプロバイダーと航空会社だけ。
何を見ても何を聞いても哀しくなる。
家族連れ、親子連れ、カップル。

会社で行く8階のトイレを窓のない方に変える。
踏切で目の前を電車が通り過ぎるのを目をつぶって待っている。
深い哀しみと喪失感にみまわれる。

その頃は音楽さえ聴こうとしなかったし聴くことができなかった。
あんなに好きで当たり前のように聴いてた音楽が。
もう二度と戻ってきやしない。
そしてこの終わることのない暗黒の闇に
ほんの僅かな希望なんてさえもあるわけないと。


検証20 The Monochrome Set「Love Zombies」   miffin

2014-11-26 21:36:24 | 検証
ちょっとひねくれていて
風変わりな音楽が聴きたくなる年頃に
ぴったりマッチしたのよ、モノクロームセット。
バンド名もいいわよね。
白黒テレビのことだって。

1.タイトルについて
愛欲ゾンビと勝手に呼んでいましたが
そういう意味じゃないですよね。

2、アートワーク
しばらくは何か具体的なものが描かれているようには見えず。
数ヶ月後、ふと遠目で見たところ
それが横たわる全裸女性のイラストであることがわかりました。
それで上記の呼び名が付いたのでした。


3.アルバム全体の雰囲気(曲順も含む)
1stから間を置かずにリリースされた2ndである本作は、彼らのアルバムの中でもリピート率No.1でありまして、これさえあればもういいかと言わしめるほどの名作です。

①のイントロドラムでこれからLove Zombies劇場が始まるよ的なつかみから、②の少し哀愁味を帯びたポップソング、③の昔デパートの屋上で流れていたような軽快でチープなインスト、そして④はいわゆる彼らのイメージが「無国籍風」と言われる所以のような代表曲(なぜかタイトルはドイツ語)でレスター・スクエアのひしゃげたギターに酔いしれて、とグイグイと聴き手を引き込ませます。その後、少々中だるみもあるものの、インストを挟みつつ⑥⑦とちょっと陽気な空気も入り、⑨でまた軽快なリズムの哀愁ポップに戻り、⑩電話のベルで余韻を残しつつ終了。
アルバム全体の流れがひとつになっていて、コンセプトアルバムのような作りなのかなとは思うけれど、歌詞の内容がわからないので、どうとも言えないです。

4.P.Vや当時のライブ映像について
男前は瞬きしません。
http://youtu.be/4ouBnu9AQcU

5.関連商品について
彼らのことを知ったのがちょうど解散間際のことだったので、85年のThe Lost Weekendがギリギリのリアルタイム、もちろんLove Zombiesも後追いでして、これといったレアなグッズは全くありません。

追記
「モノクロームセットはネオアコじゃない~!」
と叫んでいたあの頃・・。

90年代に入って渋谷の人達がネオアコ=オシャレな図式を布教されたので、モノクローム・セットもその筆頭に数えられてしまい、嫌気がさしてしばらくは聴くことすらしたくないような状態でした。本人達に罪はないのに。
90年の初来日も確か行ったはずなのに、何も覚えていないのです。
今更再結成?ふーんなんて思っていたのですね。
こっちの方がタチが悪いということを今になって気づき反省することしきり。いいものはどんな形であれ、多くの人の耳に届いてほしいものです。
それが真のファンというものだろう、といいつつ、釈然としなかったりもするのが、また彼らの個性であり魅力でもあるのですが。

解散、再結成、ビドの病気も乗り越え、今も彼らは現役です。
あんなに美形だったビドもただのインド人のオッサンみたいになったけどね。