
・・・地下室から庭園へ・・・
1.タイトルについて
80年代に「Garden」をタイトルにした作品のうち
・Bruce Woolley And The Camera Club「English Garden」(正確には1979年)
・John Foxx「The Garden」
・Eurythmics「In the Garden」
この3つは自分の中でエレクトロポップの三大庭園と呼んで愛聴してきた。
他の2作はもちろん別の機会に譲るとして
ユーリズミクス
お約束の
前進バンド、THE TOURITSなのだが

(1st)
これが今まで紹介してきたT.F.F.のなんちゃってお気楽モッズバンドとか
御多聞に漏れずモッズっぽくてわかりやすいニューウェーブバンドで
でも
1975年からのキャリア積んでただけに仕上がり方が段違いなので
既にシングルヒットを連発しTOPには出演するわ
勿論日本盤も出し、

(2nd)
え? もしかして来日とかしてない??

(3rd)
しかしこの帯
るんるんるん
って、、、
しかも音符に挟まれとる
タイトルと邦題、コピーがこれほど乖離したケースも珍しい
でもRCAに移籍したこれを最後に解散しちゃうんだよねー
これ以上脱線すると本線に戻れなくなるんで
遡ること45年前
幼稚園で リトミック(rythmique)という音楽教育があった。
どんな内容だったかは覚えてないけど
まさかユーリズミックスとして再会するとは思ってもみなかった
大学の時、ドイツ語専攻の奴は、オイリトミクスと呼んでたっけ
そう
ドイツなのだこの作品のポイントは
人脈という側面からこの作品を検証するととても興味深い
THE TOURITSの1stアルバムのプロデューサーでもある
ドイツ電子音楽の重鎮コニー・プランク
この人の磁力で
BLONDIE クレム・バーク(ドラムス)
CAN ホルガー・シューカイ(ホルン)、
ヤキ・リーヴェツァイ(ドラムス)
DAF ロバート・ゴール(ドラムス)
カール・シュトックハウゼンの息子で
トランペット奏者マーカス・シュトックハウゼンが
Your Time Will Comeのブラスセクションに参加
随所でひきつけを起こすようなCANっぽいギターや
執拗な反復ビートだったり
はたまたNYパンクだったり
2.アートワーク
ジャケットの秀逸さは三大庭園共通で
本作品は
Rocking Russianの仕事、納得。
3.アルバム全体の雰囲気について
A-1.
耳鳴りのように
もしくは虫の羽音のような
絶え間ない鈴の音
途中にふっと別の場所に移動してしまうのは
アモンデュールの1stの手法で
A-2.はブロンディーを彷彿とさせるニューヨークパンクの荒削りなサウンド
とは言えメインラインはP.i.L.の「Public Image」まんなのだけど
徐々に高揚していき
絶頂でホルガ―のホルンが鳴り渡るとき
得も言えぬ感情にみまわれる
早くもここで最初の絶頂を迎える
A-3.Take Me to Your Heart
うって変って重く沈んだビートの反復
まさにJohn FoxxやGary Newmanなどのエレクトロサウンド全開
A-4.は後の「There Must be an Angel」に通じる
スケール大きなナンバー
タイトルの in the gardenが詞に織り込まれている
A-5.Your Time will Come
この曲がメイントラックといえる
ここで2度目の昇天を迎えA面が終わる。
B-1.もプリミティヴでよろしい。
なんたってCaveman Headゆうぐらいだから
再びNYパンク
そのままブロンディがやってもさまになる
ハードで疾走感溢れるギターサウンド
B-2.
重く鉛のようなビートの反復
ここでのホルンは控え目
世が世ならニューロマンティックのカテに入れられてしまう
B面は淡々としたナンバーが多いけど
決して冗長ではない
ラストのRevengeは、その5年後を予言するようなタイトルになった。
ここで終わる。
出世作にして世界中で売れまくった2ndは正直聴き通すのがしんどい。
3.関連作品、PV、ライブなど
2005年にリマスター再発されたCDに収録の
ボーナストラックのライブテイクは
2ndに収録シングル「This is My House」の12インチ

B面に33回転で4曲収録されたうちの3曲。
このライブテイクのクオリティは高く
初来日公演でも奏ってくれた曲もあり
とても気に入ってる。

何で1stのボーナスなんだろうか疑問だけど
その割に「This is My House」の7インチのB面が
2ndのボーナスになってる
ま、そもそも2ndに収録されてるシングルなのだから
で、
これ
このジャケはないだろ

一瞬、死化粧かと思いきや
ガーゴイルとかいう化け物とかの置物(教会や建物にあるシーサー的な)
を模したらしい。
白目むいてんだから
椎名ぴかりんもびっくりだよ

PVはボウイのAshes to Ashesを彷彿とさせ
アニーはボウィを意識してると思わせる表情
ビーチを歩く様子に至ってはパクリに近い
お茶の間に流れんよなこいつは
アニーは本当にボウィになりたかったのだろう

(アルバムのビジュアルより)
この作品で2015年の検証を締めくくることができるのは感慨深く
何故なら
いつどこでも音楽をこの公園に持ち寄ることができる
鬱の症状が酷かった時は物音ひとつ聞くのも嫌で
まして音楽なんて聴く気になれなかったし
周りに自分の音楽すら無かった
ずっと耳鳴りのように頭が疼き
起き上がることもままならず耐えるしかなかった
音楽を聴くことなんて二度とないと思ってた真夏の日々