
原宏一さんの本、もう1冊読みました。
「床下仙人」、「てんぷら社員」「戦争管理組合」「派遣社長」「シューシャイン・ギャング」の5話が収録。
◆ 床下仙人
「家の中に変な男が棲んでいるのよ」妻の訴えを、おれは一笑に付した。念願のマイホームに入居して二カ月、そんなバカなことがあってたまるか!長距離通勤で疲れているおれをからかわんでくれ!だが出張から帰宅したある日、おれは我が目を疑った。リビングで、妻と子が得体の知らない長髪、髭面の男と談笑しているではないか。いったい、誰なんだ、この“仙人”みたいな野郎は!? (内容紹介より)
この話を読んですぐ、フジTVが今年の春の“世にも奇妙な物語”で放送した、『ボランティア降臨』を思い出した。
大竹しのぶが「ボランティアです」と言い、高島礼子の家庭に入り込む話。
調べてみたら、やはり原宏一の脚本/原作になっていた。
視聴者向けにして、あちらは主婦にして、本のほうは夫。
どちらも後味の悪い話だけど、実際、主婦業を軽視している夫や、夫の仕事上の苦労を理解しない妻には有り得るという意味で怖い話なのかもしれない。
◆ てんぷら社員
午前2時、翌朝までにしあげなければならない報告書を作成中、隣の田所さんが席をたった拍子にパソコンのコードに足を引っかけ電源が落ちてしまった。
バックアップしてなかったため、最初からの作業となるが翌朝までには到底無理。
すると頭を下げていた田所さんが「わたしがなんとかしますよ」と言う。
残り時間は7時間、なにを言うのかと気を取り直して再び作成にとりかかった。
すると田所さんは「私を信じてください。悪いようにはしませんから」と念押しするように言った。
ハチの一刺し的な話で、なかなか面白かったです。
でも、私の中の正義と照らすと、決して良い話とは言えないかなー。
◆ 戦争管理組合
NYでの仕事を終えてマンションに戻った篠原は玄関ホールに入ったところで女に猟銃を突きつけられる。
マンションの住人である証拠に管理組合の組合員証を出すよう言われるが、そんなものがあったかどうかわからない。パスポートなら持っていると尻ポケットに手を伸ばした瞬間、銃声が…。
男社会が嫌だという、働く女性が一度は思うであろうことを題材にしてるとはいえ、こんな行動に出る女性は市民運動にかぶれた思想家ぐらいなんじゃなかろうか。
もっと女性の不満を正面から描いてくれたら共感もできたと思うけれど、それでは女性を軽んじている浅はかな男性の目線を描けないのかもしれない。
そういう意味で中途半端だと思う。
◆ 派遣社長
「社長をひとり置いてみませんか」
派遣会社の営業マンは、派遣社員が正社員を使う立場に立つという逆転の発想だという。
『一ヶ月お試し社長キャンペーン』を無料で実施中だということで、頼んでみることになった。
派遣されてきた社長のモットーは『墓場に行くまでお客様本位』。
仕事のやり方が変わり、受け入れられない社員は次々と辞めていく。
仕事というものをどう捉えるかによって、おのずと結果がみちびかれるというお話かなぁ。
自分の中にある仕事への思いは基盤となる組織のありかたによって具現化出来るかどうかが決まる。
優秀な人材が派遣社員となっていくことの功罪を問うた話でもあり、正社員であっても求めるべき質が落ちれば限界が来る。
人と人とのつながりを大切にし、透明性の高い経営で、誠意をもって仕事の質の向上を目指せる環境。
そんな夢のような職場にするよう、誰もが努力していけたら、というのは無理なのでしょうか。
◆ シューシャイン・ギャング
リストラされた50男のシマザキは、渋谷駅前の交差点で突然誰かが足元にしゃがみ込んだかと思ったら靴を磨かれた。
あわてて逃げようとしたが右足を押さえ込んで放さない。
左足で蹴り上げようとしたとき、その誰かが顔をあげ「いいでしょ?」とにっこり笑った。
靴を磨き終えると千円要求されたが、もう小銭しか残っていない。
2人でベンチに座って話をするうち、靴磨きのボディガードをすることになった。
女の子の名前はナツミ。シマザキとナツミは一緒に靴磨きをするうちに親子のような関係になっていく。
決して誉められた仕事ではないけれど、二人が心を通わせていく過程が良かったです。
いつしかシマザキとナツミを応援してました。
「床下仙人」、「てんぷら社員」「戦争管理組合」「派遣社長」「シューシャイン・ギャング」の5話が収録。
◆ 床下仙人
「家の中に変な男が棲んでいるのよ」妻の訴えを、おれは一笑に付した。念願のマイホームに入居して二カ月、そんなバカなことがあってたまるか!長距離通勤で疲れているおれをからかわんでくれ!だが出張から帰宅したある日、おれは我が目を疑った。リビングで、妻と子が得体の知らない長髪、髭面の男と談笑しているではないか。いったい、誰なんだ、この“仙人”みたいな野郎は!? (内容紹介より)
この話を読んですぐ、フジTVが今年の春の“世にも奇妙な物語”で放送した、『ボランティア降臨』を思い出した。
大竹しのぶが「ボランティアです」と言い、高島礼子の家庭に入り込む話。
調べてみたら、やはり原宏一の脚本/原作になっていた。
視聴者向けにして、あちらは主婦にして、本のほうは夫。
どちらも後味の悪い話だけど、実際、主婦業を軽視している夫や、夫の仕事上の苦労を理解しない妻には有り得るという意味で怖い話なのかもしれない。
◆ てんぷら社員
午前2時、翌朝までにしあげなければならない報告書を作成中、隣の田所さんが席をたった拍子にパソコンのコードに足を引っかけ電源が落ちてしまった。
バックアップしてなかったため、最初からの作業となるが翌朝までには到底無理。
すると頭を下げていた田所さんが「わたしがなんとかしますよ」と言う。
残り時間は7時間、なにを言うのかと気を取り直して再び作成にとりかかった。
すると田所さんは「私を信じてください。悪いようにはしませんから」と念押しするように言った。
ハチの一刺し的な話で、なかなか面白かったです。
でも、私の中の正義と照らすと、決して良い話とは言えないかなー。
◆ 戦争管理組合
NYでの仕事を終えてマンションに戻った篠原は玄関ホールに入ったところで女に猟銃を突きつけられる。
マンションの住人である証拠に管理組合の組合員証を出すよう言われるが、そんなものがあったかどうかわからない。パスポートなら持っていると尻ポケットに手を伸ばした瞬間、銃声が…。
男社会が嫌だという、働く女性が一度は思うであろうことを題材にしてるとはいえ、こんな行動に出る女性は市民運動にかぶれた思想家ぐらいなんじゃなかろうか。
もっと女性の不満を正面から描いてくれたら共感もできたと思うけれど、それでは女性を軽んじている浅はかな男性の目線を描けないのかもしれない。
そういう意味で中途半端だと思う。
◆ 派遣社長
「社長をひとり置いてみませんか」
派遣会社の営業マンは、派遣社員が正社員を使う立場に立つという逆転の発想だという。
『一ヶ月お試し社長キャンペーン』を無料で実施中だということで、頼んでみることになった。
派遣されてきた社長のモットーは『墓場に行くまでお客様本位』。
仕事のやり方が変わり、受け入れられない社員は次々と辞めていく。
仕事というものをどう捉えるかによって、おのずと結果がみちびかれるというお話かなぁ。
自分の中にある仕事への思いは基盤となる組織のありかたによって具現化出来るかどうかが決まる。
優秀な人材が派遣社員となっていくことの功罪を問うた話でもあり、正社員であっても求めるべき質が落ちれば限界が来る。
人と人とのつながりを大切にし、透明性の高い経営で、誠意をもって仕事の質の向上を目指せる環境。
そんな夢のような職場にするよう、誰もが努力していけたら、というのは無理なのでしょうか。
◆ シューシャイン・ギャング
リストラされた50男のシマザキは、渋谷駅前の交差点で突然誰かが足元にしゃがみ込んだかと思ったら靴を磨かれた。
あわてて逃げようとしたが右足を押さえ込んで放さない。
左足で蹴り上げようとしたとき、その誰かが顔をあげ「いいでしょ?」とにっこり笑った。
靴を磨き終えると千円要求されたが、もう小銭しか残っていない。
2人でベンチに座って話をするうち、靴磨きのボディガードをすることになった。
女の子の名前はナツミ。シマザキとナツミは一緒に靴磨きをするうちに親子のような関係になっていく。
決して誉められた仕事ではないけれど、二人が心を通わせていく過程が良かったです。
いつしかシマザキとナツミを応援してました。
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