MIRO ITO発メディア=アート+メッセージ "The Medium is the message"

写真・映像作家、著述家、本物の日本遺産イニシアティブ+メディアアートリーグ代表。日本の1400年の精神文化を世界発信

空、そして永遠の祈り

2007-08-20 19:33:05 | Weblog
空、そして永遠の祈り

8月15日の「終戦記念日」の空は、これまでに見た空の中でも最も美しい空のひとつでした。
東の上空に広がる竜巻雲が、地平線の彼方へと沈みゆく寸前の残り陽を浴びて赤く染まり、この世のものとは思えないほど怪しく、畏怖を感じさせるほどの美しい神秘の光を放っていました。

かつてNYで911を体験した時、その前日の東京の夕陽がいかに美しかったか、後になって知人から写真を見せてもらったことがありますが、その異様なまでに鮮やかな赤紫色の雲が、いまでも目に焼き付いています。
8月15日も、その翌朝に地震があったことで、「あれは地震雲だったかもしれない」と一瞬思ったほどです。神戸の震災の前にも「地震雲」が見えた、という話もあったそうです。

さて、空は実際、畏怖を感じさせる以上のものです。
私自身、911以降は、世界に祈りを捧げるプロジェクトとして、日本の伝統と前衛を繋ぐ「奉納の身体」「祈りの身体」という展覧会プロジェクト(※)をスタートさせましたが、空を見ていると、人智を超えた大いなる存在への祈りの原点に立ち戻れる気がします。

鈴木大拙禅匠の「禅は生命そのものであるから、生命の構造をなすものすべてを含んでいる。すなわち、禅は詩である、哲学である、道徳である。生命の活動のあるところ、どこにでも禅がある」(『禅』鈴木大拙著/工藤澄子訳、ちくま文庫より)のことばを思い出します。

以前のブログでも、禅は空(くう)を目指す、と記しましたが、空(そら)こそまさに禅そのものかもしれません。
そして空は詩であり、哲学であり、生命活動のあるところ、どこにでも空があり、空はどこまでも「永遠の祈り」なのです。

過去、現在、そして未来のすべての「終戦」に祈りを捧げて

伊藤美露
text and photo by miro ito, all rights reserved.
Sky over kamiuma,2007.8.15


※「祈りの身体」をテーマにした個展(能から舞踏へ)は、'07年10月15日~'08年1月5日まで、NY公立パフォーミングアーツ図書館(NY Public Library for Performing Arts)で開催予定です。詳細はまたブログでも掲載します。

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 著:伊藤美露 定価 : 2,079円 B5判/160P/オールカラー    
 ISBN978-4-8443-5921-0
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