居酒屋にて一人飯

どうやら私は大層話し掛け易い
顔付きらしい。

月一ペースで、嫁は子供達を連れて、
金曜夜から泊りがけで実家へ
遊びに帰る。

仕事から帰ると当然誰もいない。
俺一人ぼっち。俺フリーダム♪

そんな訳で、
自宅でビールを飲みつつ、
好き勝手に飯を喰うのだが、
面倒な時は居酒屋飯に限る。
準備も片付けも店任せ、
ビールも飲める。最高だ♪

ナルホドナルホド。
同じ様な境遇の人が沢山いる
色んな一人客がカウンターに
陣取っている。

一人でボックス席は気が引けるので、
私もカウンターに混ぜてもらう。
なんだか[吉田類の酒場放浪記]な気分

正直、せめて晩飯を食べ終える迄、
私を放って置いて欲しいのだが、
余程、寂しそうに見えるのだろう。
『兄ちゃん、どうした？一人か？
　寂しいなオィ。』
とばかりに声が掛かる。

若ハゲに悩み抜いた挙句、
思い切ってスキンヘッドにした友人
なら、きっとそうはいかない。

『なんか隣にヤバイのが来た。
　マズイマズイ!!』
と、話し掛けられもしないだろう。
いっそ私も剃り上げてみようか。



概ね、居酒屋で私に話し掛けてくる
一人客は3種類。
・他人の出身地と職種が気になる
　単身赴任・出張中のおじさん
・自分のヤンチャ振りを
　アピールしたいチンピラ風な
　オッサン
・何でも良いから他人に絡みたい
　常連客っぽい爺さん

一括りにするとオッサンだ。
お姉さんに話し掛けられるのなら
ワクワク楽しい会話が期待出来るのだが
此処は居酒屋。致し方ない。

酔いも手伝って、出店予定地とか
『そんな話を私にして良いの？
　同業者だったら大変だぜ？』
って話をし始めたり、
面倒臭い武勇伝を聞かされたり、
他人の目が気になる様なエロ話を
し始めたり…。

コツは、聞きに注力する事と
面倒だから仲良くなり過ぎない事。
グイグイ来る人には近づかない。


ここで１つエピソードを紹介…。
どれにしようかな♪

単身赴任サンの話は情報漏洩がキワドイので、3年位前のネタだけど、ヤンチャオッサンの話をしようか。

オッサン、居酒屋に車で来たらしく
カウンターに鍵が出しっぱなし。
トイレに行くにもそのまんま。
『トイレの隙に車盗まれちゃうよ？』
と言うと、子分的存在が乗ってるから
大丈夫との事。

…可哀想な子分さん。。
楽しくオッサンと一緒に飲んで
代行で帰れば良いのに。。


鍵つながりなのか、
オッサンは急に愛車自慢を始めます。
愛車はセルシオだそうな。
見栄を張るために買ったらしい。

好きで乗ってるなら解るけど、
見栄って…
『いい加減に型遅れだし、見栄張るには
　役不足だろ？』
と言うと、考えが甘いらしい。

確かに既に車としての価値は低い。
実際、見栄も張れない。
しかし、車として悪なイメージが有り
『降りてきたアイツは、
　なんだかヤバそうだぞ…。』
と、何もしなくても相手の腰が引けるのだそうな。。

…そうかなぁ？普通の乗用車ですよ？
身近な管理職が乗っている事もあって
中間管理職なイメージ
車云々よりも、個人的には降りてきた人が武闘派体型の方が怖いですよ


まぁ、オッサンの持論なので、大人しく聞いてあげます。
きっと、オッサンみたいな人種には違うのでしょうね。

『成程。BMW乗ってると
　仕事が出来そうに見えんのと
　同じかな？』
と、波長を合わせてみると
『そんなイメージは無ぇケド、

　まぁそういう事だ』
と、初めてニヒルな笑みを見せてくれました。

ナルホドナルホド、
自身を大きく見せる為、裏で色々工夫が有るのですね。効率的にコトを進める為の知恵なんでしょうか？
…実に興味深いデス

まぁ、でも一般人を相手にしちゃ駄目ですよ。ヤンチャ同士で仲良く張り合って下さいな。