畑で一人ゴソゴソ草引きをしていると、背後の、雑草に落ち葉が重なっている場所で、がさごそと生き物の動く音がした。振り返ると、枯葉がかすかに動いている。目を凝らすと、薄茶色に黒い筋のある、つやっとした細長い生き物が見えた。「シマヘビかな?」と思ったが、ヘビが動いてもそんなにはっきりとした音はしないし、くっきりとした筋が見えるまで成長したヘビほどの太さではなく、もっと細かった。それは、輪を描いて回るように動いていた。「なんだろう?」と思ってよくよく見ると、トカゲの頭が見えた。トカゲだったら、がさごそと動くことがある。ただ、妙に体が長い。トカゲの頭を見ると、もう一匹のトカゲの頭にかみついていた。ケンカでもしているのか、その二匹の争うような動きが、小さなヘビが輪のように動いているように見えたのだった。
二匹はそのまま、止まったり動いたりしながら、雑草の奥へと姿を消した。
恋のライバルなのか、縄張り争いなのか(トカゲに縄張りがあるかどうかは知らないけど)、何やら互いに譲れないものを抱えているように見えた。
人間だけじゃないんだな、譲れないものがある、って