Tシャツとサンダルの候

森の隠れ家で、合鴨と地鶏に舌鼓

紅葉に染まる菊池渓谷を満喫す。

 

車に戻り、おもむろにスマホを取り出し、

「近くでランチ」

と呟く。

見ように依っては、大の大人が随分とマヌケな姿である。

そうは言っても、たちどころに近隣の飲食店が連なるのを見ると、一昔を思えば驚異的と言わざるを得ない。

 

何々、

ほほう、ここ、良さげやぞ。

 

但し、このネットでの飲食店検索、便利なのは間違いないが、評価に至っては、当てにならない場合も多い。

端的に言えば、地元民なら到底選ばない様な店が、上位を占めていたりする。

ではあるが、土地勘のない場所での店選びは、これを参考にするのが手っ取り早いのも確かだ。

外れたら、その日の自分の運勢を、呪えばいいだけの話である。

国道から脇へ入り数キロ。山深き里にナビは案内する。

更に、山手へ細い道を折れ、辿り着いたのがここである。

森の中に佇む、隠れ家と言うべき店《森の味処 なかむら》だ。 

驚くべきことに、すでに10台ほどの車が止まっていた。

 

こんな山奥に、

・・・当りかもしれぬ。

農家の古民家を利用した店のようだ。

軒先には「シイタケあります」の文字。 

その言葉通り、母屋の向こう側では、原木による栽培がなされていた。

肉厚の原木椎茸、美味いんだよなー。 

「ごめんくださーい。予約していた・・・」

 

「こちらの席へどうぞ。」

 

ほほう、いいじゃん。

広間に置かれたテーブルは、ほぼ満席である。

予約しておいて、よかったぜ。 

 

注文したのは、私が合鴨葱焼きとだご汁のセット。

家内は

「んじゃ、違う物のば頼もっと。地鶏炭火焼き定食にしようかな。」

合鴨や地鶏の皿の他に、これだけのものが付いてくる。

 

「せっかくだから、生シイタケも追加で頂戴。」 

「合鴨でーす。鍋に油を敷いてませんので、まずは油代わりに地鶏から焼いて下さい。それから・・・」

次に、焼けにくい葱を乗せ、順に他の野菜を置けと言う。

「鴨はすぐ焼けますから最後にどうぞ。あ、それと椎茸は笠を下にしてから焼いて下さいね。」

 

実に細かい。

指示に従わないと、こっぴどく叱られそうである。

焼き順に従い、鉄鍋に乗せて行く。 

「地鶏はこっちの粗塩で、合鴨はおろしポン酢でお召上がり下さい。」

「あ、はい。」

焼き順の他にも、色々しきたりがあるようだ。 

 

「あ、もう鶏は焼き過ぎですよ。」

 

とっとと食べろと言う。

誠に忙しい。

んじゃ、地鶏を。

 

モグモグ

 

うん、これはいい。

最近の地鶏には、地鶏らしい噛みごたえが無くなってきたとお嘆きの貴兄にピッタリである。

地鶏らしい、旨味とコクも申し分ない。 

椎茸も焼けた。

椎茸の食べ方に関しては、特段の支持も無さそうだ。

ならば、私は断然塩である。

以前、椎茸の専門家に、一番おいしい椎茸の食べ方は、

「塩です!」

と断言されて以来、飛び切りのシイタケの場合は、今でもこの方法だ。

 

コリッコリ

気絶するほど旨いぜ。 

んじゃ、メインイベンター合鴨君に登場願おう。

 

ジュー

 

たちどころに立ち昇る油煙。

ではでは、おろしポン酢で、

 

頂きまーす。

 

ハム

 

 

うーん、

 

マンダム。

 

 

ゴホン

 

・・・わがる人だけわがればいい。

 

 

 

 

この日の我が運勢を祝福したい。

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