大分の友人が、久留米に住む娘に用件があるそうで、こちらにやって来るという。
ついては、お前も暇だろうから、晩飯なんぞを付き合ってやらぬ事も無いぞ。
という、有難い思し召しである。
二つ返事で夜の街に繰り出したのは、言うまでもない。
最初は当然、ここからスタートとなる。
『かけだおれ』である。
絶品のビッシュを楽しむ。
こぼれるスレスレまで焼酎を注ぐのが、ここのオヤジの腕の見せ所である。
だが、焼酎の前割を入れたチロリを持つ手に、いつものキレがない。
「どうした、オヤジ。焼酎の表面張力が足りんじゃん。」
「ゲホゲホ。ガゼビイダガナ(風邪ひいたかな)」
ガラガラ声で言い訳をするオヤジ。
完全に風邪ひいとるやん。
まず、マスクをしなさい。
さてと、腹がくちくなってきた。
モツは腹に溜まるのだ。
友人の娘とも、どこかで合流する手はずであるが、仕事が終わるまで、もう暫くかかるらしい。
これ以上モツも串焼きも、お腹に入らないし、
「んじゃ、場所を変えようか。」
お次は『湖月』
餃子専門店である。
人吉で餃子を食べたばっかりだが、そんなこと構いやしないのだ。
旨し。
ボチボチと餃子を突いていたら、
「こんばんわー。」
仕事を終えた友人の娘が、暖簾をくぐって入ってきた。
おお、お疲れ様。
食いねえ、喰いねえ、餃子食いねえ。
娘のお腹が一段落してきたところで、
「カラオケに行こう。」(友人)
なんでやねん!
よく父娘でカラオケなんぞに行けるな。
と、いいながらも、
マイクを話さない私であった。
お陰で、カラオケボックスは何度も凍り付く事になる。
言っておくが、酔っ払いには、あらゆる非難が無意味である。
それにしても、仲のいい父娘である。
羨ましいので、我が家も今度、娘達が帰省中に、提案してみるつもりだ。
え?
数年、口をきいて貰えなくなる恐れがあるって?
なるほど。
一旦、頭を冷やした方がよさそうだ。
血反吐が出るほど唄ったし、ぼちぼち出ようか。
ん?締めのラーメン?
よし、満州屋の屋台がすぐそこだ。
締めラーだ!
と言いたい所だが、
またもや餃子である。
言った筈だ。
酔っ払いに合理性や整合性などないのだ。
『さっき食ったばかりじゃないか!』と非難しても無駄なのだ。
この後、ちゃんとラーメンも食ってるけどね。
モツに、串焼きに、餃子に、カラオケに、何故かまた餃子に、最後に締めのラーメン。
あー、食った食った、飲んだ飲んだ。