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民法総則②

2005年02月07日 | 民法
二 失踪宣告
1 不在者の生死不明の状態が一定期問続いた場合には、失院宣告をすることによって死亡したものとして扱うことができる(30条、31条)。
  普通失踪=生死不明が7年間続いた場合
  特別失踪(危難失踪)=戦争や事故、その他危難が去った後1年間生死不明の状態が続いた場合
に、利害関係人(失踪宣告を求めるについて法律上の利害関係を有する者)の請求により家庭裁判所が宣告するもの(30条)。
  失踪宣告がなされると、普通失踪の場合には7年の期問満了時に、特別失踪の場合には危難の去った時に死亡したとみなされる(31条)。ただし、失踪宣告は、従来の住所を中心とする法律関係を死亡したものとして扱うものにすぎず、その者が他の場所で生存している場合に、その場所での法律行為までが否定されるわけではない。
2 失踪宣告の取消
  失踪宣告後に真実がそれと具なることが明らかになった場合には、本人または利害関係人は、家庭裁判所に失踪宣告の取消を求めることができる(32条1項本文)。
  取消されると、失踪宣告ははじめに遡ってなかったことになる。
  ただし、死亡したと信じた人の利益が害されるので、その者の利益を保護するため、失踪宣告によって財産を相続したり生命保険金を受け取った者のように、失踪宣告によって直接に財産を得た者は、取消によりその返還義務を負担するが、その返還義務の範囲は、「現ニ利益ヲ受クル限度」(現存利益)に限られる(32条2項)。
  法文は、受益者の善意・悪意を区別していないが、学説は、悪意の場合は、32条2項の適用はなく、704条によって受益の全部を返還すべきであるとするのが通説。
  また、失踪宣告後、取消前に善意をもってした行為は、その効力を妨げられない(32条1項但書)。たとえば、失踪宣告によって失踪者Aの不動産を相続したBが、その不動産を第三者Cに譲渡した場合、善意のCは権利を失わない。ただし、判例(大判昭和13・2・7民集17・59)・通説は、Cの善意のみならず、Bの善意も要求する。
  不動産が善意の相続人Bから善意のCに譲渡され、さらにCから善意の転得者Dに譲渡された場合には、Dは有効に所有権を取得できる(絶対的構成)。
  失踪宣告の結果、残された配偶者が再婚した場合については、通説は、32条1項但書の適用を認め、婚姻の両当事者が善意の場合には後婚のみが残るが、そうでない場合には、前婚が復活し、重婚状態が生ずると解していた。しかし、最近では、32条1項但書の適用はないとして、常に後婚が有効であるとする学説が有力。