goo blog サービス終了のお知らせ 

司  法  試  験

憲法 民法 刑法 商法 民訴 刑訴

第二 構成要件①

2005年01月25日 | 刑法
一 行為(「刑法概説」P14~16)
  刑法上の「行為」は行為者の身体の動静が行為者人格の主体的現実化と認められる場合

二 構成要件の諸形態(「刑法概説」P17~21)
1 結果犯、単純行為犯
2 侵害犯、危険犯、形式犯
3 即成犯、状態犯、継続犯
  ・不可罰的事後行為
4 身分犯、非身分犯
  ・真正身分犯、不真正身分犯
  ・共犯と身分
5 故意犯、過失犯、結果的加重犯
6 結合犯

※ 構成要件に故意・過失は含まれるか
 →構成要件の機能による
  ①故意規制機能(故意の対象を画する機能)
  ②犯罪個別化機能(各犯罪類型を個別化する機能)

  ①のみを構成要件に要求する→故意・過失は構成要件要素ではない
  ②も構成要件に要求する→故意・過失は構成要件要素でもあることになる(構成要件的故意・過失と責任故意・過失を概念におく)
  これは、考え方の違いにすぎないので、概念として理解すれば十分である。

※ 結果的加重犯
1 定義
  ある故意犯の構成要件の実現行為(A)から、更に一定の結果(B)を生じることによって責任が加重され、これを特別の構成要件とするもの(C)。

2 例
   A(基本となる犯罪)  B(結果) C(結果的加重犯)
 (1) 傷害罪(204条)  → 死亡 → 傷害致死罪(205条)
 (2) 遺棄罪(217条)  →死亡・傷害→ 遺棄致死傷罪(219条)
 (3) 逮捕監禁罪(220条)→死亡・傷害→ 逮捕監禁致死傷罪(221条)
 (4) 強盗罪(236条) →死亡・傷害→ 強盗致死傷罪(240条)
   ※240条については、傷害、殺人の故意がある場合も含まれることに注意(罪名は強盗傷人罪、強盗殺人罪となる)。この場合は、結果的加重犯とは呼ばない。

3 成立要件
 (1) 発生した結果についての故意→不要(故意があれば重い結果についての故意犯が成立するから当然)
 (2) 行為と重い結果との間の因果関係→必要(争いなし)
 (3) 重い結果に対する過失
  ①判例→不要
   結果的加重犯は、その基本となる犯罪の中に、既に重い結果を発生させる定型的な危険性を含んでいるがゆえに規定された犯罪である。したがって、基本となる犯罪から当然予想されるその射程範囲内の波及効が生じたものと認められる限りは、重い結果を生じたことについて行為者の責任に帰せしめうることは当然。
  ②学説→責任主義の観点から必要説とするも有力

4 結果的加重犯と共犯
  実行行為者に対して結果的加重犯の基本となる犯罪を教唆した者は、実行行為者が結果的加重犯を犯した場合、いかなる罪責を負うか。
例:乙は、甲に強盗を教唆したところ、甲は強盗の際に、被害者Aに傷害を負わせた。甲、乙の罪責はどうか。
 答:甲→強盗致傷罪
   乙→強盗致傷罪の教唆犯
 理由:結果的加重犯はその基本となる犯罪の中に既に重い結果を発生させる定型的な危険を含んでいることから規定された犯罪類型である。それゆえ、重い結果について因果関係がある限り、重い結果についても責任を負う。これは教唆犯についても同様に当てはまる。すなわち、基本となる犯罪を教唆した者は、その中に含まれる「重い結果を発生させる定型的危険」を教唆したものほかならないから、重い結果についても、因果関係がある限り、教唆犯としての責任を負うことになる。