筋肉白昼夢。

　鏡に向かう。顔を描く。一般語で言うところの化粧というやつだ。化粧の「化」は「化ける」の意。恐ろしい事である。眉毛に集中。眉毛を失敗してしまったら、ものすごい情けなぁ～い顔になったり、怒ってんの？という顔になったりする。ここは失敗は許されないのだ。すごい集中力で毎朝挑む。仕事に活かせ、そのちから。眉毛に集中しているスキに、ほんの１ｃｍほどずれた額付近に一瞬違和感を感じる。なんと蚊が止まっているではないか。足にたかるならまだしも、じっと見つめる顔に堂々と。発見に驚くのと同時に顔を動かしたために逃げられる。ムカツクぅ～っ！でも、「われ、なにさらしとんじゃい！」とは言いません。お育ちがよろしいので、せいぜい「まぁ、飢えていらしたのですか？」と問うまでのことである。蚊というのは肌に着地した瞬間に刺すらしい。ほんの一瞬しか許していないのに数分後にはかゆい。でもかかない。悔しいから、刺されていない事にして我慢しまくった。くっそ～、絶対かいたれへんぞ。
　自転車に乗り出して3年。やっとわかった。速く走ったら疲れます。当たり前やないか！と思われるかもしれないし、中には、へぇ～そうなの？とおっとりした方もおられるかもしれない。なんでわざわざそんな事を言い出すかと言うと、この3日間で実感したのだ。一昨日と昨日、自分の限界と思える速さで必死について行った。結果、今日はかなり疲れている。さかのぼるなら昨日はもっと疲れていた。家事をする足もガクガクだった。
　思えば、今までが甘かったのだ。150km走ってもけっこう元気でいられたのは、追い込みが足らんかった！はぁ～、言うてもたぁ。こんな事発表してしまうと、「私、これからガンガン追い込みます！」と宣言したのと勘違いされるど。決してそう言うわけではなく、「わかった」と言うだけですので、ごめんなさい。いえ、決してそーゆーつもりは・・・。きゃぁ～たすけてぇ～。もう言いません～。
　このような状態も、「自分で自分を追い込んでいる。」と言えなくもない。
　そして今日は筋肉痛はないものの、筋肉疲労が残っている。軽くリカバリーのつもりで行くようにアドバイスをもらい、ゆっくりと走り出す。25km/h前後で走る。なぁ～んだ、全然平気じゃん！と思っていたが、上りに入るといつもよりしんどい。うわ～、疲れの実感！軽いギアでゆっくり上る。うわ～、太ももが、スネ肉が、ハムストが！ロースが！カルビが！いろんなところにきてます。
　しかぁ～し！こうして痛めつけられた筋肉は一時甘やかされて、そして育つのだ。ふっふっふ。育つのだ。わ～っはっはっは。そうだ、育つのだ、育て、育て。なぁ～っはっはっは。ビリッ、バリバリッ！モリモリモリーっ！！うわ～、筋肉がぁ～、きゃぁ～～、緑の肌がぁ～～！ハ、ハ、ハルク、超人ハルク！

ぇえ～っと、20km走って。累計552km。