『我が偽りの名の下へ集え、星々』紹介ブログ

カクヨム掲載中、ファミ通文庫より発売予定のライトノベル『我が偽り名の下へ集え、星々』の紹介ブログです。

ウーラント軍

2017-04-21 | 設定:社会
正式には「銀河共同体ウーラント星域方面軍」。
元を正せば2415年に発足した銀河共同体の条約内容に反対した勢力である。
軍を中心とする公的機関の大幅な整理削減に反対する一派がアントワープ星域に立てこもり武装蜂起。皮肉な事にその一件が銀河共同体の常備軍「統合宇宙軍(GCJSF)」の発足を急がせることになった。出来たばかりの統合宇宙軍に排除された反対派は、銀河共同体中央星域に繋がるリープストリーム「アドニス回廊」を占拠するも、再び統合宇宙軍に敗れ去り、辺境ウーラント星域へ逃亡した。ウーラント星域はリープストリームによる連絡が悪い事も有り、共同体政府はそれ以上追撃する事無く、反対派もそこを拠点とする事になった。その後、内部闘争や離合集散を繰り返しながら2610年頃に「銀河共同体ウーラント星域方面軍」を自称するようになる。
ユニークなのは彼らを排斥した銀河共同体の「正規軍」を名乗った事である。彼らが反対していたのは条約内容とそれに伴う公的機関の大幅な整理削減であり、銀河共同体そのものには反対していない。むしろ統合宇宙軍こそ非合法の軍事組織であるというのが、ウーラント軍の主張である。
アレッサンドラ女帝の帝制宣言に対して書簡を送ったウーラント軍は、汎銀河帝国体制を承認する見返りに、ウーラント軍を帝国の正規軍と見なすように求めたが、帝国側はこれを拒絶。以来、ウーラント軍は皇帝や王朝の代替わりに際して、帝国領への侵攻を繰り返すことになる。
「選帝侯戦争」の時には、ボーダー男爵を介してチェーザレ八世と称したアルトゥール・バイロンの後ろ盾となり、フリードリッヒ帝の時代には名将サクサワベ将軍の指揮でエイペックス作戦を敢行。帝国首都まで間近に迫るなど、たびたび汎銀河帝国に干渉してきた。しかしグレゴール帝による三年半に渡る長期遠征「オデッセウス作戦」によりウーラント軍は事実上壊滅。司令部は逃走、敗残兵は帝国領内にも潜んでいるが、組織だった行動は出来なくなっている。

社会体制としては全体主義軍事国家で、幼児から老人まで市民全てに軍の階級が与えられている国民皆兵国家である。しかしそれ故に組織の硬直化を招き、エイペックス作戦の際にはまだ勝敗が決していないにも拘わらず、些細なミスを理由にサクサワベ将軍を軍法会議に掛けて銃殺するなど、結果的に人材の枯渇を招くことになり、「オデッセウス作戦」の頃には、すでに自壊していたも同然だったという。