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ひまわりの名前

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11月の観劇 「ブロッケンの妖怪」「パッション」

2015-12-07 11:06:12 | 日記
11月の観劇は、素晴らしく充実していたと思います。
見た順ではなく、ランダムに少しづつ感想を書き留めておきたいと思います。

「ブロッケンの妖怪」シアタークリエ。

勇輔くんの2回目のストプレであり、初めてのコメディ作品です。
当初は、7回観劇の予定でしたが、体調不良で6回になってしまいました。
その1回を娘に行ってもらい、その後、いろいろ意見や感想を交換したことで、このお芝居に対する理解が深まったように思います。
娘の感想は、しばしば私とは違った角度から語られることが多く目からウロコ的なことがよくあります。

作品としては、コメディになるかもしれないのですが、少しミステリー仕立てで謎めいた展開のお芝居で、とても楽しめました。
さすがの方々の演技で、かなり笑えます。
まだ地方公演中なので、細かいネタバレはしませんが、一言で言っちゃえばパラレルワールドものなわけです。
ひとりの人間の人生における選択がもうひとつの世界を生み出し、たまにそのふたつの世界が交わることでお互いに均衡を保ってきたという話。
ところが4年前にある事件が起きて、そのバランスが崩れてしまい、、。
かなりSF的というか、オカルト的な筋書きとなっています。
劇の中では、それは「事実」として、今起こっていることとして描かれているわけですが、、。

そもそもタイトルの「ブロッケンの妖怪」とは自分の影が太陽光を受けて霧に投影されたものだそうです。
つまり科学的に説明されているわけです。
でも長年、不思議な出来事として人々に恐れられたり、崇められたりしてきました。
妖怪は、実は自分なのに、、。
そんなことを思いながらこの劇を見ていると、ふっと思ったのです。


これって、私も心の中でたまにやってるなぁ、、と、、。
つまり、「あの時、ああしていたら、、」と想像し、想像した世界にしばし浸り、その後現実に戻ってくる。
そして、少しの胸の痛みと共に「ま、これで良かったんだよね」と微笑む。
日常的にはやらないけれど、1年に一回くらいはそんなひと時を持ってみる。
空想の中でのもうひとりの自分との遭遇です。
パンフレットの中で、高橋さんが「善から悪まであらゆる要素を人間は元から持っている」とおっしゃってました。素晴らしい、、。
この言葉こそが、このお芝居の肝かもなぁ、、。

勇輔くんの演技、大満足でした。
舞台上での動きの自然さ、滑舌の良さ、存在感、すべてにおいて良かったです。
何より、彼の二役は、まったくの別人ではなくひとりの人の二面性という感じがして、この作品にとても合っていた気がします。
そういう作品への寄り添い方のようなものが、彼の進化を実感させてくれました。
そしてどちらのキャラクターも魅力的でした!

あと、もう一点。
サマヨさんとの関係性がとても良く演じられていたと思います。
どちらのキャラクターも、違う世界のサマヨさんに惹かれていたことが汲み取れる演技でした。
特に小悪魔なサマヨさんの引力に、必死に抗う様子がかわいそうなくらいでした。
ファンとしては、いろいろ萌えるシーンもあり、ストプレとは言え踊る(?)シーンもあり、とても美味しい舞台でした。

パッション 11月4日 新国立劇場中ホール

見る前は、賛否両論、どちらかというと否のほうが多かったこの舞台。
私は、ものすごく感動しました。
とは言え、一部が終わった時点では、少々イライラしていたのは事実です。
役者さんたちの素晴らしい歌と演技が無かったら、もっとストレスを感じたことと思います。
やはりこの舞台を芸術的なものにしたのは、役者さんたちの力量あってこそです。

ザクっと言えば、恋人同士だったふたりから、男性(ジョルジオ)のほうをストーカー的に付きまとった病弱な女性(フォスカ)が奪う話かなぁ。
それだけだとあまりにも酷いと言うか、気分の悪すぎる話ですよね。

でもあそこまで極端ではないけれど、不幸な女性に弱いのは男性の常なのかなぁ、、。
今、wowowで視聴中の「アフェアー」も主人公の男が浮気相手になる女性のことをこう言ってました。
「彼女は世界一不幸な女性に見えた」って。

ただ、フォスカという女性は、そういう「不幸そう」な女性がしばしば隠し持つ「あざとさ」みたいなのは希薄です。
それどころか、後半になるにつれ、だんだん可愛いめさえ感じてきてしまう。
なぜならフォスカには押したり引いたりみたいな駆け引きが出来ない。
「フォスカとジョルジオ」なんて名前だけでうっとりしてしまうウブさがある。
人間だし、大人だから、無垢な魂とまでは言いたくないけど、あまりにも無防備。
そして結局のところ、崇拝される者はいつしか崇拝する人を必要としてしまうのかも。

流れ的に重要だったのは、恋人同士とは言え女性(クララ)には夫や子どもがいたという点かもしれません。
ジョルジオにとっても、フォスカに落ちる決め手となったのはクララが家族と別れて自分と一緒になってくれなかったことなので、、。
でも本来的には、それってあまり決め手になってほしくないのですけどね。
なぜなら主婦だったら、誰だって家族は大事ですから。
でもそれでもジョルジオを愛していたんだと思います。
家族と別れられないからと言って、それが純粋な恋ではないとは思えないんですけど。

決闘のあとに、ジョルジオがヒステリーの発作を起こして倒れるのですが、まさにそれはフォスカと同じ発作でした。
声の出し方とかもそっくりで、本当に井上さんてすごいと思いました。
その瞬間に、私の中ではこの物語がストンと落ちたというか、、。
ジョルジオとフォスカは、やはりメロディー同士だったんだなぁと思った、というか、判ったんですよね。
だからジョルジオはフォスカに惹かれてしまったし、クララでは重なり合うことが出来なかったんだろうなぁ、、と。
そんなことを今でもいろいろ考えています。
本当にいつまでも余韻の残る作品でした。
そして何より質が素晴らしく高かったです。





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