///// サンドイッチ
北国地方より列車にて京都本願寺へ、お参りに向かう
田舎者が二人、いたと思し召せ。途中、米沢駅で列車が
停止した際、隣で窓から外へ声を上げるものがいた。
あまりに焦っている様子に、二人はいぶかしんでいた。
「おーい、サンドイッチ、サンドイッチ・・・」
と、買い求める客を、不思議に眺めていたのである。
やがて一人が、思い切ったかのように、
「やっぱり弁当かの?」
と、聞いた。すると相手は、
「そりゃあそうだろ、三度に一度の弁当じゃで・・・・・・」
と答え、互いに目を合わせ、納得したのである。
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時は明治か大正か、”サンドウヰッチ”と書いた頃の話。
まあ、今でも同じような話はある。世は移ろいながらも、
人の頭の中は、それほど変わらないのかも。
(第二話了)