これは98年にハードカバーで出された書籍の文庫版。日本を代表する経営者のお一人である稲盛氏(私がこのように語ることすら恐縮です)がつくり上げてきた、京セラ創業時からの経営哲学と管理システムがひじょうに親しみやすく語られている。通勤電車で読みきるのにおすすめ。
よく知られている「アメーバ経営」の全貌は、著者が2006年に同社から刊行しているのでそちらも具体策考案に役立つ一冊。本書はその集大成に至るエッセンスの部分を抽出している。『実学』が書かれたかれた98年頃は、日本経済はまだ混迷の中にあったが、どのような時代にあっても、人間としての倫理観にてらしての判断と、一貫した経営哲学と管理システムを機能させてきたことがわかる。技術者からスタートされた稲盛氏が会計を習得するために行った経理担当者との問答や、「キャッシュベースの経営」「一対一対応の原則」に至った経緯、管理会計報告としての「時間当り採算」の考え方など、経営が専門ではない人が経営方法と経営センスを獲得するのにひじょうに役立つ。ただし、経営者自らの入魂がなくては機能しない。ここが経営の最も難しく面白いところなのだろう。
最終章の盛和塾での経営問答も参考になる。
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