昨日は郊外の古民家に行く機会を得ました。思いがけず江戸時代の雛飾りがあり、古民家の黒光りしたマツの床やたたずまいにさらに風格を与えていました。少し雪が残る景色の中で、しばしうっとりした時間を過ごしました。
一人ひとり顔が違い、眺めていると心と心で話ができてしまうような、そんな幻想を抱いてしまいます。丹精込めてつくられた人形というのは、やはり魂が宿っていると実感する瞬間でもあります。
この時期は、各地でさまざまなひな祭り行事がありますが、その地の歴史を映し出していることは、主に雛飾りの衣装や、ひな壇に飾られる登場人物によって知ることができます。地域によっては、浮世絵、歌舞伎なども。
それがよくわかる雛飾りの一つが山形の庄内地方に伝わっています。
「庄内ひな街道」として知られ、主に酒田市や鶴岡市の各所で見られる雅な京都から渡ってきた京雛、江戸の古今雛、大名家の有職雛、などなど。
私もすべて見ていませんが、機会を作って見に行く価値が、確かにあります。
庄内地方がかつて「北前船」の重要な拠点、交易都市として発展した地だったことがよくわかります。
ところで、昔の職人さんの繊細な仕事とその魂を感じるとき、しばし言葉を失います。
古民家にはただ単に歴史を知るというだけではなく、暮らしのルーツや道具の必然性も見て取れます。
管理をされている方がいろいろと教えてくださいました。
大黒柱は一辺が42センチあること、毎日の手入れはどんな風に行われているかということ、季節ごとに展示の道具を使って農作業をすること、それが文化伝承として必要であること、など。
文化遺産を愛し、次につなげていくことの責任満ちた穏やかな表情にも感動するばかりでした。
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