山崎豊子氏原作の「沈まぬ太陽」文庫版を読了し、映画を観てきました。
日本航空が舞台で、元社員の故小倉寛太郎氏をモデルにした作品なのですが、この作品が連載されていた頃は、連載されている雑誌を日本航空が自社の機内に置かなかったといいますから、真に迫った内容であるということが想像できます。
文庫版は5巻から成り、1~2巻は主人公が組合運動の報復人事により、不当に海外の僻地をたらい回しにされたときの話、3巻は営利主義に走りすぎたため安全運行を怠り、自社機が御巣鷹山に墜落し、多数の死者を出したときの話、4~5巻は腐敗した組織を立て直すために、部外者の会長を招き入れるものの、様々な妨害工作により改革が失敗に終わったときの話が、それぞれ描かれています。
山崎豊子氏の作品は、僕が中学生の時分に「白い巨塔」を読んで以来、愛読しておりますが、驚くべきは氏の圧倒的な取材力です。
例えば、本作品に「ヘミセクション」という単語が登場するのですが、どういう意味かご存知の方は少ないかと思います。
ヘミセクションとは、2本の根っこを持つ歯で、そのうちの1本の根っこが保存不可能になった場合、そちらを抜去し、もう一方の根っこを保存するという治療法のことを指します。
歯科の世界でも、仕事を始めて間もない人や、不勉強な人は知らないであろうこういった単語を、作中に登場させるあたり、畑違いの仕事をしている氏が、いかに勉強熱心であるかを物語っています。
随所にこうしたうなずかされる部分を散在させていることで、氏の作品はさらに崇高になっているように思います。
さて、映画の方ですが、これだけの内容をよく3時間程度にまとめたな、というのが感想です。
結末やストーリーをだいたい知っていたというのもありますが、大きな感動などはありませんでした。
辟易したのは、要所要所に入るCGです。
例えば、アフリカで象が倒されるシーンや、飛行機が飛び立つシーンなどがあったのですが、CGの技術が進歩したとはいえ、いかにも作り物っぽく、作品にのめりこむことが出来ませんでした。
キャスティングはこれ以上ないほどでしたので、僕個人としてはとても残念でした。
経営再建やら年金やらで、最近も色々な報道がされている日本航空ですが、一連の作品により、より興味を持つことが出来るようになりました。
今後も要チェック、といったところです。
日本航空が舞台で、元社員の故小倉寛太郎氏をモデルにした作品なのですが、この作品が連載されていた頃は、連載されている雑誌を日本航空が自社の機内に置かなかったといいますから、真に迫った内容であるということが想像できます。
文庫版は5巻から成り、1~2巻は主人公が組合運動の報復人事により、不当に海外の僻地をたらい回しにされたときの話、3巻は営利主義に走りすぎたため安全運行を怠り、自社機が御巣鷹山に墜落し、多数の死者を出したときの話、4~5巻は腐敗した組織を立て直すために、部外者の会長を招き入れるものの、様々な妨害工作により改革が失敗に終わったときの話が、それぞれ描かれています。
山崎豊子氏の作品は、僕が中学生の時分に「白い巨塔」を読んで以来、愛読しておりますが、驚くべきは氏の圧倒的な取材力です。
例えば、本作品に「ヘミセクション」という単語が登場するのですが、どういう意味かご存知の方は少ないかと思います。
ヘミセクションとは、2本の根っこを持つ歯で、そのうちの1本の根っこが保存不可能になった場合、そちらを抜去し、もう一方の根っこを保存するという治療法のことを指します。
歯科の世界でも、仕事を始めて間もない人や、不勉強な人は知らないであろうこういった単語を、作中に登場させるあたり、畑違いの仕事をしている氏が、いかに勉強熱心であるかを物語っています。
随所にこうしたうなずかされる部分を散在させていることで、氏の作品はさらに崇高になっているように思います。
さて、映画の方ですが、これだけの内容をよく3時間程度にまとめたな、というのが感想です。
結末やストーリーをだいたい知っていたというのもありますが、大きな感動などはありませんでした。
辟易したのは、要所要所に入るCGです。
例えば、アフリカで象が倒されるシーンや、飛行機が飛び立つシーンなどがあったのですが、CGの技術が進歩したとはいえ、いかにも作り物っぽく、作品にのめりこむことが出来ませんでした。
キャスティングはこれ以上ないほどでしたので、僕個人としてはとても残念でした。
経営再建やら年金やらで、最近も色々な報道がされている日本航空ですが、一連の作品により、より興味を持つことが出来るようになりました。
今後も要チェック、といったところです。