話がどう展開していくのか、気になって、
一気に読んでしまった。
おもしろいし、いろいろ現実問題として考えさせられるところの多い話だった。
『プラチナタウン』(楡周平著 祥伝社文庫)
総合商社で部長まで勤めた男が、
上司の不興をかい、出世街道から外された。
同時に、故郷東北の一自治体の町長になり、
町の再建をしてほしいと乞われる。
自棄酒あおって、酔いつぶれて、
無意識のうちに引き受けてしまった町長への道。
多くの負債を抱えて、財政再建団体に転落する寸前の町、
近隣の市町村から合併を拒まれるほどの危機的状態の町。
スポーツ施設や文化的公共施設などを建てたものの、
閑古鳥がなき、赤字は積み重なるばかり。
若者は都会に出て行き、高齢化、過疎化がすすむ町。
町議会のドンは、利権を求めて暗躍する。
町民や多くの議員は、無気力。
対立候補もなく、全会派こぞって応援するというなか、
町長に就任。
そこで、町の財政再建策として考え出されたのは、
工場誘致用地としてあった広大な土地に
民間(以前勤めていた総合商社)に高齢者向け介護付施設・住宅を建てさせて、
都市部から高齢者を呼び集め、
合わせて、介護にあたる若い世代の雇用保証をしようというもの。
若い世代が町に増え、町は活性化され、税収も増えるはず。
定年退職したが、まだまだ健康体という前期高齢者、
だが、いずれ介護が必要になる、
そういった人たちの終の棲家を提供しようという目論見。
都市部で介護施設に入るには、高額な入所費用がかかる。
田舎で、物価は安い。
自然は豊か。
釣りをするのもよし、ゴルフをするのもよし、
農作業にいそしむもよし、陶芸を楽しむもよし…
小説の上でのサクセスストーリーだが、
実際にこんな町があれば、移り住んでもいいと考える人は
多いはずだ。
だけれどね、
小説の中でさえ、
都市部での入居費用より格段に安いとはいえ、
2LDKのその介護付高齢者向け住宅に入るのに初期費用1人1000万円
かつ、月々の生活費・管理費は年金を全部つぎ込んでも足りない。
都市部で、ローンの済んだ戸建住宅をもち、
その家を売却、あるいはリフォームして賃貸しして
年金以外に収入があり、退職金も含め貯蓄がある人が入居できる。
もちろん、子どもは独立して別なところに済んでいる。
そういう人たちが、移り住むことになる。
老後を安心して生き生きと暮したいと思うのは、
一握りの金持ちだけのものではなかろうに。
一気に読んでしまった。
おもしろいし、いろいろ現実問題として考えさせられるところの多い話だった。
『プラチナタウン』(楡周平著 祥伝社文庫)
総合商社で部長まで勤めた男が、
上司の不興をかい、出世街道から外された。
同時に、故郷東北の一自治体の町長になり、
町の再建をしてほしいと乞われる。
自棄酒あおって、酔いつぶれて、
無意識のうちに引き受けてしまった町長への道。
多くの負債を抱えて、財政再建団体に転落する寸前の町、
近隣の市町村から合併を拒まれるほどの危機的状態の町。
スポーツ施設や文化的公共施設などを建てたものの、
閑古鳥がなき、赤字は積み重なるばかり。
若者は都会に出て行き、高齢化、過疎化がすすむ町。
町議会のドンは、利権を求めて暗躍する。
町民や多くの議員は、無気力。
対立候補もなく、全会派こぞって応援するというなか、
町長に就任。
そこで、町の財政再建策として考え出されたのは、
工場誘致用地としてあった広大な土地に
民間(以前勤めていた総合商社)に高齢者向け介護付施設・住宅を建てさせて、
都市部から高齢者を呼び集め、
合わせて、介護にあたる若い世代の雇用保証をしようというもの。
若い世代が町に増え、町は活性化され、税収も増えるはず。
定年退職したが、まだまだ健康体という前期高齢者、
だが、いずれ介護が必要になる、
そういった人たちの終の棲家を提供しようという目論見。
都市部で介護施設に入るには、高額な入所費用がかかる。
田舎で、物価は安い。
自然は豊か。
釣りをするのもよし、ゴルフをするのもよし、
農作業にいそしむもよし、陶芸を楽しむもよし…
小説の上でのサクセスストーリーだが、
実際にこんな町があれば、移り住んでもいいと考える人は
多いはずだ。
だけれどね、
小説の中でさえ、
都市部での入居費用より格段に安いとはいえ、
2LDKのその介護付高齢者向け住宅に入るのに初期費用1人1000万円
かつ、月々の生活費・管理費は年金を全部つぎ込んでも足りない。
都市部で、ローンの済んだ戸建住宅をもち、
その家を売却、あるいはリフォームして賃貸しして
年金以外に収入があり、退職金も含め貯蓄がある人が入居できる。
もちろん、子どもは独立して別なところに済んでいる。
そういう人たちが、移り住むことになる。
老後を安心して生き生きと暮したいと思うのは、
一握りの金持ちだけのものではなかろうに。