goo blog サービス終了のお知らせ 

ペロキャン

服大好きな管理人が日常やオタク趣味などについてだらだら垂れ流すブログです。

誰が鐘を鳴らしたか

2008-09-21 20:07:04 | 読書
ドロシー・L・セイヤーズのナイン・テイラーズを読みました。

貴族探偵ピーター卿が活躍する長編第9弾らしいですが
私はこれが初めてです。
どうせなら名作・傑作の誉れ高いものを読みたい!と思ったので☆(ものぐさ)
面白かったら他作品も読むから結局順番しか変わらないんですが。

ナイン・テイラーズとは9人の仕立て屋達…ではなく
教区内で亡くなった男性のために鳴らす九告鐘のこと。
小村フェンチャーチ・セント・ポールにあるお屋敷の当主が亡くなったので鳴らされました。
当主を埋葬するために墓地を掘り返すと、何故か見知らぬ男の死骸が!
そこで先日村に縁を持った貴族探偵ピーター卿が赴くのですが…
お屋敷では昔、超高級首飾りの盗難事件があったがそれと関係あるのでしょうか?
というのがあらすじ。

転座鳴鐘術という英国国教会の?鐘の鳴らし方や
キリスト教用語などが散りばめられていて、注釈が多く
登場人物も多いので、とっつきにくそうに見えましたが
軽快で面白い会話文も多くて、難なく読めました。
挿入される図版や薀蓄もじっくり読むぞ!という気分を盛り上げてくれます。
1930年代?のイングランド田舎村の牧歌的な雰囲気も
たまらないでのす!←この方言が気に入りました☆
まあカトリック丸出しの保守的思想や障害者への差別とか、鼻につきますけどね。
これだから昔は!と思ってスルーしました。
牧師さんがいいキャラしすぎ☆大好きです。

身元不明死体が誰かという事や首飾りのありかの他にも謎が色々ありますが
最初の方にまとめられているので、頭を整理して読み進められるのが良いですね。
それにしても登場人物が多い!本編中に出る村人だけで22人。
それにピーター卿&バンター、警察関係者達に前科持ちの容疑者達…。
全員の名前と立場が一致するまで、人名が出てくるたび巻頭の登場人物表をめくってました。
章タイトルも転座鳴鐘術がらみのものになっているのでさっぱりわからない(笑)
一応巻末に鳴鐘術用語解説があるのですがそれを見てもよくわからない(笑)
おかげで話を追うのに必死で推理はできませんでした。
というか、あの暗号は鳴鐘術の知識がないと解けない(笑)
ディーコン=○○○=○○○○の一人三役は驚きました。
けど殺しの犯人が終わり近くになっても判明せず、もやもやとした気持ちでいたのですが
ラストの洪水に始まる怒涛の展開には圧倒されずにはいられませんでした。
そして最後の最後に明かされる「犯人」は…
あえて書きませんが、想像するだけで背筋が凍る、残酷な殺し方に震え上がったよ…
こういうのを神罰と言うのは私は嫌いだ…
まあ、セイヤーズは敬虔なクリスチャンで勧善懲悪の人なのかな。
(プロローグを除いて)ナイン・テイラーズに始まりナイン・テイラーズに終わる、
前代未聞のトリックに味わい深い雰囲気たっぷりの名作でした。

でもやっぱり古い因習の残る田舎怖いわあ('A`)


最新の画像もっと見る