ペロキャン

服大好きな管理人が日常やオタク趣味などについてだらだら垂れ流すブログです。

帽子収集狂事件

2009-03-17 21:58:18 | 読書
ディクスン・カーの「帽子収集狂事件」を再読しました。

江戸川乱歩も大絶賛、カーの初期傑作にしてフェル博士シリーズ第2作です。
あらすじをざっと書きますと
20世紀初頭のロンドンでは「帽子ばかりを盗んでは変な所に置いてくる」犯罪者、
「帽子収集狂」が巷を賑わしていた。
そんなある日、フェル博士やその助手、知人の警部達が集まっている酒場で
引退した大物政治家ビットン卿がポーの未発表原稿盗難事件についての相談を持ちかけてくる。
その後ビットン卿の甥の新聞記者がロンドン塔で死体となって発見されるが
記者の頭には何故か、盗まれたビットン卿のトップハットが被せられていて…という話。
ここまでで3つの謎が出ていますがまだまだ全然序盤なのが恐ろしい(^ω^;)
この時代の正統派推理小説らしく、情景描写がとても細かいので
容易に霧雨にけぶる当時のロンドンが思い浮かべられて
ちょっとした観光気分になれて楽しいです。
びっしり詰まった文章は良いものですね~
カーと言えば密室物ですがこれも密室物ではありません。
謎が次から次に状況変化していくのが面白いです。
帽子収集狂事件、ポーの未発表原稿盗難事件、そして新聞記者殺人事件の
一見全く無関係に見える3つの謎がひとつに絡まりあっていく構成もすばらしいです。
謎解きも、中盤までにきっちり伏線(気になる描写)を散りばめておいて
解決章でちゃんと全部回収する、といういつもの職人仕事で
もやもやすることもなくすっきりと終わるのが良いです。
…ネタバレなしだとどこでも見かけるような感想になった(´ω`;)
それにしてもこの頃のカーはどんだけポーとロンドン好きなんだよって感じで微笑ましいですね(^ω^)

↓以下、ネタバレありです。

悪い偶然が重なって殺人が起き、ロンドン塔が殺人現場のようになるとは…
死体移動トリックの中でも群を抜いた意外性がすごいです。
まあ、トップハットが被せられた理由がテキトーなのはご愛嬌。
この時代は、警察捜査の正確性に適度なゆるさがあって(フィクションの中限定で)良いよね…(´ω`)
でもレスター・ビットン卿がかわいそう過ぎる…と思いました。