ガンはじめました〜笑って泣いて神頼み〜

大腸癌・ステージⅣと出会ったアラフィフおばちゃんのちょっと変わった日常ブログです。

受け入れ拒否(part.2)

2021-01-11 02:57:04 | 日記
『話が違うじゃないですか!!』

おぉぉぉぉぉ。
キレとる、キレとる。
職場以外でお外の人に同居人・しおちゃんがキレるのは、珍しいことです。
スマホを持っている手まで熱を帯びているように見えました。

『だーかーらぁー、私何回も言いましたよね!?』

転院のお話を聞いた翌日。
しおちゃんにお迎えに来て貰い、A病院を退院。
私は、一旦家に戻っていました。
医院長先生が紹介状を書いて下さったので、A病院で手配して頂いたO病院に朝一で早速電話をかけたところ…
驚いたことにナント空振り。
「A病院からそんな話は聞いていない」「もし、そういった話があったとしてもうちでは受け入れられない」と言われてしまいました。
A病院とO病院とで転院の話が共有されていないなど誰が想像出来たでしょう。
しかも、事実確認のためにかけたA病院でも電話に出た方が全く何も把握しておらず。
事情を説明してみるも「(転院先は)ご自身で探してみてはどうでしょう?」とのアドバイス(?)が返ってきたのみ。
しおちゃんも受け入れの厳しい医療事情は重々理解していたと思いますが、院内でさえ情報の共有がなされていない現状や、やっつけとも取れるその対応に呆れ果て、ついにブッチーンとなってしまったわけです。
何も出来ない患者を置いておくだけ病床の無駄。
退院させるだけさせ、患者を追いやってその責任は知らぬ存ぜぬ。
他の病院に丸投げするのが今コロナ禍で人々に敬意と感謝を向けられている医療従事者の実態なのかと、憤りを感じてしまったようです。

『もういいよ、しおちゃん…。ごめんね』

栄養は入れて貰った。
痛みも少し軽減した。
行った甲斐はあった。
家に帰って来れるぐらいは元気になったんだ。
次の病院を探そう。
もっともっと元気になれるはずだから。
自分のために人がモメてると思うと辛くて。
惨めで。
罪悪感を感じながら転がっていると、ますます身体に堪えそうです。



『あー、もうムカつくっ!話の分からん人間を電話口に出すなよ』

電話を切っても興奮冷めやらぬ、しおちゃん。

『ごめんね…私が代わってあげられたらいいのに、なんも出来なくて(涙)』

あらら。
兄嫁・あーみんが泣き出してしまいました。
しおちゃんが溜息をついてティッシュを渡しました。

『ほれ、泣かないのっ。泣きたいのはみーちゃん(猫野のこと)なんだよ?』
『ううっ…(泣)』
『まあまあ。抑うつ期にネガ(ティブ)るなっつっても無理やって。ね、あーみん。あーみんが代われたとして私みたいになっちゃっても一番困るの私なの。大事な嫁さん預かってる間に何かあったら、お兄にしばかれっからさ(笑)優しい気持ちだけ貰っとくね、ありがと』

冗談を言う元気もまだまだ健在な私。
私の兄は、昭和のヤンキー上がりで輩気質な人だけど、図太い私とは逆に繊細で妹に「しばくぞ、ゴルァ」とは言っても、しばけない小心者(しばかないのが普通かもしれませんが、“輩前提”という意味でこういった表現にしました)
たとえ勢い余って私を小突いたところでショックを受けて家出をするのは私じゃなく、兄のほうなんです(苦笑)
私の言ったしばきが冗談なことを分かっているあーみんから少しだけ微笑み(えみ)が溢れました。

『中身はこんな元気そうなのに身体ん中に腫瘍があるとか何だかまだ信じらんないわ…
『しおちゃん、正解!私、家帰って来て元気になっちゃったかも』
『いや、その腹で言われましても。あんま調子こいてると祭りに貸し出すよ?太鼓腹』
『クスクス…(グスン)…フフフフ(微笑)』
『貸し出すとか言って、しおちゃん、利用料取る気でしょ?』
『そ、そんな。め、滅相もない。我が家の家宝を差し出すんだから、利用料貰ってあげてもいいけど。
つーか、中年腹と勘違いする?普通』
『取る気満々やん(笑)何よ?卵巣と一緒に頭の検査も受けろってか?』
『検査を受ければどれだけ残念な人か分かるよ(笑)』
『フッ…(グズッ)…クスクス(微笑)』

笑いが戻ってきた猫野家。
いつまでもここでこうしていたいと思いました。



ほどなくしてA病院から電話があり、しおちゃんが私の代わりに出ました。
電話は先程の方とは違い、消化器科の若い男性医師からで。
院内で転院の話に行き違いが生じてしまっていたことに関するお詫びと、「医院長推奨の病院とは別の病院なども当たっているため、もう少しお時間を下さい」という内容でした。

『良かった…多分、昨日、医院長先生から頼まれて転院先ずっと当たってくれてた先生じゃないかな。退院前もわざわざ来てくれて、「必ず転院出来るようにしますから大丈夫ですよ」って言ってたんだ』
『良くないよ!出来ないなら気ぃ持たせんなっつーの!』
『だよね…(グズッ)みーちゃんが帰って来てくれたのは嬉しいけど、O病院に直行する話もあったんでしょ?O病院側がOKしてないのに、受け入れが決まってるみたいに言ってたってことだもんね…(ズズッ)』
『確かに。昨日私が聞いた時は医院長先生の一声でまとまりそうな勢いだったものが、今日になって全然違ってたからなぁ。ハラハラしちゃったね
『あぁー、やっぱムカつく!!』
『電話ありがとう、しおちゃん。ちょっと休憩して落ち着こ。まだ決まったわけじゃないしさ。私らだけじゃ、もっと受け入れ厳しいじゃん?頼るとこは頼らなきゃなんないし、モメんとこーよ』
『『だね』』



A病院との履歴ばかりが増え、しばらく進展のないやり取りが続きました。
その中で挙げられた転院先は、3軒ほど。
医院長先生が推奨していたという病院です。
しかし、「前日予約必須」「当日予約が既に終了」「通院も見据えると遠過ぎる」などの理由から一向に決まりません。
失礼ながら、紹介状やA病院と先方との交渉は全くと言っていいほど無意味なものになっていました。
転院しようにも、まず受診が必要になってくるらしく、受診予約が入れられるかどうかが鍵となります。
結局のところ、自分で交渉から始めるより外なく、直行など夢物語になってしまった私たち。
その私たちに、身近な病院で緊急外来と一般外来の差が無くなっているということを教えてくれたのは、テレビのニュースでもネットの記事でもありませんでした。


急展開(part.8)

2021-01-10 01:45:35 | 日記
久しぶりのお泊りが病院とは。
色気もなんもないですねぇ。
身体を休めるったって。
でっぷりと膨らんだこのお腹。
重いのなんの。
あぁ…苦しい。



電話があって一旦はけていた医院長先生が戻って来ました。

『猫野さん、猫野さん!度々すみませんっ!例の腫瘍のことなんだけど…今、いいですか?』
『あっ、はい』
『あなたのお腹の中にある腫瘍ですが…卵巣にあるものと思われます。それなりに大きく、やはり悪性の可能性が非常に高いです。
多方面から綿密な精密検査を重ねることになるため、入院も数日ではきかないとお考え下さい』

通常、腫瘍は5cmを越えると悪性度が高くなるといわれています。

え…
日帰りで可能なんじゃなかったの!?手術。
私の腫瘍、そんなデカいんかな(汗)
あれ?
今、“卵巣って…言った?!

『あぁ…はい。てことは、婦人科ですよね?今からここの婦人科に移ることになるんでしょうか?』
『それなんですよね…。うちにも婦人科があるにはあるんですが、そこでは猫野さんへの万全な対応が出来ないのが現状です。
こちらから手術を薦めておきながら、申し訳ありません』
『いえっ。では、今日退院出来るってことでよろしいでしょうか?』

ここじゃ無理なんだから、今日帰ったって同じっしょ。

『いえ、ちょっと待って下さい。婦人科のサポートは出来ませんが、痛み止めと栄養の点滴はさせて下さい。
私が紹介状をご用意します。転院先もこちらで探しますから心配無用です。
明日、ここから病院の車でそのまま直行するか、一旦お家に帰ってご友人の方たちと行くかはお任せしますのでそれだけ決めておいて下さい。今日はこのままここで休みましょう』
『………はい』

家に居るよりはして頂ける処置がある。
そう思い直して緊急入院を受け入れたのに転院て。

なんなんだよ!もー!!

大腸癌と卵巣癌の見極めが難しいことをリアルタイムで身につまされました。
ねぇ…どうしたらゆっくり出来る?
身体を休ませることと引き換えに上書きされた情報は、図太い神経をも塗り潰していくようで。
持ち堪えていた気持ちが虚しさに掻き消されそうでした。

あーあ。
また受診、振り出しか…。

脳裏にうっすらと浮かぶ若かりし頃。
生理不順やら無排卵やらで散々通った産婦人科。
不妊治療を断念してから約十年。
副作用の強かったホルモン剤をやめて以降、少しずつ月経が安定し。
腰痛こそあっても、胸が張るでもなければ寝込むほど酷い出血や痛みがあるでもなく。
周期のズレもほぼなし。
今では普通に苦痛とは無縁な生理がくるようになっていました。

何だよ〜。
乳癌と子宮癌の検査は何年か前に受けてたっていうのにさ。
卵巣はノーマーク。
どのみち詰んでたのかよっっ。



同居人・しおちゃんに転院のことを知らせると、当然ながら驚いていました。

“はぁ!?入院しろって言ってみたり、転院しろって言ってみたり、どっちだよ!(呆)しんどいの分かってて患者にあっち行けこっち行けって、どいつもこいつもバカにして!(怒)”
“ふふふ(苦笑)仕方がないよ。万全にと考えてくれてるから言ってくれたんだと思うし”
“うーん…まぁ、それもそうか。医院長先生、いい人そうだもんね。
消化器科なら先生自ら対処のしようもあるのかもしれないけど。婦人科な上に設備が整ってないんじゃあ、そう言うしかないかぁ。
でも、状況がこんなコロコロ変わってたら、メンタルまで削られまくりじゃん。心配だよ”
“大丈夫。明日帰れるんだもん。帰っておパンツ履き替えて出直すさ(笑)”
“何と勝負する気だよ(笑)まっ、明日、私迎えに行くからさ。今日はお利口さんにして休んでね”
“イェス!高○〜、ク○ニック〜♪”



アホの極みだが乙女とは言えないアラフィフ猫野。
これにてお開きとなったのか(?)、そこからのこの日の記憶はあまりありませんでした。

急展開(part.7)

2021-01-06 02:34:45 | 日記
CTエコーの検査時に使用される造影剤に関する同意書にサインをし。
医院長先生から頂いたプライスレスな安心感を武器に残った検査を次々と受けていく。

問題は、尿検査。
点滴を打ったぐらいじゃ枯渇しきった尿意は取り戻せません。
しかし、頼りになるのが春菜さん。
彼女は、こんなこともあるのではと予め想定していたらしく。
点滴が終わらないうちから私が休み休み飲めるよう、いくつかの小さな紙コップに小分けにしたお水を用意してくれていました。
急にまとまった量の水分を摂ると空っぽの胃に刺激を与えてしまうんだって。
なるほど。
再び吐いてしまうリスクを減らす意味合いもあったんですね。
そのお陰で猫野の尿ターサーバーから検査に必要な最低限の量の尿を入手することが出来ました。

いよいよ、検査もオーラス。
CTエコーです。
造影剤を注入。
造影剤が身体の中に入ると身体の中がひんやり。
おしっこを漏らしたような不思議な感覚が押し寄せビビりました。
痛みも被爆の心配も無い検査というメリットがありますが、人によっては吐き気や痙攣など副作用を起こすことがあるため、同意書が必要だったわけです。
途中、管が外れ、頭から造影剤を浴びるアクシデントがあり、頭と顔がベッタベタになりましたけど。
同意書に○射(自主規制音)への注意書きはありません(苦笑)



一通りの検査が終わり。
私は、ストレッチャーのような簡易ベッドがいくつか並ぶ部屋に連れて行かれました。
吐き気予防と痛み止めの点滴をするようです。
この部屋は診察済みで休憩や点滴の必要な方が案内される部屋なのでしょう。

はぁ…長かったぁ。

ふと室内の時計を見上げると、時刻は18時過ぎ。
点滴をしていた分、長くなるとは思っていましたが。
日を重ねる毎に秋の気配が増す外は、体感よりも日が暮れていそうです。
うちの姫たちはもう家に帰っているだろうか?
点滴が終わったら結果の説明が聞ける。
やっとこれで帰れる。
半袖で寒くないかな。
歩けばまだ暑いくらいか…?

『すみません。ここで携帯を使っても大丈夫ですか?家族に連絡をしておきたいんですが』

近くにあったカウンターに居た看護師さんの許可を取り、身動きが不自由ながら同居人二人にメッセージを送ります。

わずかなやり取りの中で同居人・しおちゃんは愚痴一つこぼさなかったけれど。
夜勤明けに私の義姉の保護観察所通いに付き添い、私が循環器内科前に置き去りにしてきてしまった自転車まで取りに行ってくれていました。

しおちゃん、疲れてるのに…ありがとう。



新しい点滴が追加され、一人でぼんやりしているとどなたかやってきました。

『猫野さん、検査お疲れさまでした。カーテン開けてもいいですか?』

現れたのは、白髭メガネの貴公子。
医院長先生です。
別室で説明を受けることになっていた私。
看護師さんが移動用の車椅子を取りに行っているうちに、医院長先生が来てしまいました。

『はい。お疲れさまです。お待たせしてしまい、すみません。今、看護師さんが車椅子を取りに行ってまして…』
『いえいえ。他に患者さんも居ませんから、ここでいいですよ。看護師さんから聞いてませんか?』
『………?』
『僕がね、その辺を何度もフラフラしてたもんだから、「先生、暇人でしょう!?患者さんは痛みと検査疲れでいっぱいいっぱいなんだから、先生が行ってあげて下さいよ!」って、怒られちゃいましたよ(笑)』
『お暇じゃないでしょうに…看護師さんのほうが上手(うわて)なんですね(苦笑)』
『手厳しいんですよ、うちの看護師さんたち。言うこと聞かないとあとが怖いですからね。猫野さんも気を付けて下さい(苦笑)
結果が出るのに時間を要する検査もあります。ゆっくり身体を休めていって下さいね』
『すみません、お気遣い頂いて』

あちゃー。
すぐに結果の出ないものもあるんだった。
結局、後日改めて出直しか…メンドいしキッツいな(汗)

その際、抗体とPCR、二種受けた検査結果を真っ先に知らされました。
どちらの結果か分かりませんでしたが、一つは陰性。
もう一つは、翌日午後に結果が出るとお聞きしました。
通りで鍵付きの部屋じゃないはずだ。
CTエコーのほうも、このA病院は早いほうでしたが、結果が出るまでに約二週間かかる病院が多いのだとか。
肝心なことが分かるまでの過程を遠く感じ、少し拍子抜けしてしまいました。



点滴の残量をチラ見しては目を閉じ。
再び訪れた退屈な一人の時間。
寝不足続きで眠いはずなのにうつらうつらもきません。
暇・ひま・ヒマ・HIMA。
悪性腫瘍に関して調べてみようと思いつくも、手にしたスマホの電池は25%前後(汗)
古い機種なので減りが早く、明日の連絡に備えて携帯イジリを諦めました。

ギュルギュルギュルキュルキュキューグゴゴゴゴ…

食欲が無くても鳴るお腹。
さする手に空腹指数の高さが振動で伝わってきます。

なんつー音してんの。
癌かもしれないっていうのに、私に似てのんきなヤツめ。

ギュウンキュルキュルキュルキュル…

あ、返事した(笑)

どうやら、完全に暇疲れ。
壊れたアラフィフおばはんは、痛いの上等とばかりに心の中でお腹との親睦を深め始めました(苦笑)
点滴を以てしても痛むんだから、開き直りもしますって。
こういうのって、所要時間とかこちらから聞かないと教えてくれないんですよね〜。
大雑把でいいから終わりそうな時間を言って貰えると、何をして時間を潰すにしても助かるじゃないですか〜。
あちらから言って下さる場合もあるんだけど、統一されていなかったりしませんか?
統一されていれば家族にも伝えておけますから、お迎えが必要な人は特に目安になるんじゃないかなって思います。



パタパタとサンダルの音がして、また医院長先生がやってきました。

『お休みのところ、すみませんね…猫野さん。ちょっと失礼。開けますよ?』
『はい、どうぞ』
『造影剤や点滴で気持ちが悪くなったりしてませんか?』
『大丈夫です。痛みの強さは相変わらず強めですけど、間隔が空いてくれていくらか気持ち的に楽になりました』
『そうですか…分かりました。猫野さん、私から一つ提案があるんですけどね…この際、お泊りして行っちゃいましょうか』

なっ、なんですと!?

今日、何度目の青天の霹靂か。
不安を払拭しては起こる突然の出来事に落ち着いていた気持ちがザワザワ。
お薬が効いてボケボケしてるの?私。
応答出来ずにいた私に医院長先生が続けます。

『それがいい。そのほうがゆっくり出来ますしね。お泊りしちゃいましょう』
『明日出直すので、今日は…。』
『お家に帰ればまた無理をしてしまうでしょう』
『………。』
『お家のことが心配なのは分かりますよ。だけどね、痛み止めもあまり効いてないのに、お薬の切れた身体で出直すのは体力の無い身体への負担を増長させてしまいます。
ご友人の方たちも気にかけることしか出来ないのでは、お辛いんじゃないでしょうか。
病院としてはどちらでも構わないんですけどね。担当医としては、そうとも思えないんですよ。
どうでしょう?うちに1日だけでも泊まって行ってみませんか?

医院長先生は、私の性分までも見透かしている様子でした。
ケチケチして無茶をして懲りたつもりが。
痛みを引きずって後日出直す。
やって出来ないことはないと思っていました。
的を得過ぎている白髭貴公子からのお泊りのお誘いをお断りする理由が見当たらない。
せめて。
せめて…勝負おパンツを履いてくれば良かった!!
完全にノックアウト。
私の完敗です。

『分かりました。そうします。よろしくお願いします』

疲れている同居人たちの前で一晩中のたうち回るのはもう嫌だ。
私はその晩、そこに留まることに決めました。

近況報告

2021-01-05 03:00:38 | 日記
昨日、4日から今年の通院が始まると同時に2クール目の抗がん剤治療が始まりました。
朝の7時半に家を出て、帰って来たの17時過ぎ!!Σ(òωòノ)ノ
お正月に病院に行くなんて私は初めてだったけど、すんげー混むのね。
一度、採血と診察が入り、抗がん剤治療を受けられるかどうかのジャッジがあるので。
なにはともあれ受けられて安心しました。

体重増えたと思ったそばから減るの何とかならんかなぁ…
食欲自体は旺盛で筋力もキープ出来ているので、化学療法担当の先生からはベタ褒めされました\(^0^)/
食べ過ぎると便秘の時に吐いちゃったり腸閉塞になり易くなっちゃうから、あんま褒めちゃうと調子こいちゃうよ?(←典型的ダメ気質)



在宅での点滴ミスがあり心配だった1クール目の抗がん剤治療の効果のほうは、大丈夫そう。
採血の結果、癌細胞の数が若干減少
幸先の良いスタートになったみたいです。



久しぶりの病院に緊張するかもしれないから、兄嫁・あーみんがプレゼントしてくれたコンタクトをつけて気分転換を図った猫野さん。
コンタクトも久しぶり。
おしゃれしたみたいにソワソワ、ワクワク♪
元気過ぎて看護師さんにも付き添いの同居人・しおちゃんからも「朝から元気過ぎじゃない!?」って、言われちゃった(笑)



病院が終わったあとは、日頃食べないようなものを食べたいな〜と思って、パエリアなんぞ食べてみました。(パエリアを選ぶ理由が理解不能)
消化のよろしくないイカは、よ〜く噛み噛み。
色とりどりのお野菜とこの冬初のカキが入ってて栄養価◎
お正月っぽくないけど、気分はスペインへ(笑)



そうそう。
近々、毎年恒例のお汁粉を作ろうかな〜と思ってます。
七草粥は作ったり作らなかったりなので、猫野家ではお汁粉がお正月の締め料理になることが多いかも。
あーみんとしおちゃんが甘い物大好きなんですよ〜。
お兄(実兄)も甘い物大好物だから食べさせたかったなぁ…。
残念ながら今は服役中なので一緒には無理なのですが、年末年始や祝日、クリスマスなどの行事の際には所内で甘い物を出して下さいます。
賛否分かれると思うけれど。
わずかな贅沢を糧に今年も身体を壊す事無くお務めを頑張って貰わねば。
今年は、柄にも無く年賀状を送ってきてくれた、お兄。
私の心配をしている時間があったら、更生しやがれ!このアホタレがっっ!!
…って、思った人、手を挙げて〜。
はい。
私もそう思います(苦笑)
でも、間違っても妹に年賀状を送るような人じゃなかったのでね。
いっちょ前に励ましてくれたりなんかして。
ちょっと嬉しかったです。
来年は揃ってお汁粉食べたいな。
それぞれの友達や知り合い呼んでワチャワチャしてぇーなぁ、おい。



うん、頑張ろう。
出所する日をみんなで元気に迎えたいもーん。
薬物って世間が思っているような本人の意志の弱さの問題ではないので、そちらも長く根気が要るし、過酷になることが予想されますけども。
乗りかかった舟。
ツギハギだらけの帆。
ひび割れたオール。
燃料はカツカツ。
どんな舟でも私は漕ぎ続けるよ。
中島○ゆきさんが作ったTOKI○さんの「宙船」にもあるじゃない。
あるんだよ〜。
自分のオールは誰かに任せちゃダメなんだって(ダメとまでは言ってないが)
いい歌詞だね。
くたばってらんないなって思いますもん。
スペイン行かなくちゃですね(真顔)
さぁ、皆さんもご一緒にいかがでしょう?







急展開(part.6)

2021-01-01 13:28:00 | 日記
猫野は血管だけは細く注射針がなかなか入らない体質です。
点滴はもちろん、注射に於いては過去、一度に十箇所近く刺し直された経験を持っています。
密かに私の自慢です(←自慢になってない)
幼少期から慣れに慣れてしまっているので、注射に対する苦手意識はありません。
ただ、何回となく看護師さんに謝られてしまいますし、お相手のほうがめちゃくちゃ緊張しているのが伝わってくるので、そういう意味では凄くハラハラしちゃいます。

『医院長先生、遅いなぁ…ごめんなさいね。先生にやって貰いたいんだけど』

医院長先生が席を外している間に始まった採血。
春菜さんから呼ばれた看護師さんがギブアップ。
かれこれもう3人目。
その方が去っていくと、春菜さんの口元がへの字になりました。
何度も何度も腕をさすって温め、何度も何度も腕を叩く。
私はグーパー、グーパー。
腕の力を抜いて…ダランと。
両腕も両方の手の甲も止血用の絆創膏だらけ。
場所によっては既に腫れもみられます。
どうにもお手上げな様子の春菜さんが、また電話を手にしました。
痺れを切らして医院長先生をご指名することにしたようです。



『ダメだ…。こっちにお任せするって。それが難しいから頼んでるっていうのに。ごめんね。いい加減、痛いよね』
『いつものことなんで私は大丈夫です。やる側のほうが大変なんじゃないですかね』
『ホント、我慢強い人だね。猫野さんて』
『全然そんなんじゃないです。慣れですよ、慣れ(苦笑)』
『一発で入っても大騒ぎする患者さんも居るのにあなたって人は…。
でも、飲まず食わずだったから余計に入りづらくなってるのもあるんだよ?
食べて無いとね、血管まで脆くなっちゃうんだから…(ry』
『はい、すみません(汗)』

結局、4人目のピンチヒッターとなった看護師さんが数回で血管を仕留め、注射は無事に(?)事なきを得ました。
これで同じ箇所から点滴も入れられます。
春菜さんの表情に笑顔が戻り、代打の看護師さんも親指を立てながら安心した様子で戻って行きました。



こうして書いていると登場シーンの多い春菜さんなのでずっと付きっきりに見えますが…
正午を過ぎ、職員さんもお昼時。
春菜さんが他の方に呼ばれて一人で駆けずり回ることも多く、私しか居ない時間が結構ありました。



『お待たせ、お待たせ!ごめん、この時間私一人なもんだから…えーっと、次何しようとしてたんだっけな(汗々)』

何度目の往復だったか…?
春菜さんがPCR検査のキットを持って帰って来ました。
既にレントゲンと心電図は横になったまま受け終えており。
尿検査はCTついでにあとで受けると事前に聞かされていたため、続いては例の抗体とPCRの検査です。
この検査では、鼻の粘液と口腔内の唾液を摂取するタイプの検査を受けました。

鼻は長い綿棒をそ〜っと突っ込み、軽く中をこするだけ。
クシャミは出なかったけれど、これがすっごくこそばゆくて。
馬の耳に念仏、猫野の目には涙々(なんのこっちゃ)
唾液のほうはちょっと大変でした。
やり方は少し大きな試験管のようなものを口に咥え、唾液を出すだけなので至って簡単でシンプル。
ですが、水分の足りていない身体から出る余分な唾液などあるはずもなく…
喉と同じで口の中もカラッカラのパッサパサ。
あのサーバーから頂いた潤いの癒やし水はどこに行ってしまったのやら…。
おトイレも朝吐く時に行ったきり。
身体は尿意をも忘れてしまってる感じ。
最低限、決められた量の唾液が必要なだけに苦戦を強いられました。
私はどこかで聞きかじった“ツバが出易くなる方法”を試すことに。
耳の下辺りにある首のリンパを抑えるようにして優しく揉む。
ゆっくりゆっくり。
時間をかけて唾液を取りました。



抗体とPCRの検査が終わったところで待ちに待っていた真打ちが登場。
直接患者さんの身体に触れる看護師さんは入退室の度にフル装備を脱ぎ着しなければなりませんが、触診する間も無かった医院長先生は普段と何ら変わりないであろう白衣姿で現れました。
イェスッ!ソーシャルディスタンス。
医院長先生は、自分の席に着くとベッドに横たわっていた私のほうを向き、お話しを始めました。

『猫野さんね。度々お待たせしました。痛みは変わってないだろうけど、体調はどうですか?
栄養剤が効いてるといいんだけど』

この部屋に来てからも検温・血圧測定は30分置きくらいに続いており。
酸素量・心拍数の機械は持病の心疾患への対処として危険な不整脈を見逃さないよう装着されたままでした。
熱はピーク時には39℃後半まで上がりましたが、ここでは37℃台をキープ。
その他の数値も酸素量以外はまずまず安定してきていました。(呼吸が浅く荒いため、酸素量は高い状態)

『検査結果が出ないとハッキリとした診断が出来なくて申し訳ないんだけどね…今分かってるのは、お腹の中が腫れていて炎症が起きてるし、貧血も酷いんですよ。
そのお腹の膨らみも腹水が原因だと思われます。
もしかしたら、お腹の中に何か出来物が出来てるかもしれないね。もし、そういうものが見つかったら良性か悪性かも調べることになるけど、大丈夫ですか?』

ピーク時の尋常じゃない痛みを思うと悪性の文字がよぎりました。
腹水が溜まっているということは、ただ事じゃない。
私が十代だった頃に肝硬変で亡くなった母のお腹が浮かびます。
同じように腹水が溜まって臨月ばりにせり出ていたあの姿は…
腹水を抜いても抜いてもとても痛ましいものでした。
ありがたいことに腹水は抜くだけだった母の時とは違い、少しずつ医療も進歩を遂げてきています。
今は、抜いた腹水から細菌や雑みを取り除き、栄養だけを身体に戻せる時代なのです。
そうは言っても腹水まで溜まっているとなると良性とは思えず、若干ビビっていた私。
しかし、なるようにしかなりません。

『先生、結果がどんなでも私に直接言って下さって大丈夫ですから。どうぞよろしくお願い致します』



不安が無かったと言えば嘘になります
だけど、私は家に帰る。
元気になるためには現状を知って適切な治療を受けないと。
強がることしか今は出来ないけど。
来るなら来やがれ!(あぁ…言っちゃったよ、おい)
医院長先生は、穏やかな顔で大きくゆっくりと頷いてくれました。