ガンはじめました〜笑って泣いて神頼み〜

大腸癌・ステージⅣと出会ったアラフィフおばちゃんのちょっと変わった日常ブログです。

急展開(part.7)

2021-01-06 02:34:45 | 日記
CTエコーの検査時に使用される造影剤に関する同意書にサインをし。
医院長先生から頂いたプライスレスな安心感を武器に残った検査を次々と受けていく。

問題は、尿検査。
点滴を打ったぐらいじゃ枯渇しきった尿意は取り戻せません。
しかし、頼りになるのが春菜さん。
彼女は、こんなこともあるのではと予め想定していたらしく。
点滴が終わらないうちから私が休み休み飲めるよう、いくつかの小さな紙コップに小分けにしたお水を用意してくれていました。
急にまとまった量の水分を摂ると空っぽの胃に刺激を与えてしまうんだって。
なるほど。
再び吐いてしまうリスクを減らす意味合いもあったんですね。
そのお陰で猫野の尿ターサーバーから検査に必要な最低限の量の尿を入手することが出来ました。

いよいよ、検査もオーラス。
CTエコーです。
造影剤を注入。
造影剤が身体の中に入ると身体の中がひんやり。
おしっこを漏らしたような不思議な感覚が押し寄せビビりました。
痛みも被爆の心配も無い検査というメリットがありますが、人によっては吐き気や痙攣など副作用を起こすことがあるため、同意書が必要だったわけです。
途中、管が外れ、頭から造影剤を浴びるアクシデントがあり、頭と顔がベッタベタになりましたけど。
同意書に○射(自主規制音)への注意書きはありません(苦笑)



一通りの検査が終わり。
私は、ストレッチャーのような簡易ベッドがいくつか並ぶ部屋に連れて行かれました。
吐き気予防と痛み止めの点滴をするようです。
この部屋は診察済みで休憩や点滴の必要な方が案内される部屋なのでしょう。

はぁ…長かったぁ。

ふと室内の時計を見上げると、時刻は18時過ぎ。
点滴をしていた分、長くなるとは思っていましたが。
日を重ねる毎に秋の気配が増す外は、体感よりも日が暮れていそうです。
うちの姫たちはもう家に帰っているだろうか?
点滴が終わったら結果の説明が聞ける。
やっとこれで帰れる。
半袖で寒くないかな。
歩けばまだ暑いくらいか…?

『すみません。ここで携帯を使っても大丈夫ですか?家族に連絡をしておきたいんですが』

近くにあったカウンターに居た看護師さんの許可を取り、身動きが不自由ながら同居人二人にメッセージを送ります。

わずかなやり取りの中で同居人・しおちゃんは愚痴一つこぼさなかったけれど。
夜勤明けに私の義姉の保護観察所通いに付き添い、私が循環器内科前に置き去りにしてきてしまった自転車まで取りに行ってくれていました。

しおちゃん、疲れてるのに…ありがとう。



新しい点滴が追加され、一人でぼんやりしているとどなたかやってきました。

『猫野さん、検査お疲れさまでした。カーテン開けてもいいですか?』

現れたのは、白髭メガネの貴公子。
医院長先生です。
別室で説明を受けることになっていた私。
看護師さんが移動用の車椅子を取りに行っているうちに、医院長先生が来てしまいました。

『はい。お疲れさまです。お待たせしてしまい、すみません。今、看護師さんが車椅子を取りに行ってまして…』
『いえいえ。他に患者さんも居ませんから、ここでいいですよ。看護師さんから聞いてませんか?』
『………?』
『僕がね、その辺を何度もフラフラしてたもんだから、「先生、暇人でしょう!?患者さんは痛みと検査疲れでいっぱいいっぱいなんだから、先生が行ってあげて下さいよ!」って、怒られちゃいましたよ(笑)』
『お暇じゃないでしょうに…看護師さんのほうが上手(うわて)なんですね(苦笑)』
『手厳しいんですよ、うちの看護師さんたち。言うこと聞かないとあとが怖いですからね。猫野さんも気を付けて下さい(苦笑)
結果が出るのに時間を要する検査もあります。ゆっくり身体を休めていって下さいね』
『すみません、お気遣い頂いて』

あちゃー。
すぐに結果の出ないものもあるんだった。
結局、後日改めて出直しか…メンドいしキッツいな(汗)

その際、抗体とPCR、二種受けた検査結果を真っ先に知らされました。
どちらの結果か分かりませんでしたが、一つは陰性。
もう一つは、翌日午後に結果が出るとお聞きしました。
通りで鍵付きの部屋じゃないはずだ。
CTエコーのほうも、このA病院は早いほうでしたが、結果が出るまでに約二週間かかる病院が多いのだとか。
肝心なことが分かるまでの過程を遠く感じ、少し拍子抜けしてしまいました。



点滴の残量をチラ見しては目を閉じ。
再び訪れた退屈な一人の時間。
寝不足続きで眠いはずなのにうつらうつらもきません。
暇・ひま・ヒマ・HIMA。
悪性腫瘍に関して調べてみようと思いつくも、手にしたスマホの電池は25%前後(汗)
古い機種なので減りが早く、明日の連絡に備えて携帯イジリを諦めました。

ギュルギュルギュルキュルキュキューグゴゴゴゴ…

食欲が無くても鳴るお腹。
さする手に空腹指数の高さが振動で伝わってきます。

なんつー音してんの。
癌かもしれないっていうのに、私に似てのんきなヤツめ。

ギュウンキュルキュルキュルキュル…

あ、返事した(笑)

どうやら、完全に暇疲れ。
壊れたアラフィフおばはんは、痛いの上等とばかりに心の中でお腹との親睦を深め始めました(苦笑)
点滴を以てしても痛むんだから、開き直りもしますって。
こういうのって、所要時間とかこちらから聞かないと教えてくれないんですよね〜。
大雑把でいいから終わりそうな時間を言って貰えると、何をして時間を潰すにしても助かるじゃないですか〜。
あちらから言って下さる場合もあるんだけど、統一されていなかったりしませんか?
統一されていれば家族にも伝えておけますから、お迎えが必要な人は特に目安になるんじゃないかなって思います。



パタパタとサンダルの音がして、また医院長先生がやってきました。

『お休みのところ、すみませんね…猫野さん。ちょっと失礼。開けますよ?』
『はい、どうぞ』
『造影剤や点滴で気持ちが悪くなったりしてませんか?』
『大丈夫です。痛みの強さは相変わらず強めですけど、間隔が空いてくれていくらか気持ち的に楽になりました』
『そうですか…分かりました。猫野さん、私から一つ提案があるんですけどね…この際、お泊りして行っちゃいましょうか』

なっ、なんですと!?

今日、何度目の青天の霹靂か。
不安を払拭しては起こる突然の出来事に落ち着いていた気持ちがザワザワ。
お薬が効いてボケボケしてるの?私。
応答出来ずにいた私に医院長先生が続けます。

『それがいい。そのほうがゆっくり出来ますしね。お泊りしちゃいましょう』
『明日出直すので、今日は…。』
『お家に帰ればまた無理をしてしまうでしょう』
『………。』
『お家のことが心配なのは分かりますよ。だけどね、痛み止めもあまり効いてないのに、お薬の切れた身体で出直すのは体力の無い身体への負担を増長させてしまいます。
ご友人の方たちも気にかけることしか出来ないのでは、お辛いんじゃないでしょうか。
病院としてはどちらでも構わないんですけどね。担当医としては、そうとも思えないんですよ。
どうでしょう?うちに1日だけでも泊まって行ってみませんか?

医院長先生は、私の性分までも見透かしている様子でした。
ケチケチして無茶をして懲りたつもりが。
痛みを引きずって後日出直す。
やって出来ないことはないと思っていました。
的を得過ぎている白髭貴公子からのお泊りのお誘いをお断りする理由が見当たらない。
せめて。
せめて…勝負おパンツを履いてくれば良かった!!
完全にノックアウト。
私の完敗です。

『分かりました。そうします。よろしくお願いします』

疲れている同居人たちの前で一晩中のたうち回るのはもう嫌だ。
私はその晩、そこに留まることに決めました。


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